Posts

闇の奥

この人誰でしょう?  マーロン・ブランド演じる、ゴッド・ファーザー( ヴィトー・コルレオーネ)のつもりです。ちょっと似てないけど許してください。ジェンコ貿易会社の事務所で、ネコを抱いて座っているところですよ(想像)。なぜこの人の表情って怖いのでしょうか。今回、ゴッド・ファーザーDVDボックスの特典ディスクのメイキングを見ていて、やっと分かりました。 ゴッド・ファーザーが怖い理由、 それは彼の「目の表情」がよく見えないということ。 この人の「目」の表情は、飛び出した「額(ひたい)」の影で隠れちゃっているために「チラ」っとしてか見えない。だから怖い。他にも怖いところは沢山ある。なにしろガタイがでかい。ほっぺたがブルドックみたい(口にティッシュをつめた特殊メイク)、声がドスが効いて威厳があるし。でもとにかく一番怖いのが「闇の奥に隠れた目」なのだ。

芸は身を助ける その2

九段の靖国神社。僕はあの場所が好きなんです。それほどの愛国者でもない自分がなぜ?理由はふたつ。大村益次郎の銅像が建っていること。そしてその頭や肩に、たくさんのハトが停まっていること。あの風景を見ていると、大村先生(こう、呼ばせてください)が僕に「日本は平和を守るように」と語ってくれているような気がするんです。 大河ドラマ「花神」。中村梅之助さんが、生き写しのようなメーキャップで、大村益次郎を演じていました。若き村田蔵六が大阪の適塾にて頭角を現し、ついに兵部省次官・大村益次郎となる。このドラマ、大好きでした。だから、僕にとって、大村先生は他人のような気がしない。望遠鏡を持って遠く(上野なんでしょうね)を見つめる銅像。その後ろ姿を見ていると、あのテーマ曲が聴こえてくる。林光作曲のあのメロディー。逞しいチェロの音色。ほんと良い曲だった〜。 ところで、あんな高い塔の上の立派な銅像って日本では珍しい。あれに負けないのはトラファルガー広場のネルソン提督像くらいじゃないかしら。(僕の知っている範囲で)なぜあんなに立派なのか。日本の近代化に尽力した大村先生。皆からとても尊敬されていたから。でもそれだけで、あんなに立派な銅像が建つものだろうか。ずっと疑問に思っていました。

芸は身を助ける

最近、学生さんから相談を受けたり、高校生のご家族とお話していると「資格」について質問をされることが多い。テレビ局に入るにはどのような資格があれば良いのか。放送局で働くのに役立つ資格とは何なのか。正直なところ、答えに困ってしまいます。もちろん、電波や通信関係の技術的な資格はあるし、技術職の方には役立ちます。でもディレクターやプロデューサーとなると、あまり資格は関係ないのです。 本音で言うと、私はこう答えたい。「実際のテレビ局の現場で何が役立つかなんて、その時まで分からない。だから何でも勉強して、人に負けない一芸を持つように」と。でも、これでは答えにならない。高校生や大学生のみなさんが求めているのは、生活の保障となるような資格。 先月、家内が映画「武士の家計簿」をDVDで借りて来てくれました。なんと私の教育用です。 「しっかり見て、勉強するように」 バブル時代に会社生活を送ったせいか、お金に大雑把な私。幼少期に甘やかされたのもいけないのかしら。どうも経済観念が甘い。タイトルからして、おそらくこの映画は、窮乏生活に耐えるために家計簿をしっかりつける武家の話だろう。私を倹約家に改造するために、家内はこのビデオを「教育用」に選んだとのことです。 「はい」。私は素直に見始めました。映画は大好きだもんね。 昨年暮れに夭折した森田芳光監督晩年の作品。さすが、ただの倹約家の話ではなかった。家内は、私の「節約術」の教育には役立たないと知り残念そうでしたが、結局、家族そろって泣き笑い。感動してこの映画を見ました。そして我が家に残ったのは、この鮮やかなメッセージ。「芸は身を助ける」

火曜日が楽しみ

ものすごく忙しい週末だったので、あまり気にもとめていなかったのですが、先月の5月19日(土)に、千葉県地方では大変なことが起きていました。広域にわたる「断水」で、埼玉や群馬でも騒ぎは広がったのです。基準値を超えるホルムアルデヒドが検出されたから。 我が家の近所のコンビニや酒屋さんでも、ペットボトルの水が早々に売り切れに。しかし結局のところ、我が家は「断水」という事態には、ならなかったのです。なぜか。それはうちの近所の「浄水施設」が最新で優秀の施設だったからです。 くわしくは知りませんが、なにか特殊な浄化装置というものがあるそうで、浄水所によってはそれが無いところもあったとのこと。人間の生活にとって「水」の供給は、最も重要なインフラ。浄水施設の機能がこうして進歩しているのは、なんだか安心。関東県全域にこうした設備が配備されてほしいですね。 「エリン・ブロコビッチ」という映画は、「水」をめぐる法廷闘争を描いた映画。弁護士の資格もなく、ロースクールに通った事もない、極貧のシングル・マザーが、公害を垂れ流す大企業を相手に、巨額の賠償金を勝ち取った。そういう実話に基づいて作られています。まるで映画のような話。だけど実話。アメリカ全土が、このサクセス・ストーリーに「スカっとした」という。私もこの映画、見て「スカっと」しました。思いっ切り。

初恋の来た道

チャン・イーモウ監督作品「初恋の来た道」。原題の意味は「私のお父さんとお母さん(我的父親母親) 」というのだと、うちの研究室の中国人留学生が教えてくれた。「きれいなお母さん」も、本当は「きれいな大きな足」というタイトルなんだって。なんだって、こんなに変わっちゃうのかな。ちなみに「北京バイオリン」は「あなたと一緒に」なのだそうですね。 最近では、日本公開の洋画のほとんどが原題をカタカナにするだけになった。中国作品の場合は漢字だからそうもいかない。どうせ日本語に直すのだから、映画の主題が分かりやすく、あるいは親しみやすいタイトルに変えるのでしょうね。「初恋の来た道」は確かに、この映画の重要なテーマなのだけど、本当の主題ではない。(だからといって、この素晴らしい映画の価値が下がるわけではないけれど)

ラベンダーの香り

時間旅行と聞いて「ラベンダーの香り」を連想する。NHK青少年ドラマを見て育った、僕たち昭和世代はみなそうだろう。元祖タイムトラベル小説「時をかける少女」の設定だから。時間旅行の秘密は、ラベンダーの香りがする謎の薬品にある。未来人が持って来たのだった。  時間旅行ができれば、誰でも人生をやり直すことが出来る。自分で自分の過去を修正する。今となっては「誤ち」と分かっている、過去の行為を今の自分がやり直すのだ。これが可能ならば、誰の人生も完璧なものとなる。 「メン・イン・ブラック(MIB)3」を、東宝シネマズ日劇で見た。ステレオ3Dですよ。これまでの前2作とも大好きな私。ハチャメチャなストーリー展開でありながら、大真面目な科学定理や、冷徹な人生哲学が散りばめられている。このシリーズは、私にとってSF映画の見本みたいなもの。このシリーズのDVDは、床の間に飾っておきたい。 この「MIBシリーズ」で、なぜかこれまで封印されて来たのが「時間旅行」だ。SF映画にとって常套手段だけど、使いようによっては、シリーズ全体の流れを崩壊させてしまうかもしれない。陳腐で安易なB級映画に成り下がっちゃうかもしれない。やはり禁じ手だったのか。それともバリー・ソネンフェルド監督は、最後の手段として温存してきたのかしら。

ニワトリの日

「コケーッコー」たかが一羽のニワトリの叫び。だけど、この一声は、ポップミュージックの歴史を変えた一声ではないだろうか。ビートルズの名盤「サージェント・ペッパース」のB面(☆1)終盤で「グッド・モーニグ グッド・モーニング 」から「サージェント・ペッパーズ(リプライズ)」の間。この「コケーッコー」が、2曲を見事につなぎ合わせる。 前半の「コケーッ」までは、ニワトリの声なんだけど、後半の「コー」は、ジョージ・ハリソンの弾くギター・イントロ。合わせると「コケーッコー」と聞こえる。録音技術によるマジックです。 このアイデアは、45年前の今日、1967年4月19日水曜日に生まれた。 「 ビートルズ・レコーディング・セッション」 (☆2)によると、その日、ロンドンのEMIスタジオでは、サージェント・ペッパーズから、マジカル・ミステリー・ツアーにいたるレコーディングスケジュールが目白押しだった。