記事の訳について気になった部分及び訳抜けがありましたので、以下にまとめました。皆さんの意見を伺いたいです。原文はこちらです。
All efforts are to be made to capture as many specimens of SCP-877 as possible,
すべての努力は可能な限り多くのSCP-877の検体を集める事に向けられます。
「検体」とは医学分野で、検査の材料(例:血液、尿、身体組織の一部など)を示す単語(参考)なので、SCP-877を指す訳語として不適切だと思われます。"specimens"の訳語としては「標本」が無難かと思います。
Animals found to contain copies of SCP-877 include, but are not limited to, Sciurus carolinensis (the eastern gray squirrel), Felis catus (the domestic cat), and Eumops perotis (the western mastiff bat).
SCP-877のコピーが見つかった動物は、Sciurus carolinensis(東部灰色リス)、Felis Catus (イエネコ)と、Eumops perotis(西部マスチフバット)に限りません。
これは好みの問題ですが、「SCP-877のコピーが見つかった動物としては、Sciurus carolinensis(東部灰色リス)、Felis Catus (イエネコ)と、Eumops perotis(西部マスチフバット)が挙げられますが、これらに限りません。」とした方が原文に沿っている気がします。
The highest generation number located to date is █
日付にある最大の世代番号は█で
"to date"には「今まで」という意味があるので、「現在までに確認されている最大の世代番号は█で」とすると意味が通ると思います。
each chip appears to be capable of propagating itself six times,
各チップは6回まで増殖することが可能な事を示しており、
「各チップは6回まで増殖することが可能であると思われ、」とする方が"appears to be"の意味を盛り込めると思います。
Its unusual presence inside the creature drew the attention of Foundation scientists,
生物の中に普通存在しないものが財団の科学者の注意を引きました。
これも好みの問題ですが、「生物の中に通常あるはずのないその存在が財団の科学者の注意を引きました。」とする方が読みやすいかもしれません。
Analysis of unusual energy readings from the chip led to scanning for radio transmissions with a frequency of [REDACTED], leading to the capture of two more chips.
チップからの異常なエネルギー測定値の分析は、2つ以上のチップの捕捉につながる、[編集済]の周波数での無線送信の走査につながりました。
"two more chips"なので、「2つ以上のチップ」ではなく「もう2つのチップ」だと思います。また、「つながる」が連続しているので、片方を「至る」などにすると読みやすいかもしれません。
On two separate occasions
2つの離れた場所で
"occasion"に「場所」の意味はないので、ここは「2つの独立した事例で」だと思います。
Mobile Task Force Rho-1 ("The Professors") formed and mobilized for rapid response and containment of SCP-877 instances.
訳抜けです。訳すとするなら「機動部隊ロー-1("プロフェッサー")がSCP-877実例を迅速に対応及び収容するために組織、動員されました。」でしょうか。
though definite identification would not be possible while the subject was still alive due to the chip's placement.
しかしながら、被験体がチップの存在によってまだ生きている間は、明確な識別は可能ではありません。
これまた好みの問題ですが、「しかしながら」よりも「もっとも」の方が"though"の意味に近い気がします。
修正お疲れ様です。
個人的には最後のthoughの訳は「しかしながら」の方が良いと感じましたが、それ以外は妥当な指摘であり、修正して良いと思います。
SCP-877のコピーが見つかった動物としては、Sciurus carolinensis(東部灰色リス)、Felis Catus (イエネコ)と、Eumops perotis(西部マスチフバット)が挙げられますが、これらに限りません。
「が挙げられますが、これらに限りません」という訳でなんら問題はありませんが、「〜などが挙げられます」の方が日本語として自然かもしれません。
各チップは6回まで増殖することが可能であると思われ
個人の好みの範疇ではありますが、「各チップは6回まで増殖することが可能であると見られ」の方が自然な気がします。
Analysis of unusual energy readings from the chip led to scanning for radio transmissions with a frequency of [REDACTED], leading to the capture of two more chips.
チップからの異常なエネルギー測定値の分析は、2つ以上のチップの捕捉につながる、[編集済]の周波数での無線送信の走査につながりました。
『「2つ以上のチップ」→「もう2つのチップ」、「つながる→至る」』はいずれも適切な変更であると思いますが、それを修正してもこの訳文は分かりにくいと感じます。無生物主語の場合は、基本的に英文の主語をそのまま日本語訳の主語にしない方が自然な文になりやすいです(このサイトやこのサイトが参考になります)。
翻訳案: チップの異常なエネルギー測定値の分析に基づき[編集済]の周波数での無線送信の走査を行ったところ、もう2つのチップの確保へとつながりました。
また、以下の箇所はthough以外にも修正すべき箇所があると思います。
though definite identification would not be possible while the subject was still alive due to the chip's placement.
(高いとしました。)しかしながら、被験体がチップの存在によってまだ生きている間は、明確な識別は可能ではありません。
- これは「チップの存在によって生きている」ではなく、「チップの存在している場所が大脳であるため、取り出そうとすると危険であるため、生きている間は確認することができない」という意味だと思われます。
- wouldの意味が弱いと思います。
- 私としては、原文はthoughで文が区切られていないので、訳文もそれに倣って文をつなげた方が良い気がします。
翻訳案: (〜高いとしました)が、チップの位置の関係上、正確な判定は被験体がまだ生きている間は不可能であると推測されます。
貴重なご意見ありがとうございます。頂いた案をまとめ、頃合いを見て(出来ればもう一、二方の意見を頂戴してから)修正作業に移ろうと思います。
訳文を上にある通りに修正しました。なお、指摘を受けた部分に関しては頂いた訳案をそのまま採用しております。ご意見を下さったRed_Selppaさん、改めてありがとうございました。
「西部マスチフバット」を「ボンネットオヒキコウモリ」[]に、「北米オポッサム」を「キタオポッサム」[]に修正しました。
なお、「東部灰色リス」も本来ならば「トウブハイイロリス」とした方が統一感が出るものの、初訳者の意図を尊重してそのままにしております。変更した方がよい、という意見が集まるようでしたら変更するかもしれませんが、しないかもしれません。
「東部灰色リス」について、「トウブハイイロリス」への表記変更に賛成の立場です。統一感の観点でもそうですが、その表記の普及の程度と一般的な標準和名の取り扱いから考えてもカタカナ表記の方が好ましいように思います。少なくともYahoo!やbingのような検索エンジンでは「トウブハイイロリス」の方が「東部灰色リス」よりもヒット数のオーダーが1つ上です。加えて生物の和名はカタカナで表記するのが慣例ですので、財団の報告書において漢字交じりの和名が生物的観点を含む内容に掲載されていることには違和感を覚えます。