私は企画書の作りこみが甘いと感じています。
後半部の完成度が高いことから、前半の作りこみの甘さが目につきます。
意図から続く、追記、返信を読むことで『カーテンの向こう』を思い起こされました。
そして、企画した人物の考え、感情の移り変わりも追えます。
意図以降の項目は簡潔ながらも演出、物語共に素晴らしいものです。
よく考えられた後半部故に要旨以前の項目の粗を目立たせるように感じます。
私が指摘したい粗は、企画書のフォーマットからの逸脱、個々の素材・用途への意図の不在、芸術作品としての魅力の欠如です。
企画書のフォーマットからの逸脱がいくつか確認できます。
タイトルはイタリック体です。
必要素材の順番は、手に入りにくいものから一般的なもの、既に手に入れているものへと書いていきます。
要旨は作品がどんなもので、体験型ならば観客がどの様に体験していくかを描かれると考えます。
今回は要旨の1行目は意図の項目に書かれるべきだと考えます。
個々の素材・用途が何故これらでなければならないのかという理由が足りないと考えます。
個人的な経験の追体験をしてもらうことがこの芸術作品の意図でしょう。
その為、最後に病室を模した空間を据える理由は分かります。
白いカーテンも上述の小説のオマージュでしょう。しかし、その他は一切理由が明示されていないです。
何故他の花ではなくひまわりなのか。
迷路は観客にどのような効果を与えることを意図したものなのか。
病室は自身の経験を感じてもらう為にはどの様に作られなければならないのか。
カンバスはどの様に芸術作品の中で使われるのか。
普段感じている色彩に注目させるという主旨から考えると、
色という概念を排除した空間を作り観客を普段の空間から隔絶することをどの様に考えるのか。
これら1つ1つに意味を付与することで観客が作品を味わい、理解する手助けとなります。
これが上手いのは世界を喰らいし者でしょう。
この作品は素材・用途が主旨に沿って効果的に配置され、また主旨から外れた演出への懸念が書かれています。
素材・用途に対する意図は芸術作品のレイヤーを重層化し魅力を増します。
素材・用途に対する意図の欠如は次の魅力が欠けている話とも通じるのです。
後援者が支援を決めたくなるほどの芸術作品の魅力を読み取ることが出来ませんでした。
芸術作品のコンセプトと演出がもの足りないと感じます。
コンセプトに関しては、製作者が感じた彩のありがたみを追体験してもらいたいということで仕方ないかもしれません。
(彩のありがたみなので、要旨の第2パラグラフ第1文は"色という概念を排除した"ではなく"彩という概念"が適切だと考えます。色という概念がないのなら空間内の景色は灰色にも見えないはずです)
演出には手を加える余地があると考えます。
少なくとも後援者が何を評価したのか分かる程度には、読者の目を引く点が欲しいです。
特に企画展に向け創作するつもりの芸術作品の小論文の形式をとるので、
意図以前の項目で完結した記事として評価に耐えうるものであって欲しいと願います。
芸術作品の設定を作りこむことは、後半部との対比により記事に深みを与えると考えます。
この記事は芸術作品の企画から感じる製作者の楽観的な姿勢、
追記・返信から読める製作者の考え、認識の変化と反省を前半後半の対比により印象付けています。
芸術作品の設定の作りこみは反省前の製作者の態度を表現することです。
つまり、入院の経験から製作者の心情が変化したのかを更に示すことが出来ると考えます。
要旨の中に"AWCYっぽさ"を追加するのはどうでしょうか?
アナーキズムで暴力的で皮肉を演出として効かせてみるのです。
特に暴力的な演出は薦めたいです。
例えば観客の錐体細胞を消失させてみるなどです。
異常芸術により視力を失った事と効果的に結びつき、製作者の反省を際立たせると考えます。
また、製作者が入院時に感じた怯えを追体験させるので、芸術作品の主旨にも沿っています。
AWCYが時に暴力的な手段を芸術の中で行うというのはこの記事の中では読み解けず、読者の前提知識に依存しています。
隣人が視力を失った原因が"我々の芸術"にあったと書いてありますが、
この製作者の作った企画書には危険性がないというのは引っ掛かりを覚えます。
後半部の物語は素晴らしいので勿体ないです。
前半部を作りこむことは素晴らしい後半部をより際立たせると確信しています。
これがGOIフォーマットに依らず、芸術家の入院した時に残した手記のようなtaleでしたらUVでした。
企画書の形式であるからには私は企画書としても良いものであって欲しいです。
SCP報告書が報告書としての基準も満たしているか評価する様に。
ご指摘ありがとうございます。具体的かつ詳細で非常に助かりました。
フォーマットの逸脱に関しては大半を修正しています。ただ順番に関しては企画案1994-357:"静物"や企画案2014-2112:"落伍者の夢"をはじめとする前例にならい、「異常性の肝となるもの」に関してのみ最後にまとめて置いてあります。おそらくはその方が読者(現実の読者および後援者候補)にとっても想像がつきやすいのだと思います。それ以外は概ね入手が困難であろう順番にしています。
続いて概要と意図の部分に関して、それぞれの要素に関連する言及を加筆いたしました。「なぜ孤立した迷路/病室なのか」、「"窓の外の景色"に触れるまで主催者にとって病室がどのような空間であったか、そしてそれをどう再現しているか」についてはわかるようになったと思います。
「なぜ他の花ではなくひまわりなのか」に関しては......一応それぞれ軽く言及はしておりますが、正直に言うと「語られた景色のなかにあった」及び「比較的迷路作りに適した植物である(逆に、だからこそ客をさまよわせるにあたって迷路の形にしたとも言える)」以上の芸術的意図を持っていません。人の視界を遮るに足る高さと密度を確保するのが比較的容易かつ成長速度がそこそこ速い、その上で花を咲かせる植物となるとそんなに多くの候補はないのではないでしょうか。ニッソ協力などで別の植物を使うことも不可能ではないでしょうが、あまり「個人的経験に基づく半ば私信のようなもの」にはそぐわないと思っております。
最後に演出に関して。明暗の要素などを足し、また「踏み込まずとも入り口の前に立てば影響を受ける」「中心部を通らずとも迷路を出ることは容易だが色彩感覚は恒久的に戻らない」ことを明言しました。意図していない部分に関しての冷淡さ・無関心さはちょっとしたアナーキーさの演出及び後半との対比になると考えていますが、いかがでしょうか。
改稿部分は以上になります。ありがとうございました。