クレジット
SCP-002-JP-J
特別収容手順: SCP-002-JP-Jは標準鳥類収容室に収容されます。SCP-002-JP-Jに対する尋問及び検査はセキュリティクリアランスレベル3/002-JP-Jをもつ職員の許可と、来海研究員が同行した上で行われます。
宮城県全はレベル4非常警戒体制を敷かれます。SCP-002-JP-J-Aの発生から5分以内には機動部隊ま-3("ラガッザマジカ")が出動します。撃破後には民間人に対するクラスA記憶処理を施します。周囲の環境への損害が生じた場合は非異常の原因であるカバーストーリーを適用し、それに対する補填を行います。
説明: SCP-002-JP-Jはフクロウを摸したぬいぐるみに酷似した実体です。自律的な歩行や不明な原理での浮遊、日本語での対話が可能です。SCP-002-JP-Jはその特異性として特定の条件を満たす人物に対し魔法の力を付与できると発言しています。その条件は"光の力をもった純粋な少女"であるとしていますが、その詳細は不明です。SCP-002-JP-Jは後述するSCP-002-JP-J-Aの出現とその大まかな位置を知覚することが可能です。
SCP-002-JP-J-Aは不定期な間隔で宮城県周辺に出現する2mから8mほどの大型の実体です。SCP-002-JP-Jからは"サーボル"と呼称されています。個体ごとに人・四肢動物・節足動物を模したものなど様々な姿をしており、身体能力や特性などもその姿に準じます。非常に敵対的であり出現後すぐに周辺の民間人や建造物を対象に破壊活動を開始します。これまでに意思疎通の試みは成功していません。SCP-002-JP-J-Aに一定以上の損傷を与えた場合、損傷箇所から塵状に崩れ始め最終的に完全に消失します。
SCP-002-JP-Jは宮城県の仙台市の各地で"10代女子に話しかけるぬいぐるみがいる"という情報が各種SNS上で頻発したことにより注目されました。その後の調査中で仙台市内の████地区で近隣の小学校の生徒に対して暴行しているSCP-002-JP-Jを発見し、確保しました。
インタビュー記録002-JP-J-1
インタビュアー: 来海研究員
対象: SCP-002-JP-J
<記録開始>
SCP-002-JP-J: おい!ヒカリナシの薄汚いボンクラ共がピヨ!このグルメガをこんな狭くて暗いところに閉じ込めて何する気ピヨ!まさかお前らもミカボーズ帝国の差し金ピヨ!?
来海: 待って、待ってください。落ち着いてください。少なくとも私達はミカボーズ帝国なるものとは関係がありません。ここに連れてきたのはあなたのことについて知りたいからです。
SCP-002-JP-J: はあ?知りたいピヨ?お前らボクを訳も分からず連れてきたってことピヨ?
来海: まあ、そういうことになります。
[SCP-002-JP-Jは大きくため息をする。]
SCP-002-JP-J: あきれたピヨ。えぐいヒカリナシと思ったピヨけど、まさかのただのバカ集団だったとはピヨ。
来海: もうバカで構わないのであなたのことや目的について教えていただけますか。もしかしたら何かご協力できるかもしれません。
SCP-002-JP-J: ご協力ぅ?お前らにはそもそも用はないピヨ。早く出すピヨ。ほら、早く、はーーやーーくーー。
来海: それは出来ません。少なくともあなたが何故女の子に話しかけていたかは説明していただかなければなりません。
SCP-002-JP-J: めんどくさいピヨねえ。じゃあお前らにも分かるように、ガリベン大学主席のこのボクが、懇切丁寧に教えてやるピヨ。
来海: ......お願いします。
SCP-002-JP-J: まずボクが探しているのは魔法少女になる資格をもつ人間ピヨ。魔法少女、分かるピヨ?ようは戦うための力を持てるってことピヨ。で、なんでそんなことしてるかって言えば、ミカボーズ帝国のやつらが仕向ける化け物、サーボルに対抗するためピヨ。
来海: その、サーボルがこの世界に来るということですか。
SCP-002-JP-J: 話の途中で質問するなピヨ。どうせお前ではまだ理解できなくて当然ピヨ。おとなしく聞いてるピヨ。
来海: ......すみません。
SCP-002-JP-J: そうそう、素直が一番ピヨ。でまあボクらマジメック連邦は悪のミカボーズ帝国に勝って、敗戦処理の真っ最中だったピヨ。そしたら連中はボクらに敵わないからってこっちの世界に侵攻してきたピヨ。まだ何もしてないけど、多分これからサーボル作って暴れ始めると思うピヨ。
来海: 何故この世界なのでしょうか。
SCP-002-JP-J: さあ?サーボルはバカから出来る怪物だから、おおかたこの世界の人間を見てじゃないかピヨ?
来海: ああ......そうですか。
SCP-002-JP-J: だからボクがわざわざこっちに来て、お前らを守ってやるっていう事ピヨ。そのために魔法少女を作って戦力を増強しないといけないピヨなのに、お前らがこう邪魔してきて立往生ピヨ。だから死にたくなければさっさと出すピヨ。それとも自殺願望者ピヨ?
来海: ご忠告はありがたいのですが、こちらにも治安維持のための戦力はあります。そのため見てからにはなりますが対応は可能かと。
SCP-002-JP-J: お前らが?自分で?ピーヨピヨピヨ。少し見ただけでも十二分に分かったピヨ。この文明レベルじゃ到底サーボル、いやザコサーボルごときにも勝てないピヨ。いくらサーボルとはいえマジメック連邦の軍事力でようやくトントンぐらいピヨ。それを数は多く出せないからってこの世界の連中は蹂躙されるのがオチになるピヨ。
来海: それは
SCP-002-JP-J: はっ、サーボルが現れたピヨ!
[これの同時刻に仙台市内の██地区で多数の異常実体の発生が確認される。]
SCP-002-JP-J: ちょうどいいピヨ。場所は教えてやるからお前らでなんとかしてみるピヨ。ま、どうせすぐボクに泣きつくのは目に見えてるピヨけど。せいぜい自分達の愚かしさをその身で知るピヨよ。
<記録終了>
出現したSCP-002-JP-J-Aは全長3m強のカマキリの特徴を有した人型実体が1体、全長2m弱の全身が灰色の人型実体が5体でした。発生時には地元警察による応戦がされていたものの、住民の避難誘導で手一杯でした。武装職員はこれを撃破、SCP-002-JP-J-Aの内カマキリ状の実体を確保しました。これに対してSCP-002-JP-Jは「......え?やったピヨ?ま、まあ今回はザコサーボルだったピヨ。何度もうまくいくとは思わないピヨね。」と発言しました。
補遺002-JP-J-A: その後もSCP-002-JP-J-Aは出現を繰り返しました。撃破自体は容易です。その中で研究チーム内でSCP-002-JP-Jに対する疑念が高まり、それに関するインタビューを行いました。
インタビュー記録002-JP-J-6
インタビュアー: 来海研究員
対象: SCP-002-JP-J
<記録開始>
SCP-002-JP-J: ......何ピヨ。
来海: ええまあ、少しお聞きしたいことがあり
SCP-002-JP-J: まさか、ボクにサーボル撃破を褒めてほしいとか言うピヨ?言わせてもらうピヨけど、そもそもボクを自由の身にすればもっと迅速に事は片付くピヨ。現時点でお前らはヒカリナシの大悪人ピヨ。これ以上の悪行は止すのが身のためピヨ。
来海: まあ、いえ、そうではありません。あなたに1つお聞きしたいことがあるのです。よろしいでしょうか。
SCP-002-JP-J: ああはいはい分かったピヨ。御託はいいからさっさと聞くピヨ。
来海: 分かりました。では単刀直入にお聞きしますが、我々はSCP-002-JP-J-Aの出現にあなたが関わっているのではないかと考えています。
SCP-002-JP-J: ......は?
来海: それについて今回は詳細なお話を
SCP-002-JP-J: お前!お前お前お前お前お前?!!?!?!!お前はっ!
[SCP-002-JP-Jは過呼吸になる。]
来海: ひっ
SCP-002-JP-J: こ、このボクを!このボクを愚弄するピヨかっ!
来海: いやその、あなたの位置どころかSCP-002-JP-J-Aの大体の強さまで把握する探知能力に我々としてもその可能性を考慮せざるを得ないと言いますか。
SCP-002-JP-J: 何回も言ってるピヨ!ボクは!わざわざ!お前ら!ヒカリナシを!守る!ために!来て!やったって!ピヨ!
[SCP-002-JP-Jは机を叩く。]
来海: ですがSCP-002-JP-J-Aについても我々には倒せないと戦力の過大評価を
SCP-002-JP-J: あ!!何ピヨ!!やっぱ褒めてほしいピヨか!!はいはい分かったピヨ分かったピヨ。はぁ〜〜い強いピヨねぇ〜〜ヒカリナシのくせによく頑張ったピヨねぇ〜〜。ほらこれでいいピヨかぁ〜〜。
来海: ......。
SCP-002-JP-J: 何ピヨ。言いたいことがあるならはっきり言うピヨ。
来海: ......せぇ。
SCP-002-JP-J: へ?
来海: うるせぇってんだよ!あ?んだお前ずっとずっとピーチクパーチクさぁ!お前の説明なんの根拠もねえんだよ!どうやったらそれで納得すりゃいいんだよ!ぶっちゃけ言えばこっちの監査網でもあのバケモンの出現はすぐ分かるんだよ!でなんだ?俺達じゃ倒せないって?バカ言え全戦全勝だわ!余裕すぎてちょくちょく生きたまま収容してるわ!で!ここまでお前の言うことぶっちゃけ出現予告とかぐらいしか正しくないんだわ!じゃあ疑うだろ!てめぇが呼んでんじゃねえのかってよ!
SCP-002-JP-J: な......な、な
来海: んだよおい!何か言えや!なんだおい、言わないのか、言えないか、どうだ、なあ。言わないなら帰るぞ、いいんだな、じゃあ帰るわ。次のインタビューまでにちゃんと考えとけよ。はいインタビュー終了〜。
<記録終了>
サイト管理官により来海研究員に対して研究チームからの除籍と無期限の停職が命じられました。しかし後のSCP-002-JP-Jの生活態度の向上及びそれに基づく収容環境の改善という点から、研究チームの他職員から来海研究員に対する罰則の撤回が要求されました。その後の審査によりこの主張は認められて来海研究員は復職しました。
補遺002-JP-J-B: 収容中のSCP-002-JP-Jが不審な動きを見せました。撮影した記録を確認したところ、SCP-002-JP-Jの出生地として本人が主張している"マジメック連邦"との交信と思しきものでした。以下はその抜粋記録です。
こ、こちらグルメガ。はい、ええ、その只今現地住民に捕縛されておりまして......ええ、はい、あまり自由には動けないと言いますか......。
そ、それはもちろん!はい!もちろん分かっております!......ただそのスカウトは事実上不可能と言いますか......はい、はい、いやその、ここには適性のある人材がほとほと居らず......。
その......次回の収録にもまだ目処は立てないといいますか......なるべくこちらの指示で動かしてはいます......その、現状で出来る演出の限界がありまして......早急な解決を目指し、はい!やります!今すぐ!頑張ります!すみません!失礼します!
これを受けて来海研究員によるインタビューが行われました。以下はその記録です。
インタビュー記録002-JP-J-17
インタビュアー: 来海研究員
対象: SCP-002-JP-J
<記録開始>
[映像記録を閲覧する。]
来海: おい。
SCP-002-JP-J: ピヨっ!
来海: なんだこれは。
SCP-002-JP-J: それはその......あの......
来海: どうせ答えなきゃどうにもなんねえんだよ。はやく答えろ、心証悪くなんぞ。
SCP-002-JP-J: ......上司......プロデューサーとの定期連絡で......
来海: なんの、プロデューサーだ。
SCP-002-JP-J: ......番組の......
来海: なんの、番組だ。
SCP-002-JP-J: ......魔法少女vs怪物のっていう......
来海: ......あれ、お前らが仕組んでたのか。
SCP-002-JP-J: ち、違うピヨ!いや全部が全部違うってわけじゃないけど......ミカボーズの連中がここに来るのは本当にあいつらが勝手にやってるだけピヨ!
来海: ......。
SCP-002-JP-J: 本当ピヨ!それでその討伐の様子をちょっと演出してそれを放送してるだけなんピヨよ!
来海: 勝手に子供付き合わせようとして何がだけ、なんだ?
SCP-002-JP-J: それは......そうピヨけど......
来海: ああもう埒が明かねえなあ。おい、お前どうやって国と連絡した。
SCP-002-JP-J: ......さすがに言えないピヨ。
来海: あっそ、じゃあ今からお前検査するから。
SCP-002-JP-J: それはやめてピヨ!!お願いしますそれだけは許してピヨごめんなさいピヨあやまるピヨだからやめ
来海: あとお前が来てるってことは逆も出来るよな。通信出来りゃお前らの国の場所も探知出来るだろうし直で行くから。お前1匹に構ってるよりもそっちのが早いだろうからな。
SCP-002-JP-J: は......はへ......
来海: 答える意思は無いな。はいインタビュー終了、じゃあ次は検査室でよろしくな。
<記録終了>
追記: 本インタビュー後にSCP-002-JP-Jに対する検査が行われた。通信時にSCP-002-JP-Jから放出される電波を追跡した結果、到着地点が1つの並行世界に定まることが判明した。研究チームはこの並行世界がSCP-002-JP-Jが主張するマジメック連邦並びにミカボーズ帝国が存在していると推測し、調査目的の大規模侵攻を計画している。