ミスター・うそっぱち
評価: +8

牢屋はキライだ。俺がこの旅を始めてから何べん牢屋に入ったと思う?12回だ。もちろん結局は証拠が無いってんで出られるんだが、クソ嫌な気分になるぞ。マジでよ、オカマをホラれる恐ろしさは別にしても、食事は少ないし看守連中はいつも俺をぶっ叩きやがる。あいつらいっつも、俺があいつらを見て笑ったって言いやがるんだ。

今日は街を歩いていたら2人の警官に止められたんだ。そんで事件の目撃者に首実検させてる列に俺を加えやがった。容疑者は6フィート2インチのアジア人の男だったって言ってたよ。俺は5フィート4インチの白人だ。もちろん、俺が怪しい人物だってんで、俺が選ばれた。俺は銃のセフティの外し方なんか知らねえし、言うまでもなく誰かを撃ったことなんか無え。

ずっと昔にも、ミスターども全員が俺を疑いやがったことがある。ある時、台所で皮むき器を取ろうとしたら、ミスター・たまねぎが逃げ出して隅で泣きだしたことがあるんだ。あいつを宥めようとしたら、めちゃくちゃ怖がって殴ってきやがった。俺が噛み付こうとしてきたって言ってたな。俺は単にあいつに大丈夫かどうか尋ねただけだってのに。

レッドだけは俺を信用してくれたな。『うそっぱち、お前の作ったリブ付きチョップ好きだぞ』って1度言ってくれたっけ。またレッドの奴に会えたらいいんだが。俺達が行こうとしてる先にレッドのやつがいるかもしれないって聞いたんだ。もちろん、それ以上のことは分からなかった。なにせみんな機会が来た途端に俺から出来る限り早く逃げやがったからな。

俺を街で見た子供も同じことをした。俺が彼に手を振ったら、彼はそれを潜伏している狙撃隊への合図だと受け取った。言うまでもなく、そのあと俺を子供狙いの変質者だと思った父親から体当たりをもらった。いったい親どもはどんなものを子供に見せてそんな思いつきをするように育てているんだ?

ベストバイで狙撃手を撃ってる男の出てくる映画を観たことを覚えている。もちろん、俺を見た店員が警察を呼びやがった。しかも俺をテコンドーの黒帯の力をもって倒すべきだとみなしやがった。俺は袋入りのレンガのように床にぶつかった。

ちくしょう、足が痛い。ホームレスの住処が一晩俺を受け入れてくれるか見てみなきゃ。でも前はヤクの売人だと思われたことがあったな。何べんもはたかれた。ボディチェックまでする奴も居た。

多分今夜は外で寝ることになるだろうな。

前: 3.ミスター・おかね by Tanhony

次: 5.ミスター・ぷんすか by The Deadly Moose

ハブに戻る

Footnotes
. 原文:even without the fear instilled in dropping the soap
. 訳注:アメリカの家電量販店
ページリビジョン: 5, 最終更新: 10 Jan 2021 16:51
特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。
ページを編集するにはこのボタンをクリックしてください。
セクションごとの編集を切り替えるにはこのボタンをクリックしてください(ページにセクションが設定されている必要があります)。有効になった場合はセクションに"編集"ボタンが設置されます。
ページのソース全体を編集せずに、コンテンツを追加します。
このページが過去にどのように変化したかを調べることができます。
このページについて話をしたいときは、これを使うのが一番簡単な方法です。
このページに添付されたファイルの閲覧や管理を行うことができます。
サイトの管理についての便利なツール。
このページの名前(それに伴いURLやページのカテゴリも)を変更します。
編集せずにこのページのソースコードを閲覧します。
親ページを設定/閲覧できます(パンくずリストの作成やサイトの構造化に用いられます)
管理者にページの違反を通知する。
何か思い通りにいかないことがありますか? 何ができるか調べましょう。
Wikidot.comのシステム概要とヘルプセクションです。
Wikidot 利用規約 ― 何ができるか、何をすべきでないか etc.
Wikidot.com プライバシーポリシー

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /