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大海の底深く新しい知識の泡が生まれる

それではまた、リチャード・ファインマン先生の詩をご紹介しますね。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 海底深く分子は すべて互いのパターンを繰り返す 新しく複雑なものが生まれるまで こうして生まれたものはまた自らとそっくりなものを作っていく そしてまた新しい踊りがはじまるのだ [ 中略 ] ゆりかごを離れ こうして今 乾いた土地に佇む私は 意識ある原子 好奇の目を持った物質だ 恣意することの驚異に打たれ 私は海辺に立ちつくす  [ ☆1 ] - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

異界からの客人はどこへ消えたのか

小泉八雲の「怪談(不思議なことの物語と研究)」は明治時代までの日本に残っていた、怪異の話、不思議な伝承を丁寧に拾い集めたものです。 ギリシア出身の人気記者でありながら、日本文化の魅力にとりつかれ、日本の文化を海外に紹介した小泉八雲。「怪談」は、東京帝国大学を解職後の短期間でまとめられたものです。不可思議な物語を美しい文章に結晶させた傑作といわれています。 この「怪談」におさめられている物語は、人を怖がらせるための「ホラー」ではないと思います。むしろ読んでいて心の奥底が暖かくなるような本です。昔のなつかしい風景に再会して、ゆっくりと夕暮れに包まれていくような気持ちになる。怖い話であることは間違いないけれど、むしろそんな風に心を落ち着かせてくれるような本だと思います。 なぜでしょうか。その理由は、不思議なことが起きる「異界」が、とても自然に設定されているからだと思います。「怪異」が住んでいる世界が、ごく自然に私たちの隣にある。だから、どの物語も自然に私たちの心にしみ込んでくるのです。

おそらく史上最低のFBI捜査官だけど

ヤフェット・コットー演じる、アランゾ・モーズリ捜査官 いい脇役が活躍すると映画というものは面白くなる。個性的で癖のある脇役は、映画のテイストまでを変えてしまう。 この人もそうです。ヤフェット・コットー。「エイリアン」では、怪物に噛みつかれちゃうパーカー技術航海士の役をやってました。 この扮装は映画「ミッドナイト・ラン」に出てくるFBI捜査官。アランゾ・モーズリー捜査官の役です。どうですか。名前も格好も、すでに「大丈夫か、この人」という逆期待感に満ちています。コワモテなはずなのにどこか抜けてます。見ているこっちが心配になってきませんか?

今年はアンダンテくらいでいこう

恒例の元朝参りで、柴又の帝釈天を訪ねました。矢切の渡しを渡ったので、船着き場わきに咲いていたサザンカを描きました。帝釈天の参道は沢山の人出で賑わっておりまして、日本の原風景のようなこの門前の商店街が元気なことに嬉しくなりました。「男はつらいよ」のシリーズも終了してしまってもう15年ですが、この商店街が忘れられることはないようです。 たくさんの参詣客にまじってゆるゆると歩いた。だんご屋、うなぎ屋、飴屋、煎餅屋、軒を並べるお店をゆっくりと眺めながら。目に映る後景が新鮮。思えばいつもは早足で歩いている。周りの風景など見ることもなく大股で歩いている。 アンダンテという歩く速さというのは本来こんなものかも。今日のはむしろラルゴくらい?自分の周囲に目を配りながら、ゆっくりと歩くのっていいですね。今年はまわりを見渡しながら歩く余裕を持ちたいものです。みなさま本年もよろしくお願いいたします。 サザンカの 首かしげてはながめおり ラルゴであゆむ柴又の寺 サザンカ >>>

異国のお菓子の味をとても近くに感じた

おそらく今年最後の水彩画になると思われる一枚を描きました。でもこれはこのお菓子の実物を描いたのではないのです。この異国のお菓子、実際にはみたことないのです。 この夏より、スエーデンはゴッドランド島という極北の異国に暮らすお友達が送ってきてくださった写真をもとに描かせていただいたものです。このようにして、私は何万キロも離れた異国の味覚に想像をはたらかせ、ちょっと食欲をはたらかせながら、絵を描くことができたしだいです。こういうコミュニケーションはうれしいです。 思えば大変な時代だね。感慨ぶかい。 しかし現代ってどこかおかしくないか?

名作のカゲに芋の煮っ転がしあり

「男はつらいよ」シリーズ。全部で48作もあるのに、どれも面白い。クオリティが高い。なぜだろう。いやなぜだろうはないだろう。山田洋次監督はじめ、スタッフと役者がベストを尽くして作られたものだからだ、当然だ。 でもやはり、なぜだろう、と考えてしまう。世の中に、監督やスタッフがベストを尽くさない作品なんて無いのだ。なのに、面白い作品とそうではない作品が生まれてしまう。これは不思議なものだと、いつも考える。 ブックオフで『「男はつらいよ」うちあけ話』という本に出会った。著者は、松竹でシリーズの広告宣伝を担当していた池田荘太郎さん。池田さんの肩書きは「寅さん課長」という。まさにシリーズとともに生きた証人の言葉で書かれた本だろう。よし、このシリーズの秘密をさぐってみよう。

イブの夜にメトロン星人を思い出した

先週、珍しく眠れない夜がありました。 羊を数えて夜半に目が覚める。何度目かの深夜、ちょうどメッセージ着信。おっ、どこぞの誰かも眠れないのね。スマホを取り上げました。なになに。「お友達のHさんがあなたを[ SKILLPAPER ]にお誘いしています」とのメッセージ。お友達のHさんはNHK時代の同僚です。いまはなんとスエーデンの大学教授。なるほど眠れないのではなくて時差ね。 [ SKILLPAPER ]とはなかなか面白そうではないか。ふむふむ。自分の専門領域を7つ登録するのね。僕の場合「デザイナー」「料理」「教育」とかのキーワードを入れてみた。なるほどね〜。こんな風に自分の専門領域とか興味範囲をいれておくと、世界中のヒトビトと交流できるのか。明日の朝には、またまた沢山のフレンドたちとつながっているのであろう。 そんなことをやっているうちにいつの間にか意識を失っていた。