SCP-1995-JP
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1995内部で撮影された1995-1の写真。

アイテム番号: SCP-1995-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 収容及び研究のために、サイト-84がSCP-1995-JPの存在する区画の上に建てられます。SCP-1995-JP内部の探索は原則的に無人探査機によってのみ行われますが、職員が探索する場合はセキュリティクリアランスレベル4の職員2名の承認が必要です。この際、レベルA化学防護服の着用とARAD位置探査プログラムを導入した通信機の所持が義務付けられます。

SCP-1995-JP-1への栄養補給は不要ですが、内部に設置した監視カメラによる監視と無人機による定期的な健康診断とSCP-1995-JP-2の撤去が行われます。撤去したSCP-1995-JP-2は有害物廃棄プロトコルに従って処理してください。SCP-1995-JP-1に敗戦を直接または間接的に伝える行為は急激なショックを引き起こし、収容違反のリスクを高めると推測されます。このためSCP-1995-JP-1との接触の際にはKSM-08の指示する会話パターンに従うことが義務付けられます。指示を無視した場合、通信機の通話機能が一時停止します。

SCP-1995-JP-1がSCP-1995-JP出入口まで接近した場合、機動部隊ん-1("牛飼い")が非常時プロトコル1995-JPを行います。機動部隊ん-1("牛飼い")は禅宗、もしくは密教系宗派の僧侶である職員1000名とオカルト交戦時戦略(COS)の訓練を受け焼夷性の兵器を装備したエージェントで構成されます。プロトコル中の死亡等により僧侶に欠員が発生した場合はただちに補充してください。これはSCP-1995-JP-1が一時的に無力化するまで行われ、SCP-1995-JP-1の無力化後は即座に再封印プロトコル1995-JPへと移行します。非常時プロトコル及び再封印プロトコルについての具体的な手順は文書1995-JP-1-Aを参照してください。

未収容のSCP-1995-JP-2の捜索並びにスサノオ計画に関連する情報の回収作戦は重要事項です。これらの作戦の進行状況へのアクセスを希望する場合は、中央情報管理局への申請を行ってください。

説明: SCP-1995-JPは東京都██区██に存在する、全長200 mの廊下と、廊下の左右両側に4部屋ずつ、最奥に1部屋を備えた合計9部屋の特殊地下壕です。SCP-1995-JPは内部に侵入した人間の生体から時間感覚を喪失させ、クラス1U現実改変能力を付与します。死んだ人間、人間以外の生物、無生物には能力が付与されません。無人機によって回収された職員の記録から、この能力はSCP-1995-JPを拡張させ続けることに限定され、侵入者がSCP-1995-JPからの脱出に失敗する理由となっていると推測されます。SCP-1995-JP内部は外部との通信が可能であり、双方向通信を行っている場合は現実改変能力が軽減され、帰還可能であることが判明しています。

SCP-1995-JP内部の様子は前述した改変能力の付与から、人間による認識と機械による記録で詳細が異なります。映像では廊下にはSCP-1995-JP-2の他に目立った特徴はありません。左右の各部屋はすべて約42 m2で同じ作りとなっており、家具の配置と回収された書類からSCP-1995-JP-1に関連する計画の研究室とみられています。最奥の部屋のみ約70 m2の空間の3方を障子で覆ったものとなっており、障子の内部は和室になっています。和室内部にはいくつかの小児用の玩具の他に特筆すべきものは存在しません。SCP-1995-JP-1は基本的にはこの和室に存在します。以下は第2回の探索から帰還したエージェント木原██のインタビュー記録です。以下のインタビューは人間によって認識されるSCP-1995-JPの代表例についてです。

対象: エージェント木原██

インタビュアー: 品川博士

付記: エージェント木原██は第3回目の探査に参加したエージェントです。この探査は1947年██月██日にSCP-1995-JP内部とSCP-1995-JP-1の映像記録とSCP-1995-JP-1のインタビュー記録の入手を目的として行われ、各職員に記録機器と通信機が配布されました。探査途中で記録機器が故障し、映像記録は途中で終了しています。

<録音開始, 1947/██/██>

品川博士:まずはこちらの映像を見てください。これはあなたのカメラが映した映像です。

[エージェント木原がSCP-1995-JP内部で撮影した約200分の映像を早送りにしたものが映されます。廊下を歩いて和室に繋がる部屋の扉を開け、SCP-1995-JP-1の姿を撮影するまで記録は続いています。映像の途中にSCP-1995-JP-2以外の特筆すべきものは映っていませんが、たびたび画面が激しく揺れ、他の職員が何かを払っているような仕草をしているのが記録されています。和室に立っているSCP-1995-JP-1を映した時点で映像は終了します。]

エージェント木原: 信じられない......俺が見ていたものとはまるで違う。

品川博士: ええ、帰ってこられた方はみなさんそう仰るんです。ですので、まずは木原さんが見たままをお話しください。

エージェント木原: 了解した。そうだな、俺たちが見た空間にはこの葉っぱ、SCP-1995-JP-2と言うんだよな?これはなかった。代わりに夥しいほどの[5秒沈黙]鬼がいた。

品川博士: 鬼ですか?すみません、もう少し科学的に描写してください。どんな生物に似ているとか、大きさはどの程度か、などで結構ですので。

エージェント木原: <嘆息>まあ鬼でした、じゃすまないよな......。あれは小猿のような体つきの動物だった。俺には猿に角と牙をつけて、全体を黒っぽくしたものに思えたよ。大きさは3 cmから10 cmくらいだろうか。それが無数にあの廊下にいた。口を動かしてたから何か喋っていたのかもしれないが、俺には聞き取れなかったな。

品川博士: その生物は何か特筆すべき動作を行っていましたか?

エージェント木原: 俺たちを見つけると群がってきた。さっきの映像の中でみんなが変な仕草をしてただろう?多分あれは、俺と同じようにあの生き物どもを払いのけようとしてたんだと思う。意味が無かったけどな。奴らは払ったそばからしがみついてくるんだ。それしかしてこないから、まあ、慣れれば鬱陶しい蠅のようなものだ。

品川博士: そうですか。廊下では他に何がありましたか?

エージェント木原: 視界内での異常はあの生物だけだな。ただ音楽、神社のお祭りみたいな笛やら太鼓やらを使った景気のいい音楽が時々聞こえてきた。一番奥の部屋から漏れてるようだったよ。あとは異常な現象はなかった。

品川博士: なるほど。では次の質問です。木原さん、和室のSCP-1995-JP-1はどう見えましたか?

エージェント木原: おもちゃに囲まれた普通の子供みたいに見えたよ。頭も、あんなんじゃなかった。
<録音終了, 1947/██/██>

終了報告書: このインタビュー終了後、続けてSCP-1995-JP-1との接触についてのインタビューに移ろうとしましたが、エージェント木原が突如SCP-1995-JP-2を吐き出し始めたため中止されました。吐き出されたSCP-1995-JP-2は合計36 kgに及び、エージェント木原は[データ削除済]、品川博士と尋問室で控えていたセキュリティ2名は医務室へ運ばれました。

SCP-1995-JP-1はクラスIV現実改変者に指定されているヒト型実体です。外見は身長120 cm、体重20 kg前後の第二次性徴期前のモンゴロイド女性となっています。外見上の特徴として、SCP-1995-JP-1の第七頸椎から上はウシ(Bos taurus)の成体のオスのものと置き換えられていることが挙げられます。これによるSCP-1995-JP-1の生命維持に関わる問題は発生していませんが、発声が不明瞭になっています。SCP-1995-JP-1は基本的な日本語を理解し、国民学校初等科1年程度の知識を有していますが、財団の収容が開始してから、SCP-1995-JP-1は肉体精神ともに発達の兆候を見せず、食事や排泄など生命維持活動も行っていません。

SCP-1995-JP-1の主要な現実改変能力はSCP-1995-JP-2の生産です。SCP-1995-JP-1はSCP-1995-JP内部に約360 kg/日のペースでSCP-1995-JP-2を不随意に発生させる他、視認した任意の場所にSCP-1995-JP-2を出現させることが可能です。これは通信機器越しでも発動出来ます。任意でSCP-1995-JP-2を発生させる場合の、1度に生産可能な数量の上限については不明です。

SCP-1995-JP-2は先端が二又に分かれたヨシ(Phragmites australis)の葉です。SCP-1995-JP-2の表面には複数の病原体が付着しており、空気感染によりヒトの伝染病を媒介します。また、SCP-1995-JP-2とヒトの皮膚が接触した場合、なんらかの疾病が必ず発症します。SCP-1995-JP-2によって感染した疾病は従来のものよりも症状が重篤となり、進行スピードも速くなる傾向があります。以下はSCP-1995-JP-2が引き起こす疾病の代表例です。完全なリストは文書SCP-1995-JP-2を参照してください。

  • 天然痘
  • A群赤痢菌による赤痢
  • 麻疹
  • 結核
  • A型インフルエンザウィルスによるインフルエンザ
  • 腸チフス
  • マラリア
  • ハンセン病

SCP-1995-JP-1は視認した伝染病患者の症状を治癒から死亡まで任意でコントロールすることができます。患者の症状を軽減させる方向へとコントロールした場合、SCP-1995-JP-1の半径1 m以内にSCP-1995-JP-2が出現します。出現するSCP-1995-JP-2の数量と症状の軽減度合いは正の相関関係にあると見られています。

SCP-1995-JP-1は収容開始時から現在に至るまで、第二次世界大戦が日本軍優勢で継続中であると認識しているようです。SCP-1995-JP-1がSCP-1995-JPからの脱出を試みていないのは、この認識が理由であると考えられています。現在SCP-1995-JP-1の思考パターンを矯正する教育プログラムが小児心理学部門から提案されています。

対象: SCP-1995-JP-1

インタビュアー: 東博士

付記: インタビューは無人機に搭載した音声通信機を介して行われました。また、SCP-1995-JP-1の発言は不明瞭な発音からの類推であることに注意してください。

<録音開始, 194█/██/██>

東博士: 初めまして。私は東博士だ。君の名前を教えてくれるかな?

SCP-1995-JP-1: あずまはかせ、はじめまして。わたしはけんきゅうじょのみなさまからななことよばれています。

東博士: ななこちゃんか。ななこちゃん、その人たちはどこに行ったかわかるかな。

SCP-1995-JP-1: わかりません。このへやでまっているようにいわれて、きがついたらだれもいなくなっていました。

東博士: なるほど。一人で待っていて退屈しなかったかい。

SCP-1995-JP-1: まつのもおしごとのうちだといわれたのでだいじょうぶです。それに、いつでもでられるとおうじのみんながおしえてくれました。

東博士: おうじとは誰のことか、どうやったら外に出れると言ったのか、教えてもらえるかな。

SCP-1995-JP-1: おうじはともだちです。はっぱにのって、はちにんでたくさんのちいさいけんぞをつれてあそびにきてくれます。はっぱとけんぞはすぐにふえるので、それでろうかをいっぱいにしたらでられるといっていました。

東博士: じゃあ、どうしてななこちゃんはおうじと外に出て行かないんだい。

SCP-1995-JP-1: それはおやくめではないからです。

東博士: お役目?

SCP-1995-JP-1: しんこくにふみいったべいえいをしんばつでほろぼすおやくめです。なにがべいえいなのかは、ここにいらっしゃったぐんじんさんがおしえてくださるそうです。あの、あずまはかせ。

東博士: 何かな。

SCP-1995-JP-1: まだ、おやくめをしなくてもだいじょうぶですよね。ていこくはかってますよね。

東博士: もちろんだよ。

<録音終了, 194█/██/██>

SCP-1995-JPは第二次世界大戦での日本の敗北後、大日本帝国陸軍特別医療部隊(通称負号部隊)の日本各地に点在していた研究施設を調査していた財団によって1945/08/██に発見されました。SCP-1995-JPの存在する施設は調査当時すでに放棄されており、文書のほとんどが焼却されていました。

負號部隊作戰指令書
スサノオ計劃第漆號使用ニ関スル覚書
要綱 スサノオ計劃ニヨッテ生産サレタ第漆ノ稚兒ヲ帝都地下ニ安置ス。本研究所ハ稚兒ノ力ヲ奉リ研究スル施設ナリ。萬一帝都ニ外敵入ラントスルナラバ、第漆號惡魔降伏ノ形相現シ素戔嗚尊ノ御力放チテ天下安全ノ守護タラントス。部隊員第漆號ニ附キ添ヒテ其ノ力善ク管理スルコト。

第漆號亂心ノ時ハ、速ヤカニ僧竝ベ大般若經唱エ島渡ラスベシ。僧ガ直チニ入手出來ヌ時ハ地下ノ檻ニ第漆號ヲ誘導スルコト。地下ハ木戸少佐ニヨリミーノータウラスノ呪法施サレ、解呪ノ法知ラヌ者ハ惑ヒ續ケル迷宮ナリ。
ツチグモ部隊隊長 木戸能彦少佐ノ御言葉 本研究所配屬ノ隊員ハ稚兒ヲ奉リ帝都ノ惡疫ヲ封ズル大變譽レ高キ者デアル。第漆號ハ病ヲ癒スモ與フモ思フガママナリ。其ノ力ヲ善ク導キ、滿州ノ部隊ニ遲レヲ取ラヌ研究ヲ行フヤウ。

補遺: 1995年01月18日に兵庫県西宮市██、2011年03月12日に宮城県████の沿岸地域で突発的な伝染病の流行が報告されたため現地エージェントが調査を行ったところ、それぞれ約20 kgのSCP-1995-JP-2が回収されました。回収及び患者の財団医療部門への輸送後、地域住民にはCクラス記憶処理が施されました。各地域では伝染病の流行と前後してSCP-1995-JP-1に類似した人型異常存在についての目撃情報が発生しています。さらなる情報についての調査が進行中です。

Footnotes
. KSMシリーズは異常な現実認識を持つヒト型実体との接触をより安全に行うために構築された対話用AIです。KSM-08は異常な歴史認識への対応に特化してします。
. 全サブタイプ指定"U"はUncontrolledないしUnintentional、すなわち能力を制御できていないか、発動条件が非意図的であると考えられている現実改変者の分類です。この分類の完全な定義は"現実改変者:分類と推定脅威度"を参照してください。
. 外部情報を受け取ることにより現実改変者が無意識的に認識を補正している可能性が示唆されています。
. DNA分析によりこのウシは日本固有の在来種に類似した遺伝的特徴を持つ不明な種であることが判明しています。
. 第二次世界大戦中の日本の初等教育制度です。1年次は現在の日本国の小学校1年に相当します。
. これには本来接触感染しない疾病も含まれます。
. 大日本帝国陸軍において異常なオブジェクトやテクノロジーに基づいた軍事研究を行っていた部隊です。詳しい情報は文書:GoI-581調査報告を参照してください。
. 第二次世界大戦時、負号部隊は蒐集院と協力して神道の神々の名を冠する計画を複数立案していました。それらは兵器としての現実改変者の作成を目指したものがほとんどだと言われていますが敗戦時に多くが焼却され、財団が全貌を掴めている計画はほとんどありません。
. 負号部隊において、宗教・オカルトの方面から軍事研究を進めていた蒐集院出身のツチグモ部隊の隊長です。日本の敗戦以降の消息は不明です。
ページリビジョン: 15, 最終更新: 29 Aug 2021 16:24
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