'ボーラス&ブロックの亡霊鎖' (PV723/AYR28/SB376)
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PV723/AYR28/SB376 | |
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状態 | 貸与中 |
需要 | 中 |
価格 | 月極貸出料 1,500米ドル |
入手可能性 | 現在在庫あり(26) |
識別名 | ボーラス&ブロックの亡霊鎖 |
説明 | ソーホー呪縛工房の職人ベン・ボーラスとジャック・ブロックにより製造された鉄製の鎖と首輪。首輪を嵌めた死人に対して霊魂固定効果を発揮し、その霊体を強制的に実体化させる。実体化させた亡霊はこの鎖の所有者に危害を加えることが出来ず、死体が腐り果てるまで従順に命令に従う。工房はこの商品の納品後ささいな爆発事故により焼失したため、追加の供給は期待できない。 |
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 |
初期報告書 | |||
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筆者 | ランドール・ジェンソン | 日付 | 1月15日、1989年 |
重要度 | 中 | 識別名 | ボーラス&ブロックの亡霊鎖 |
プロメテウスがメトカーフ・フィールド生成機を開発して以降、霊体を固定・実体化するという用途でシェアを奪われた亡霊鎖のレンタル事業は低迷化しつつあります。しかしつい先日、ある男が私にこの商品を使った新たなビジネスを持ちかけてきました。ジェラルド・ビーン・ニコルソンというカスです。 簡単に言えば提案の内容は地上げでした。購入予定の物件でゴロツキを一暴れさせることで不動産価格を下げ、安価で買収する。古くさいやり方ですが、ニコルソンはこの手法を亡霊で代替することを目論んでいます。亡霊が発揮するポルターガイストや幻覚能力は暴力に代わって恐怖を与えるには打って付けですし、何より敷地内に"呪われしゴースト"が出るという事実は土地・物件の魅力を大幅に削ぐものです。 事が上手く運べば、我々はニコルソンの会社「ニコルソン・リアル・エステート」を介し格安で不動産購入を行うことが出来ます。格安での亡霊鎖リース契約を結ぶ代わりとしては十分でしょう。 |
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以下のファイルが開かれている: | PV723/AYR28/SB376 | ||
マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 |
メモ 01 | |||
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PV723/AYR28/SB376 | |||
送信者 | パーシバル・ダアク | 受信者 | ランドール・ジェンソン |
報告書を読ませてもらった。君の裁量で計略を進めても構わないが、2つほど懸念がある。 1つは"幽霊騒ぎ"がよからぬ者を引き寄せることだ。牢番と焚書者共はとかく耳聡い。遠ざけのため偽装を施すのはもちろん、不動産取引は奴らに我々の介在を気取られぬようダミー企業を通して行い給え。そして決して"やり過ぎるな"。ニコルソンという男にそこまでの知恵があるとは期待していない。 2つ。あの亡霊鎖は霊魂を冥界へ逃さず、死後も現世で労苦を背負わせられるように構築された。死人の肉体に嵌められた首輪は拘束の象徴であり、呪縛効果の肝となる不可欠な儀式要素だ。つまるところ、ゴーストの奴隷を手に入れるためには比較的新鮮な死体を用意する必要があるのだ。人柱も死体も使い捨て可能な大規模供給チェーンが確立してはいるが、市場では常に需要が上回っている。この計略に割り当てる余剰はないのだよ。 この2点の解決については一任する。ニコルソンの仕事ぶりを報告するように。 |
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マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 |
メモ 02 | |||
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PV723/AYR28/SB376 | |||
送信者 | ランドール・ジェンソン | 受信者 | パーシバル・ダアク |
ひとまず良いご報告ができます。 ニコルソンには後者の懸念について当てがありました。浮浪者と孤児です。駄賃と引き替えに首輪を嵌めさせてから彼らを殺せば、どこであっても容易に亡霊が作り出せます。上手いことにホームレスの死は幽霊伝説にハクを付けました。深刻な心霊現象も相まって、物件を捨て値で手放す家主が続出しています。 予想外なことがあったとすれば亡霊の振る舞いです。霊体には死の直前に加えられた外傷が反映されるようで、こめかみを撃ち抜いて殺した男の亡霊は、実体化した瞬間頭を抱え傷口を掻き毟るばかりで使い物になりませんでした。いえ、十分使役することは可能なのですが、少々叫び声が大きく煩わしいのです。支障をきたさないため最近は薬殺を使っていますが、意識を失うことも出来ず致死の毒素に苛まれ続ける苦悶の呻きは、聞いていてあまり気分の良いものではありません。ニコルソンのサド野郎は笑いながらでもやってのけますがね。 ともかく、ビジネスは上手く運んでいると言えるでしょう。成果がダアク様のご期待に添いますように。 |
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マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 |
メモ 03 | |||
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PV723/AYR28/SB376 | |||
送信者 | パーシバル・ダアク | 受信者 | ランドール・ジェンソン |
なるほど。君はカソリックだったか?罪業が降りかかることを気に病んでいるようなら、ローマ教皇に袖の下を渡して君のための贖宥状を出させよう。社員サービスの範疇でどんな悪行を犯そうと君の魂が死後地獄に堕ちないようHr'asm'Kalが取り計らってくれているが、こういうものは気持ちの問題だろう。 そうだな、そろそろ使った死体の処理に困るころだろうから1つ助言しよう。エジプト式かシベリア式の保存方法を使えば長く亡霊を留めておける。前者は伝統的ミイラの製造法、つまり脳・内臓除去と乾燥による防腐処理で、後者は極低温冷凍だ。この処置を施すと少々亡霊の挙動がおかしくなる(よだれを垂らし始める、震え出す等)だろうが、霊的要素の欠損に対する正常な反応であるからして無視して構わん。 事業の成果については満足しているよ。我々はこの数ヶ月で28の倉庫、11のオークション会場、7つのセーフハウス、4つのホテルを手に入れた。くよくよせず励み給え、君には期待している。 |
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マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 |
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インシデントレポート 01 | |||
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PV723/AYR28/SB376 | |||
筆者 | ランドール・ジェンソン | 日付 | 12月10日、2008年 |
ニコルソンが姿を消しました。今朝ニコルソン・リアル・エステートの事務所に向かうとすでにもぬけの殻です。リーマン・ブラザーズが倒れて以降奴の会社も経営が思わしくないことは察知していたのですが、どうやら彼は我が社に払うべき金すら食い詰めたようです。 問題はニコルソンが亡霊鎖を持ち逃げしたことです。奴があれをSCP財団あたりに持ち込んで保身を図るつもりなら、少々厄介なことになる。ビジネスパートナーで無くなったニコルソンはもはや我が社にとって不要な人物であり、ただ始末するだけで構いません。現在行方を追跡中です。 |
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マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 |
メモ 07 | |||
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PV723/AYR28/SB376 | |||
送信者 | パーシバル・ダアク | 受信者 | ランドール・ジェンソン |
私は亡霊鎖にそれほど興味が無い。そもそも時代遅れの品であるし、金融危機のおかげで合衆国全土の不動産価格は暴落した。もうあの首輪で地上げビジネスを続ける必要も無いだろう。 だがニコルソンは別だ。契約の不履行、所有物の窃盗......ふむ、私の前でそんなことをした連中がどうなってきたか、そして"どうなり続けているか"、知らないわけではあるまい? 彼を私の元まで連れてきたまえ。生きたまま。裏切り者にふさわしい処罰を君にも見せてやろう。 |
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マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 |
メモ 08 | |||
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PV723/AYR28/SB376 | |||
送信者 | ランドール・ジェンソン | 受信者 | パーシバル・ダアク |
先に謝罪しておきます申し訳ありません。亡霊鎖は無事回収できましたが、ニコルソンは死んでいました。我々が奴のアジト(恥知らずにも、それは例の地上げで手に入れたホテルの一室でした)に踏み行ったと同時に奴は窓から飛び降り......我々にとって運が悪いことに、その部屋は地上33階でした。騒ぎになる前に回収したものの、ニコルソンの死体は人の形を留めていません。部屋には以下のメモが残されていました。 "あばよマックダディーズのクソ共。 鎖を使うのは俺のアイデアだ。だのにてめえらは俺を裏切った。負債も、責任も、はじめから全部俺におっかぶせるつもりだったんだろう。こんなもん赤ん坊に生まれ変わったって払い切れやしねえ。 てめえらは俺をとっ捕まえて 死ぬまで死んでも絞りとろうってんだろうがそうはいくか。 俺は使ってやっていたゴーストとは違う。鎖の仕組みは俺が一番よく知ってるんだ。死体が無ければてめえらは俺の魂に鎖を巻けねえだろう。死人に人間は触れねえし、人間も死人には触れねえ。一足先におさらばする。 俺は自由だ、ざまあみやがれ。" ダアク様のご意向に添うことが出来ず申し訳ありません。私はこの件の責任を取り、どの様な処罰でも甘んじて受ける所存です。 |
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マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 |
メモ 09 | |||
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PV723/AYR28/SB376 | |||
送信者 | パーシバル・ダアク | 受信者 | ランドール・ジェンソン |
委細了解した、死体は適当に始末しておき給え。手ずから報いを受けさせる楽しみが奪われたのが残念だが、きっと彼の"部下"が我々の代わりに始末をつけてくれるだろう。ニコルソンは死人となることで我々から逃れたかも知れないが、彼に罰を与えたがっていたのは我々だけでは無い。 彼の言葉を借りるなら、死人は死人に触れられるのだよ。 |
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マーシャル・カーター&ダーク有限責任事業組合 |
ページリビジョン: 8, 最終更新: 05 Jan 2023 16:07