日付: 30 Mar 2025 07:07
投稿数: 2
rss icon RSS: 新しい投稿
アイディアのとっかかりにいろんな本を読んでみる、というのは割とみなさんあるかと思うのですが、最近読んで面白かった(最近でもないか)本をちょっとご紹介したく。
- カリエール, JC & べシュテル, G, 守能信次(訳), 『万国奇人博覧会』, 筑摩書房(ちくま文庫), 2014
記述の正確性はともかく、登場するエピソードがどれも微妙に変。個人的には「さまざまなものを罵倒した挙句に晩年に自分自身の過去の著作を批判する本を自分で書いた批評家」「毎年誕生日に義母から同じ本をプレゼントされ続けた建築家」「片思いの女性に700通ラブレターを書いたが実を結ばなかった男(彼女は郵便配達の男性と結婚した)」なんてのが好き。なお、同著者による『珍説愚説辞典』(国書刊行会)も楽しいです。
- 柴田宵曲, 『奇談異聞辞典』, 筑摩書房(ちくま学芸文庫), 2008
江戸時代の随筆から怪異談にとどまらず奇妙な話を抜き出して配列。天狗、河童、狐などのお馴染みの妖怪から「死んだはずの男が帰ってくる」「20年行方不明だった男がなぜか便所から出てくる」「地面を掘ったら生きた人間を掘り出す」など「よくわからない」話がたくさん。杉浦日向子先生の『百物語』なかのエピソードの元ネタも出てきます。
- 富岡直方, 『日本怪奇物語』, 河出書房新社(河出文庫), 2024
明治から昭和戦前までの新聞、雑誌記事や著者の蒐集による奇談、怪談集。個人的には、日清、日露、第一次大戦あたりまでは「戦場の兵士を故郷の氏神が助ける」というパターンの話がちょくちょく見られるのですが日中戦争あたりでその手の話がなくなるのが興味深い。
- 田中貢太郎, 『日本怪談実話(全)』, 河出書房新社(河出文庫), 2023
大抵の「実話風怪談」「和風ホラー」のパターンは網羅されていると言っても過言ではないかもしれません。
もし、お読みになった方で、「他にこの本が面白かったよ」というのがありましたらコメントいただけると幸いです。
やまのなかのけもの 拝
Aquila non capitat muscas.
はじめに、本といっても活字じゃなくて漫画ですみません。でもけっこうSCPっぽい感じの漫画を知っているので二件紹介させてください。
- 冨樫義博, 『レベルE』, 集英社, 1995 - 1997
主に様々な宇宙人との文化的衝突・トラブルの発生から解決までを描いたSF作品。主人公の王子がいつもバカなことして周りを振り回すのでシリアスさとギャグが共存できており、そこまで陰惨さがなく軽く読める。そもそも漫画だし。
▶ 少年ジャンプ+ で第3話まで無料で読めるので気になったら見てみてほしい。
- 木々津克久, 『フランケン・ふらん』, 秋田書店, 2006-2012
表紙は内容と全く関係ない。
主人公たちも社会も倫理観がぜんぜんないので、SCP世界でいえば日本生類創研を連想させるようなぐっちゃぐちゃの展開がたびたび発生する。主に医療系、たまーに仮面ライダー。
▶ チャンピオンクロス で第5話まで無料で読めるので気になったら見てみてほしい。
2019年から連載再開されているので気になったらそちらも見てみてください。