SCP-954-JP
評価: +34
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収容前のSCP-954-JP

アイテム番号: SCP-954-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-954-JPは内部が空の状態で標準静物収容ロッカーで保管してください。実験はレベル2以上の職員によって行われます。実験はレベル4以上の職員の監視下で行われます。Dクラス職員以外が活性化中のSCP-954-JPの影響下に入ることは許可されません。また実験室外でSCP-954-JPを活性化させることは禁止されています。破損を防ぐためSCP-954-JPの活性化に使用する液体は水のみが認められます。

説明: SCP-954-JPは一般的に電気ポットと呼称される電気機械器具です。高さ20cm、直径15cmで外部には「ON/OFF」と書かれた切り替え式のスイッチが1つ付いており、████社製の商品に酷似しています。SCP-954-JPは内部に液体を入れて電力を供給し、液体を沸騰させることで活性化します。沸騰した蒸気が存在する空間はSCP-954-JPの影響下となり確率の高い事象が必然的に発生します。活性化中のSCP-954-JPの影響下では概ね現実改変に近い現象が発生しますが、その発生プロセスは不明なため現在調査が進められています。

SCP-954-JPは福岡県██大学の学生のSNSへの投稿の拡散がきっかけで財団の興味を惹きました。投稿された内容は「コンピューターRPGのコマンドが20回すべて失敗した」という旨のものでした。学生の選択が成功する確率は30%であり、これが全て失敗する確率は0.08%となります。当初は非異常性の事象だと考えられていましたが、この生徒と同じ研究室に所属する学生による同様の投稿が複数回あったため調査が行われました。現地エージェントによる調査の結果、この現象がSCP-954-JPによるものだと判明し回収されました。SCP-954-JPは同研究室の助教授が個人的に購入したもので、2週間前から使用されていたことが明らかになっています。この製品を製造・販売していた████社の同製品には異常は確認されていません。SCP-954-JPが発見された研究室が確率論を研究対象としていたことは特筆に値します。

以下はSCP-954-JPの異常性解明を目的として行われた実験記録の抜粋です。

実験記録954-JP-1

日付: 20██/10/█

実験場所: 標準低脅威度実験室(×ばつ3m)

実験方法: SCP-954-JPに水を注ぎ活性化させた状態で電動サイコロ振り機を用いて一般的な6面サイコロを1個振る。

結果: 10000回試行を行ったところ下記の表の通りになった。
サイコロの目 回数 確率
1 1667 16.67%
2 1666 16.66%
3 1667 16.67%
4 1667 16.67%
5 1667 16.67%
6 1666 16.66%
10000 100%

分析: 確率通りの結果になった。特筆すべき点は、サイコロを6回振るごとに事象が起きた回数がすべて等しくなったことだ。-柄西博士

実験記録954-JP-2

日付: 20██/10/█

実験場所: 標準低脅威度実験室(×ばつ3m)

実験方法: SCP-954-JPに水を注ぎ活性化させた状態で電動サイコロ振り機を用いて細工した6面サイコロを1個振る。サイコロは比重の異なる材質を使用しており1の面が出やすくなっている。

結果: 10000回試行を行ったところ下記の表の通りになった。
サイコロの目 回数 確率
1 10000 100%
2 0 0%
3 0 0%
4 0 0%
5 0 0%
6 0 0%
10000 100%

分析: 異常な結果となった。実験中、サイコロの挙動に不自然な点は見られなかった。 -柄西博士

実験記録954-JP-3

日付: 20██/10/█

実験場所: 大規模実験室(×ばつ12m)

実験方法: 実験室の1角でSCP-954-JPを活性化し、残りの3角で実験記録954-JP-1および実験記録954-JP-2と同じ試行をする。

結果: 3角で実験記録954-JP-1および実験記録954-JP-2と同等の結果になった。

分析: SCP-954-JPの有効範囲は少なくとも39mはあるようだ。 -柄西博士

実験記録954-JP-4

日付: 20██/10/██

実験場所: 屋外

実験方法: SCP-954-JPから1~10m離れた地点で実験記録954-JP-1および実験記録954-JP-2と同じ試行をする。

結果: すべての実験で非異常性の結果となった(詳細な表は添付用紙を参照)。

分析: 屋外ではSCP-954-JPの影響はないようだ。 -柄西博士

実験記録954-JP-5

日付: 20██/10/██

対象: D-954-JP-1

実験場所: 標準低脅威度実験室(×ばつ3m)

実験方法: D-954-JP-1を用いて実験記録954-JP-1および実験記録954-JP-2と同じ試行をする。

結果: それぞれ下記の表の通りになった。
実験記録954-JP-1と同じ試行
サイコロの目 回数 確率
1 1667 16.67%
2 1667 16.67%
3 1667 16.67%
4 1666 16.66%
5 1666 16.66%
6 1667 16.67%
10000 100%
実験記録954-JP-2と同じ試行
サイコロの目 回数 確率
1 10000 100%
2 0 0%
3 0 0%
4 0 0%
5 0 0%
6 0 0%
10000 100%

分析: 電動サイコロ振り機を用いた実験と同等の結果になった。機械に干渉する性質ではないと確認できた。また実験に参加したDクラスへの影響もないようだ。Cクラス以上の職員による実験を許可する。 -柄西博士

実験記録954-JP-10

日付: 20██/11/█

対象: 長戸研究員、Agt.坂和

実験場所: 標準低脅威度実験室(×ばつ3m)

実験方法: 将棋

結果: 異常は見られなかった。

分析: 思考には影響しないようです。 -長戸研究員

実験記録954-JP-13

日付: 20██/11/█

対象: 長戸研究員、Agt.坂和、佐藤研究員、鈴木研究補佐

実験場所: 標準低脅威度実験室(×ばつ3m)

実験方法: トランプ1組を用いたポーカー(ファイブ・カード・ドロー)

結果: すべてノーペアとなった。

分析: カードを引く確率が操作されているのか、役ができる確率が操作されているのか現時点では断定できません。しかし後者の場合は対象の意識を読み取っている可能性があります。 -長戸研究員

実験記録954-JP-15

日付: 20██/11/██

対象: 長戸研究員、佐藤研究員、鈴木研究補佐

実験場所: 標準低脅威度実験室(×ばつ3m)

実験方法: トランプの山の順番を事前に記録し、実験記録954-JP-13と同じ試行をする。

結果: 実験記録954-JP-13と同じ結果となった。カードの順番は記録したものと明らかに異なっていた。

分析: なんらかの現実改変もしくは情報災害の可能性が考えられます。またSCP-954-JPが対象の意識を読み取っているという仮定は正しいと見て良いでしょう。 -長戸研究員

実験記録954-JP-16

日付: 20██/11/██

対象: 長戸研究員、佐藤研究員、鈴木研究補佐

実験方法: トランプ1組を用いた神経衰弱。事前にカードの種類と場所を記録しておく。

補足: 記録は対情報災害措置を施した用紙、および電子端末に記録された。また室内にカント計数機を設置しヒューム値の変化を記録した。

結果: 1枚目は「ハートのA」であった。2枚目は「スペードのA」があった場所をめくったが、そのカードは「スペードのK」に変わっていた。また元々「スペードのK」があった場所は「スペードのA」に変化していた。カメラの映像記録にも異常はなく、カント計数機の値も変動していなかった。

分析: 現実改変および情報災害ではないようです。しかしSCP-954-JPが対象の思考を読み取っているのは確定的です。 -長戸研究員

追記: 実験後、インシデント954-JP-1が発生しました。詳細はインシデント記録954-JP-1を参照してください。

以下はSCP-954-JPを用いた実験中に発生した事件の記録です。

インシデント記録954-JP-1

発生日時: 20██/11/██
対象: トランプ(識別番号:0012)
説明: 実験954-JP-16終了後、変化した「スペードのK」のカードを佐藤研究員が分析のため実験室外に持ち出したところ、絵柄が「スペードのA」へと変化しました。このときSCP-954-JPは活性化したままでしたが、カードの変化に佐藤研究員が気づく前にSCP-954-JPは不活性化されました。これにより実験に用いられたトランプは「スペードのA」のカードが2枚存在し、「スペードのK」のカードが存在しない1組のトランプとなりました。

インシデント記録954-JP-2

発生日時: 20██/03/██

対象: Agt.坂和

説明: Agt.坂和、長戸研究員の2名がSCP-954-JPを用いた実験のため、実験室でSCP-954-JPを活性化したところAgt.坂和が消滅しました。身に着けていた衣服も同時に消滅しましたが、別施設のAgt.坂和の私物は残ったままでした。また前日にAgt.坂和から長戸研究員へ贈られ、事件日に白衣に装着していたボールペンも同時に消滅しました。消滅後すぐにSCP-954-JPは不活性化され長戸研究員へのインタビューが実施されました。

以下は長戸研究員へのインタビュー記録です。

インタビュー記録954-JP-2

対象: 長戸研究員

インタビュアー: ██博士

補足: 長戸研究員には事件による動揺を抑えるため、事前に精神安定剤を処方しています。

<録音開始>

インタビュアー: それではインシデント954-JP-2に関するインタビューを始めます。よろしくお願いします。

長戸研究員: よろしくお願いします。

インタビュアー: まずあなたは坂和さんのご友人でしたね。彼が消滅した理由に何か心当たりはありますか。

長戸研究員: (怪訝な顔をする)......どうして坂和の名前が出るんですか。

インタビュアー: どうしても何も、今回の事件の当事者だからです。質問に答えてください。

長戸研究員: ......分かりました。最近、といっても最期に会ったのは4か月前ですが、Agt.坂和は普段通りでした。特に任務の前だからと緊張する様子もなかったです。月並みですが、まさか死ぬとは思っていませんでした。

インタビュアー: 最後に会ったのが4か月前というのはどういう意味ですか。それにまだ亡くなったと決まったわけではありません。その原因を解明するためのインタビューです。

長戸研究員: 私は坂和が11月██日の任務で殉職したと聞いたのですが、違うのですか?

インタビュアー: そのような事実はありませんね。確かに重傷を負いましたが、先日復帰しました。現に、長戸研究員も先ほど彼と実験をしていましたよね。

長戸研究員: 一体何をおっしゃっているのか分かりません。坂和は4か月前に死んでいますし、今日の実験は私1人で行いました。

インタビュアー: ......ああ、そうでしたね。では、今日の実験の目的と結果を簡潔に話してください。

長戸研究員: …分かりました。目的はSCP-954-JPの異常性解明のためで、事案954-JP-1の再現実験をする予定でした。結果は......すみません、ちょっと、思い出せません。

インタビュアー: 結構です。では今回のインタビューはここで終了とします。

<録音終了>

終了報告書: 長戸研究員の記憶に混乱が見られるようです。事件の心的外傷によるものかもしれませんが、オブジェクトによる影響の可能性も考えられます。検査をお願いします。

追記: 後日行われた検査により記憶の改変が確認されました。これはSCP-954-JPの異常性によるものと推測されています。長戸研究員に対しては改変された記憶を記録した上で記憶処理が行われました。

インシデント記録954-JP-3

発生日時: 20██/12/██

対象: SCP-954-JP-1

説明: ██博士による実験中にSCP-954-JP-1が出現しました。SCP-954-JP-1は30代の平均的な日本人男性です。出現時は一般的な財団研究員の服装をしており、自らを「利賀 ██」と呼称していました。財団のデータベースに「利賀 ██」という人物は存在しないことに留意してください。SCP-954-JP-1は█年前から財団に勤めていたと主張しています。クリアランスレベル2相当の機密情報も保持していましたが、これらの情報をSCP-954-JP-1が得た経緯は不明です。また実験に使用されていたD-954-JP-██はSCP-954-JP-1に関して「実験の前からいた」という旨の発言をしていますがそのような映像記録は残っていません。

SCP-954-JP-1は財団の研究員に等しい知識を持っており、財団が未発見のオブジェクトの収容方法も把握しているようです。根拠やデータが不足しているためSCP-954-JP-1の出自は依然として不明ですが、「SCP-954-JP-1は平行世界の財団に所属していた職員である」とする仮説が有力視されています。財団はこの仮説に基づいてAgt.坂和の行方を調査中です。

また上記の仮説を基にして、SCP-954-JPが"平行世界における財団の存在可能性の低さに起因する反ミーム的性質"を持つとする考えが提言されました。この提言ではSCP-954-JPの異常性は「観測されない現実改変」と推測されており、現在反ミーム部門およびSCP-954-JP担当研究員によって議論が進められています。

財団への貢献と忠誠が評価されたため、SCP-954-JP-1は「██ ██」として雇用されました。
この事実はセキュリティクリアランスレベル3以下の職員に対して隠匿されています。

ページリビジョン: 11, 最終更新: 28 Jan 2025 01:25
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