Voct氏による解説
では、この記事で何が起こったのかについて。
エスコフィエ氏は"タンタン"シリーズの崇拝者であり、ラヴクラフト的な名状し難き怪物を召喚しようと試みていました。しかし、怪物の精神は手違いで"タンタン"の本の内に囚われてしまったのです。
問題のページを開くと、怪物の("タンタン"を基とする)肉体は実体化しますが、精神は本のページに囚われたままなので、知性を持たず不活性のままです。彼らは"タンタン"に基づく語彙を喚き散らすことしかできず、"タンタン"に言及することを自由意志で止める事もまた不可能です。
怪物の肉体は"タンタン"の主要キャラクター4名に基づいています ― タンタン(オレンジの髪と水色の服)、ハドック船長(黒髪と暗青色の服)、ビーカー教授(黒髪と緑の服)、そしてスノーウィ(白い犬)。ハドック船長は酒豪だったので彼らはウィスキーを分泌しますし、ハドック船長の特徴である途方もなく大袈裟な罵り文句の一つ「なんとナントの難破船!」は、英訳版のこの本では"BILLIONS OF BLUE BLISTERING BARNACLES" ― "幾十億もの青くして悪辣なるフジツボ"なので、彼らは巨大なフジツボです。
怪物の精神が肉体を制御できれば、彼らはこの哀れな世界に大いに恐怖をもたらすかもしれません。しかし、彼らにはそれが不可能です。彼らは肉体を制御できず、アクセスすることも出来ず、肉体を死なせたり消し去ったりすることも出来ません。彼らにできる事はただ、マンガの1ページの吹き出しの中の文章を改変することだけなのです。
そして、ページが閉じられると、実体群の精神は否応なく休眠状態に戻されてしまいます。
LordStonefish氏による解説
プラス↓
怪物たちが囚われているのは、AWCYのアナーティストが古の儀式を妨害して、エスコフィエの最愛の本の1冊にそれらを封印してしまったからです。彼らはいわば、エスコフィエの父を殺して力を奪う/カルキストとして後継に収まることによって得られる能力を何百万という芸術作品の創造に使うべく、エスコフィエを利用したわけです。
こうしてエスコフィエは二度と教団には参加できなくなり、彼の信じる神々は拷問を受け続け、彼がひたすら和解を試みていた父は死にました。
斯くして、世界に裏切られた一人の無垢なサーキシズム信者が、此処に命を絶つことになります。
MrWrong氏による解説
要約すると、サーキシズムはアナーティストに一杯食わされました。黙示録SK-クラスシナリオは遠くなりにけり。
AWCYの方がよっぽど悪者めいて描かれているのが新鮮でしたが、解説を見る限りは全員ろくでなしというのが正しそうですね......非常に面白い作品でした。翻訳有り難うございます。uv