SCP-1878-JP
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バイク.jpg

SCP-1878-JP-A1

アイテム番号: SCP-1878-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1878-JPは現時点では収容に至っていません。各都道府県の警察組織との連携の基、記憶処理と各種カバーストーリーを適用してSCP-1878-JPの活動の痕跡を隠匿して下さい。隠匿が困難であるほどの情報の流出が確認された場合はプロトコル・オペレッタを適用して事態の鎮静に努めて下さい。SCP-1878-JP-Bの出現が確認された場合は近辺のサイトに駐留する戦闘訓練を受けた機動部隊及び職員を動員して鎮圧に努めて下さい。SCP-1878-JPとSCP-1878-JP-Bの戦闘は特例として観測のみに留められ、SCP-1878-JPへの攻撃及び収容の試みは認められません。

プロトコル・オペレッタ概要: SCP-1878-JPの存在の隠匿が困難である場合に備え、事前に各都道府県の警察関係機関により防犯意識を高める目的のマスコットとしてSCP-1878-JPの存在をPRすると共に、SCP-1878-JPを模した人形やイラストを配布する事で民間人の混乱及び異常性の流布を阻止します。実際の事件発生時にはカバーストーリーとして、「PR中の着ぐるみを着用した捜査官が緊急時の対応としてそのままの服装で現場に到着した」との説明が為されます。

説明: SCP-1878-JPは"巡回機動捜査官 ライダー・モノクローム"と自称する人型の実体です。実体は全身に黒を基本として白いストライプとアーマー状の意匠が各部に施された、未特定の素材で構成されている柔軟なラバー状のスーツを着用しています。頭部から顔面下部にかけては流線形の柔軟な素材で構成されたパトランプ状の物体が装着されており、この部位は点灯時に目視した人間の動きを5秒間麻痺させる効果を持つと推測されていますが、詳細な説明は実体から行われていません。実体は大柄な成人男性の体型を見せますが人体の可動域を逸脱した関節の可動を行う事が可能であり、衝撃を受けた際も一時的な変形の後に再度の変形で元の外観へと戻ります。実体は損傷する様子を見せませんが、これらは後述するガジェットの影響であると推測されています。

以下はSCP-1878-JPに対して最初期に行われたインタビュー記録です。この時、SCP-1878-JPは暴走運転を行っていた未成年グループの捕縛を行っており、警察官へ引き渡しが完了した直後にインタビューが試みられました。

対象: SCP-1878-JP

インタビュアー: Agt.名郷

付記: Agt.名郷は制服を着用して自身の身分を警察関係者として偽装しています。

<再生開始,(200█/01/06)>

[捜査官が少年達を確保している間、SCP-1878-JPは柔軟体操を行っている]

Agt.名郷: すいません、少しよろしいですか?

SCP-1878-JP: む、本官に何か用かね?<屈伸を中止してAgt.賀上に振り向く>

Agt.名郷: まずは御協力を感謝します。ところで、貴方は一体?

SCP-1878-JP: 本官は巡回機動捜査官ライダー・モノクローム!少年達の暴走行為を発見した為、補導に協力させてもらった。こちらこそ感謝する。

Agt.名郷: 警察関係者ではありませんよね?

SCP-1878-JP: ああ、その通り。本官はポリスチームではあるが、警察には属さずにこの心の内に燃える正義の炎によって任務を完遂している。しかし、警官達の邪魔をする積りは無い。安心したまえ。

Agt.名郷: あー、こういう表現が正しいのかどうかは分かりませんが、所謂ヒーローという奴でしょうか?

SCP-1878-JP: 少し、ほんの少しだけ正しくないな。Hyper、Electric、Rescue、Organization、「H」「E」「R」「O」の頭文字に大義を冠して"超電救助隊HERO"、この名前に聞き覚えは?

Agt.名郷: そういった名前の組織が存在するんですね。救助隊との事ですが救護活動や医療活動は行わないんですか?

SCP-1878-JP: 適材適所、与えられた役割という物がある。本官が迅速に犯人を確保する事で市民の命は守られる。あるいは、警官が発砲して犯人の命が失われる様な事態も防ぐ事が出来る。その逆も同じ事。本官には本官の任務があり、警察にも警察の仕事が、君達にも君達の役目がある。それぞれが出来る事をやる事で皆の安全と平和は守られる、違うかね?

Agt.名郷: それぞれの役割に応じて独自に動いているという事ですね。

SCP-1878-JP: ああ、その通りだ。<大きく伸びをすると同時に唸り声を挙げる>

Agt.名郷: お疲れの様ですね。よろしければこちらで少しお休みになられませんか?出来ればもう少しお話を伺いたいのですが。

[Agt.名郷が停車した警察仕様のマイクロバスを指差す。車両内部には収容チームが待機している]

SCP-1878-JP: いや、気持ちは有り難いが結構だ。相棒にも急かされているものでね。

Agt.名郷: 相棒?仲間の方がいらっしゃるんですか?

SCP-1878-JP: ああ、共に平和を守る掛け替えの無い相棒だよ。<12秒間の沈黙>おっと、どこかで事件が発生したらしい。私は行かせてもらうよ。

Agt.名郷: 待って下さい!<ハンドシグナルで車両内に待機した収容チームに緊急確保の指示を行う>

SCP-1878-JP: すまないが待てない。今こうしている間にも市民が脅かされている!本官は市民の平和を守って見せる!例え、この身が砕けても!巡回機動捜査官ライダー・モノクローム!さぁ、出動だ!

[SCP-1878-JPは両手を交差させてポーズを決めると同時に消失する]

<再生終了>

終了報告書: 発言からSCP-1878-JPはSCP-509-JPSCP-990-JP等のオブジェクトが所属していると考えられる組織に関連する存在である可能性が高く、他のオブジェクトと同様の装備を所持していると推測される。また、各都道府県の警察官から目撃証言が得られており、警察組織内に追加の職員を潜入させる事で更なる行動の観測と収容を試みる。

SCP-1878-JPは未特定の手段によって距離を無視した消失と出現を行う事が可能であり、これらの動作は瞬時に行われます。SCP-1878-JPの移動手段は上述の方法の他に、"モノクローダー"と実体が呼称する大型二輪車を使用しており、外観上は本田技研工業が製造販売するVTR1000Fと類似していますが、実際の機体を逸脱した機能性と物理法則を無視した可動が可能です。この機体(SCP-1878-JP-A1と指定)も実体自身と同様に消失と出現を行う事が確認されています。

SCP-1878-JPは主に刑法に違反する罪を犯した人物を追跡する警察関係者の付近に現れる傾向があり、出現時には警察関係者に協力的な姿勢を見せると共に犯人の拘束を試みます。また、"超電救助隊HERO"と名乗る存在の出現時にも近辺で目撃された証言が得られていますが、それらの行動の妨害や拘束を行おうとする様子は確認されていません。実体は財団職員に対しても協力的な態度で会話を行いますが自身の収容には否定的であり、強制的な収容を行おうとした際には即座にその場から消失します。実体は上記の装備の他に複数のガジェットを装備しており、これらを活用する事で犯人を確保して警察関係者に引き渡します。以下は機能が確認されたガジェットです。
識別番号 機能 説明
SCP-1878-JP-A2 通信の傍受、聴力の強化 SCP-1878-JPが"ウェーブサポーター"と呼称する腰に装着されたベルト。SCP-1878-JPはこの装備の影響によって聴力が強化されていると証言している他、警察の無線を傍受可能である事が確認されている。
SCP-1878-JP-A3 防弾・防刃機能 SCP-1878-JPが"ライダースーツ"と呼称する全身を覆うスーツ。確保を試みた犯人の抵抗を受けた際も傷付く様子を見せず、周囲に火災が発生した状況でも影響を受けていなかった。
SCP-1878-JP-A4 非異常性の硬質ゴム弾の発射 SCP-1878-JPが"ニューセイブ"と呼称する長方形の銃身を持つリボルバー型拳銃。装填されている弾数は弾倉と一致せず最高で47発の連続した発砲が確認されており、このゴム弾による死傷者は確認されていない。いずれの場合も一発目は空砲である模様。
SCP-1878-JP-A5 対象の拘束 SCP-1878-JPが"シュートキャッチャー"と呼称する両手首に装着された長方形の機器から射出されるケーブルとフック。最大伸長距離は不明。フックは物理法則を無視した形で瞬時にリング状にも変形可能。

対象: SCP-1878-JP

インタビュアー: Agt.賀上

付記: 当インタビューは強盗犯を拘束して警官に引き渡した直後のSCP-1878-JPに対して行われました。

<録音開始,(200█/06/14)>

Agt.賀上: ちょっと話を聞かせてもらってもいいかな?

SCP-1878-JP: 構わないよ。何でも言ってくれ給え。

Agt.賀上: そのバイクについて聞かせて欲しいんだが<SCP-1878-JP-A1を指差す>

SCP-1878-JP: ああ!こいつは"モノクローダー"、こいつのお陰で強盗犯を捕まえる事に成功した。今回はそれほどでも無いが、最高で時速800kmまで速度を上げる事が出来る。どうだね?この輝き。

Agt.賀上: 見た感じは普通の白バイの様に見えるが、改造してあるのか?

SCP-1878-JP: 改造というよりは、そういう風に見せかけているだけで中身は別物だ。見ていてくれ給え、この様な動きは普通のバイクには出来ないだろう?

[SCP-1878-JPはSCP-1878-JP-A1に搭乗し、壁面を15m程走行して元の位置へと戻る]

Agt.賀上: へぇ、凄いな。ちなみに免許は?

SCP-1878-JP: 市民の安全を守る為には、時として法を超える判断をする事も必要なのだ。

Agt.賀上: 持ってないんだな。

SCP-1878-JP: <首を左右に鳴らして唸る>

Agt.賀上: さっき犯人を拘束する際に使ってた腕の装置について説明して欲しいんだが。

SCP-1878-JP: ああ、これかね。これは犯人を安全に捕縛する為の装置で"シュートキャッチャー"と本官は呼んでいる。相手を引っ掛けるだけで無くこの様な事も可能だ。見給え。

[SCP-1878-JPは道端に置かれた空き缶に向けてSCP-1878-JP-A5からフックの付いたケーブルを発射する。フックは空き缶に接触する直前にリング状に変形し、空き缶を締め付けた状態でSCP-1878-JPの椀部へと引き込まれる]

Agt.賀上: <拍手>

SCP-1878-JP: どうだね、この装置は自動的に必要な長さのケーブルを発射して目標を捉える事が可能だ。それだけで無く、相手に傷を負わせたり窒息させることの無い力へと調節される。誤って相手を苦しませる事も無い。

Agt.賀上: 成程、あくまでも相手を捕える事に重点を置いてるんだな。じゃあその腰に下がった銃も相手を傷つけない様になってるのか?

SCP-1878-JP: ああ、その通りだ。この"ニューセイブ"はゴム弾を発射する事で相手に極力被害を与えない様になっている。また、相手との距離に応じて威力も調節される様に内部の装置が働いている。よく見ておき給え。

[SCP-1878-JPは手に持った空き缶を花壇の縁に置き、10m離れた位置から発砲して打ち落とすと再び空き缶を花壇の縁に乗せる。Agt,賀上に静止されるまでこの手順は12回繰り返された]

Agt.賀上: 中々の腕前だな。少しその銃に触らせてくれないか。

SCP-1878-JP: いや、それは出来ない。一般人が使用すれば防衛機能が、<7秒間の沈黙>どうやら██市で事件が起きた様だ。本官も向かわなくてはならない。

Agt.賀上: 何故分かる?

SCP-1878-JP: こいつのお陰だよ。<腰を指差す>この"ウェーブサポーター"は本官の聴力を増強すると共に、広範囲の通信を傍受する事が可能だ。また、この様に相手に聞かせる事も<SCP-1878-JP-A2に取り付けられたパネルを操作する>

[ベルト付近から██市で障害事件の容疑者が逃走している事を伝える内容の音声が流れる]

Agt.賀上: 成程、便利なベルトだな。広範囲の通信と言う事は警察以外の無線も傍受可能なのか?

SCP-1878-JP: すぐに現場に急行する為に現在は警察車両や警官の無線機に設定している。無論、設定すれば他の通信も傍受可能だ。さて、そろそろ本官は現場に向かわなくては。<SCP-1878-JP-A2のパネルを操作する>

電子音声: 『守れ平和を ライダー・モノクローム 』

[SCP-1878-JP-A2から軽快な音楽と共に電子音声による曲が流れる]

SCP-1878-JP: おっと、操作を間違えてしまった。

電子音声: 『街の安全が脅かされる時 本官は駆け付ける
正せ心を 戦え 悪と
駆けろ モノクローダー
本官は巡回機動捜査官ライダー・モノクローム さぁ、出動だ!』

Agt.賀上: これは、テーマソング?

SCP-1878-JP: いや、すまない。不要だとは思うのだがね、しかしヒーローには必要らしい。

電子音声: 『救え市民を ライダー・モノクローム
罪を犯す者がいる限り 本官は走り続けるぞ』

Agt.賀上: へぇ、中々凝ってるな。

SCP-1878-JP: 実はこの曲、体操もあるぞ。運動前にやると体がほぐれるんだ。<柔軟体操に似た動きを行う>

電子音声: 『磨け心を 捕えろ悪を』

Agt.賀上: あー、そろそろ向かわなくて良いのか?

SCP-1878-JP: あ!しまった!<SCP-1878-JP-A2のパネルを操作すると同時に曲が停止する>

Agt.賀上: 良かったら送って行こうか?近くにうちの車両を待たせてあるんだが。

SCP-1878-JP: いや、結構だ。今こうしている瞬間にも市民が脅かされている!本官は市民の平和を守って見せる!例え、この身が砕けても!巡回機動捜査官ライダー・モノクローム!さぁ、出動だ!

[SCP-1878-JPはSCP-1878-JP-A1に跨ると同時に消失する]

Agt.賀上: 午後6時32分、確保に失敗。

<録音終了>

終了報告書: SCP-1878-JPは既存の科学力を逸脱した機能を見せる装備によって武装している事が確認された。SCP-1878-JP-A2と指定されたベルトの機能から財団の通信内容が傍受される恐れがある為、対応を検討。また、SCP-1878-JP-A2から流れ出した曲のメロディやSCP-1878-JPが見せた体操の様な動きは一部がSCP-555-JPとの一致を見せているが、同存在に見られる認識災害効果の影響は確認されなかった。

SCP-1878-JPは警察関係者への協力の他にSCP-1878-JP-Bと指定された存在との交戦が確認されており、現時点でSCP-1878-JPとSCP-1878-JP-Bの詳細な関係性は不明ですが、互いが敵対関係にあり相互の出現に関連している事とSCP-1878-JP-Bに関する情報が集まっていない事から、便宜上SCP-1878-JPの付属物として財団内では処理されています。

怪人.jpg

靴屋から逃走するSCP-1878-JP-B

SCP-1878-JP-B概要: SCP-1878-JP-Bは全身を隙間無く多彩な色のタイツ状の衣装で覆った人型実体です。酩酊状態のヒトに類似した動きで緩慢な移動を行う他、感覚器官が外観上存在しないにも関わらず物体の視認や物音に反応する様子を見せます。実体は性別を含め雑多な体格を有した個体が散見されますがいずれも成人男性程度の腕力を有しており、民間人に対しても敵対的行動を取る事が報告されています。特筆すべき点として、実体はいずれも致命傷となる損傷を受けた場合や大きな衝撃を受けた場合、捕縛された場合に破裂して周囲に内容物を飛散させる事が挙げられます。この内容物は溶解した筋線維や骨片を含む液体であり、ヒト遺伝子を含む事が確認されています。

実体の行動目的は不明ですが、市街地に出現してSCP-1878-JPに対する襲撃を行う他、小学校などの低学年児童が存在する教育施設に侵入する、幼稚園のバスに乗り込もうとする等が確認されています。また、"超電救助HERO"と名乗る団体の活動時に妨害を行おうとする様子も目撃されており、SCP-1878-JP-B実体群と同団体は敵対関係にあると推測されています。

SCP-1878-JP-B出現事例の抜粋

  • 200█/01/11 ██県██市の繁華街にて5体の個体が出現し、靴屋から靴を盗み出して逃走している最中にSCP-1878-JPと交戦を行う。SCP-1878-JP-Bがどこから現れたのかは不明。個体は全てSCP-1878-JPによる拘束の結果、破裂して無力化した。財団が最初にSCP-1878-JP-Bを確認した事例
  • 200█/02/17 ███県███市の小学校敷地内に6体の個体が現れ、通報を受けて駆け付けた警察官と共にSCP-1878-JPが交戦。警官3名が負傷したが到着した収容チームの応戦によって全個体が無力化した。
  • 200█/04/10 ████県█市内の芋羊羹工場でSCP-1878-JPとの交戦が確認される。個体数は不明だが、職員が到着した際には12体の個体が確認された。職員とSCP-1878-JPの協力による応戦で残個体の内8体が無力化、4体は逃走し確保に失敗した。また、現場からは酷く損傷した遺体が発見されており、SCP-1878-JP-Bによって長期間の暴力に晒されたものと推測されている。
  • 200█/05/15 ██県██市内の火災発生現場に出現した"緊急重機救命士 パワーアーム・オレンジ"と名乗る人型実体の収容作戦中に27体の個体が出現し収容チームと交戦。その後、出現したSCP-1878-JPの援護によって全個体が無力化した。人型実体はSCP-1878-JP-Bの攻撃を回避した後に消失したが、消失直前に実体が散布した記憶処理薬剤に類似した組成の薬品によって一部の班員に記憶混濁の症状が見られた為、詳細な報告は得られていない。
  • 200█/05/28 ███地方で発生した震災の救助作業中に出現した人型実体とSCP-1878-JP-Bの交戦が報告される。人型実体は「REQUIEM NINE」と側面に表記された白い装甲車と車体に搭載された火器を用いてSCP-1878-JP-B群と民間の救助隊を排除した後に、異常な装置を用いて被災者の救護と終了を行った。財団の収容チームが到着した際には実体と車両は現場を去っており、SCP-1878-JP-B群は無力化した痕跡のみが残されていた。SCP-1878-JPの出現は報告されていない。

SCP-1878-JP-Bに関する情報の一例として、200█/04/10の交戦後にSCP-1878-JPから証言が得られています。

対象: SCP-1878-JP

インタビュアー: Agt.名郷

付記: 当インタビューはSCP-1878-JP-Bの無力化後、他の収容チーム班員が逃走した個体を追走している間にAgt.名郷によって行われた物として記録されている。

<再生開始,(200█/04/10)>

[SCP-1878-JPは柔軟体操を行っている]

Agt.名郷: 先程はご協力ありがとうございました。少しだけ話を伺ってもよろしいですか?

SCP-1878-JP: おや、君は、<沈黙>久しぶりじゃないか。その服装、警察から自衛隊に転職したのか?

Agt.名郷: いえ、そういう訳ではありません。<25秒間の逡巡>実は我々は警察組織とは違う組織の者なんです。

[SCP-1878-JPに対して財団に関する最低限の簡易的な説明が行われる。また、警察組織とは別の系統に属する政府組織として活動している旨の情報が挿入された。Agt.名郷が財団に関する説明を行った理由は不明だが、一部の情報を開示する事でSCP-1878-JPの収容を円滑に行おうとした可能性が指摘されている]

SCP-1878-JP: 成程、つまり君達は異常な能力を持つ犯罪者を収容する為の特殊部隊と言う事だな。いや、助かるよ。警察や本官だけでは追いきれない犯罪者も存在するのでね。今の者達の様な。

Agt.名郷: 先程の集団について何か知っているんですか?

SCP-1878-JP: ああ、彼等は"博士"とだけ名乗る謎の存在が派遣した連中であり、様々な悪事を為すのだ。本官は何とか拘束を試みてはいるのだが、結果は毎回この通りだ。すぐに破裂してしまう。そうだ、これを見給え。連中が落としていったのだ。<A4サイズの汚れた紙を差し出す>

ワオ!とうとう博士の大発明「THE 戦闘員」が見つかっちゃったね!このTHE 戦闘員があればどーんな悪い事でも悪の組織ごっこも出来ちゃうんだ!でも残念ながらこの製品は非売品、良い子の諸君はまだ手に入れられないんだよ。残念!でもこの超レアなTHE 戦闘員を見つけられたキミは超ラッキー!博士ファンのみんなに自慢しちゃおう!
博士は今このTHE 戦闘員を使って新しい商品の素材を探してるんだ!次はかっこいいヒーローがみんなの家に届くかも?その時になったらみんなで楽しもうね!

この[以下の文面は汚れの為確認出来ない]

Agt.名郷: 成程、博士ですか。貴方はこの存在についてどのくらいの知識を有しているんですか?目的や本拠地等は?

SCP-1878-JP: もしや君達も博士を追っているのかね?残念ながら本官も詳しくは知らない。ただ、普通ではない機械や生物を作り出し市民の平和を脅かしている事だけは分かる。何としてもヤツを止めなくてはならない。

Agt.名郷: その点に関しては同意見です。<手渡された紙を見る>この紙、私が持っていてもよろしいでしょうか?我々の方で調べれば何かが判るかもしれません。

SCP-1878-JP: ああ、もちろん構わない。<Agt.名郷に紙を渡しながら屈伸を行う>私は少し調子を整えてから逃げた連中を追う。君も自分の役目を頑張り給え。

Agt.名郷: はい、私もここの調査を終えてから他のメンバーと合流します。ところで、貴方は何故こちらに?

SCP-1878-JP: パトロール中に連中を見つけたのだ。後を追ってこの工場に辿り着いたので突入した。いつもの迷惑行為かと思ったが万が一という事もあるのでね。

Agt.名郷: 万が一?

SCP-1878-JP: つまり連中はとても大量にいて、どこかでまとめて生産されているのでは無いかと疑っていた。ここが奴等の拠点なのでは無いかと。

Agt.名郷: 成程、そういう事ですか。

SCP-1878-JP: そういえば連中はこの工場の裏手に向かっている様だった。一度調べてみると良い。

Agt.名郷: 分かりました。ありがとうございます。

SCP-1878-JP: さて、準備完了!本官は市民の平和を守って見せる!例え、この身が砕けても!巡回機動捜査官ライダー・モノクローム!さぁ、出動だ!

[SCP-1878-JPが入り口に向かって走り出す]

Agt.名郷: さて、裏手か。

<再生終了>

終了報告書: 当記録はSCP-1878-JP-B群の追走を終えた収容チームの班員が工場に戻った際に発見した保存媒体に記録されていた映像である。Agt.名郷は現在も所在不明であり、単独での調査中にSCP-1878-JP-Bに発見・拉致された可能性が指摘されている。工場2Fからは夜間勤務を行っていた作業員や警備員が昏倒した状態で発見されており、外傷からSCP-1878-JP-Bの攻撃を受けた後に2Fに運ばれて拘束されていた物と推測されている。工場裏手からは重度の複雑骨折や内出血、各臓器へのダメージと各部の壊死が確認された男性の遺体が発見されており、遺体の外傷は死後半年以上の経過に相当するにも関わらず発見直前まで生体反応があった事を示す異常な結果が報告された。歯科治療記録の照合から、遺体の身元は200█年の1月以降に行方が判明していない██県警の職員であった事が判明している。これらの報告結果を受けて、SCP-1878-JP-Bは極めて敵対的かつ高脅威の存在であるとして独立した報告書の作成の為に調査が継続されている。

補遺: 200█/06/19、SCP-████-JP指定対象として確保された"緊急重機救命士 パワーアーム・オレンジ"と名乗る実体が移送されたサイト-81██正面ゲート付近におよそ███体のSCP-1878-JP-B群が出現しました。実体群は質量によって警備員とゲートを突破後、実体の収容が行われていた第3収容棟へ侵入しユニット破壊後にSCP-████-JPを含む多数のオブジェクトの収容違反を引き起こしました。収容違反後、出動した機動部隊と警備隊によって██体の実体を無力化しましたが、残個体はSCP-████-JPを確保した状態で消失しました。この襲撃による被害は甚大な物であり、ユニット破壊の余波で収容違反を引き起こしたオブジェクトの再収容には成功しましたが計██名の職員の死傷者が確認されています。この事例から、SCP-1878-JP-Bは距離を無視した形での消失と出現を過程に含んだ移動が可能であると考えられています。

また、収容違反時の混乱によって詳細な情報は得られていませんがSCP-1878-JPの出現も報告されています。整理された目撃情報から、実体群との交戦時に頭部のパトランプ状の物体を点灯して対象の拘束を行おうとした結果、影響を受けて一時的に行動不能に陥った職員が実体群の攻撃を受ける様子を見て消失した事が判明しています。また、一部の目撃証言では消失直前のSCP-1878-JPは不審な挙動を見せており、頭部を両手で抱えながら大きな唸り声を発していた事も証言されています。これらの証言から実体は自身の装備を完全にコントロール出来ていない可能性が指摘されており、その結果として職員の負傷を招いた実体が強い精神的ショックを受けた可能性が高いと推測されています。

補遺2: 上記事例を受けて再調査を行った結果、報告書の改定案が提出されています。



アイテム番号: SCP-1878-JP-GOI

オブジェクトクラス: Euclid Keter Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1878-JP-GOI実体は現時点で収容に成功しておらず、その性質上収容は極めて困難であるとして終了対象に指定されています。SCP-1878-JP-GOIの出現が確認された場合は付近のサイトから戦闘要員を招集して速やかな終了を実行してください。SCP-1878-JP-GOIの終了実行に際しては複数の人員による金属含有ゴム弾を使用した面での銃撃が推奨されています。

SCP-1878-JP-GOI-aは緊急収容対象として日本全域での捜査が行われます。実体は極めて敵対的である為、必要であると判断された場合は各サイト管理者の判断によって火器の使用が認められます。

SCP-1878-JP-GOI及びSCP-1878-JP-GOI-aに関する情報、収容業務にはプロトコル・オペレッタが適用されます。

プロトコル・オペレッタはSCP-1878-JP-GOIの収容に向けた活動を隠匿し、SCP-1878-JP-GOIに存在を意識させ行動を制御する為に実行されるプロトコルです。プロトコル・オペレッタ実行時はA-662と指定された信号からSCP-1878-JP-GOIの位置の特定を行い、特定成功時には周辺の警察組織との連携の基でSCP-1878-JP-GOIの誘導を行います。信号A-662は距離と空間を無視した移動を行うアノマリーの対処に当たる職員に埋設された位置認識マイクロチップの信号であり、現時点では200█/04/10以降に発信されている信号が該当します。

SCP-1878-JPとして偽装されたセクション及び当セクションの存在はSCP-1878-JP-GOIが入手した財団の情報とセキリュティクリアランスレベル3相当のアクセス権限の存在が極めて高い脅威である事から必要な処置として作成されました。アクセス権限の凍結は実行されていますが凍結までの期間に一部サイトの位置と関連する情報がSCP-1878-JP-GOI及びGOI-[編集済]の手に渡ったと推測されています。

権限の凍結後、一部の記録には敵性指定存在による不正アクセスの痕跡と内部情報管理部門が存在を感知しないバックドアが複数確認され、200█/06/19にはこれらの情報を利用して引き起こされた事案と推測される収容違反が発生しています。これらの理由から当記録はSCL-4/1878を保有しない職員の閲覧は認められません。また、未保有の職員の業務に支障を来さない範囲での情報が開示され偽装されたファイルを通しての収容が試みられます。

説明: SCP-1878-JP-GOIは内容物に応じた体格を有する半液体状の不定形な実体であり、以前はSCP-1878-JP-Bとして登録されていた多彩な色の表皮を持つ人型実体としての外観を有します。実体はSCP-1878-JP-GOI-aと指定された司令塔に統率されますがヒトの酩酊状態に類似した緩慢な動作と個体の挙動から、精密な統率は行われておらず単純な命令を理解する知能しか持たないと判断されています。実体は拘束や衝撃、凍結や温度の上昇等により行動不能状態に陥ると内容物の溶解と破裂を行います。この行動による危険性はありませんが、内容物の飛散によって清掃コストの増加や異常性の秘匿に支障を来している為、終了時には周囲の状況を考慮する必要性が有ります。実体の破裂は一種の機密保持と推測されており、この性質からSCP-1878-JP-GOIの収容は極めて困難です。

SCP-1878-JP-GOIの内容物は人種、性別、年齢を問わないヒトであり、出現が確認された地域の失踪者数から主に民間人が利用されている事が判明しています。実体は生成された後にアメーバに類似した動作でヒトを包み込み、操作します。実体は神経組織を除いた肉体を自身を支持する骨材として利用する事で簡易的な動作を実現します。実体がヒトの肉体を操作している手段は判明していませんがSCP-1878-JP-GOIの命令を実行する為の脳の役割を果たす器官が存在していると推測されており、行動不能時の破裂や内容物の急速な溶解はこの器官によって実行された命令であると考えられています。SCP-1878-JP-GOIと内容物の分離は現時点では不可能と判断されました。

実体に関連する文書として文書1878-1が確認されています。当文書は200█/04/10に███県██市内の廃棄された民間施設内で発見されました。

文書1878-1:

ワオ!とうとう博士の大発明「THE 戦闘員」が見つかっちゃったね!このTHE 戦闘員があればどーんな悪い事でも悪の組織ごっこも出来ちゃうんだ!でも残念ながらこの製品は試作品、良い子の諸君はまだ手に入れられないんだよ。残念!でもこの超レアなTHE 戦闘員を見つけられたキミは超ラッキー!博士ファンのみんなに自慢しちゃおう!
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注意: 本製品は現段階では試作品であり、現時点では販売されていません。同梱されていたセット品の個別販売は未定です。

SCP-1878-JP-GOI-αは自身を"巡回機動捜査官 ライダー・モノクローム"と称する人型実体であり、SCP-1878-JP-GOIの生成と統率を行います。主な活動時は人型としての実体を維持しますが本質的には黒色と白色の意匠が施されたウェットスーツに類似した存在であり、内容物が存在しない場合には地表や壁面を這う形で伸縮による素早い移動を行います。実体は"超電救助隊HERO"を含んだ異常存在の確保を目的として行動している事が判明しており、その過程において内容物として利用した財団職員から未特定の手段を用いて財団の情報を収奪しています。実体の知性は少なくともヒトと同等であり会話を行う事が可能ですが、虚偽の内容を発言する事や動作と発言による演技を行う事が確認されています。

実体は未特定の手段で瞬間的な消失と出現を行い距離を無視した移動が可能です。この性質は実体自身のみで無く、所持するガジェットやSCP-1878-JP-GOIを同時に移動させる事が可能である事が撮影記録1878-GOI-6から判明しています。また、実体の表皮は極めて強固であり、柔軟性に富みながら銃撃や刺突に対する十分な強度を保有している事が判明しています。実体もSCP-1878-JP-GOIと同様に内部にヒトを内蔵する事で人型を維持しますが、実体自身の形状を変化させる事で内容物の保護を行いながら自身の支持が可能です。この性質と未特定の手段により内容物は致死のダメージを追いながらも解放されるまで生命維持が為されます。解放後の内容物は比較的原形を留めていますが、SCP-1878-JP-GOIの内容物に見られる溶解が発生しない理由は不明です。

実体は異常性を持つ複数のガジェットを所持していますが、これらは活動を支援する目的よりも実体の演技を演出する側面が重視されており概ねAnomalousアイテム相当の脅威度を保有しています。また、SCP-1878-JP-A1に関しては他の要注意団体が製造していた機体と類似した設計が為されており、"博士"が何らかの手段で他団体から技術を得たものと推測されています。

上述の特異性と明確な知性を保有している点から、SCP-1878-JP-GOIおよびSCP-1878-JP-GOI-aはKeterクラスアノマリーとの指定が行われました。

補遺: 200█/06/19の収容違反事案と事案以前の職員の失踪から、SCP-1878-JP-GOI-aの捜査が行われると同時にプロトコル・オペレッタが実行されました。このプロトコル実行によりSCP-1878-JP-GOI-aが拠点としている██県内の廃工場の存在が明らかとなり、終了も含んだ処理を目的とした収容作戦が実行に移されました。

映像ログ

対象: SCP-1878-JP-GOI-a及びSCP-1878-JP-GOI群

作戦参加者: 機動部隊し-5("兵隊蟻")

付記: 当記録は信号A-662から200█/07/1に実体群の居場所を特定した機動部隊によって記録された物である。実体群は██県内の廃工場内部に██体の存在が確認されており、近辺の大量失踪者数と一致している。

<録音開始>

機動部隊し-5("兵隊蟻")が廃工場内に突入する。内部ではSCP-1878-JP-GOI-αとSCP-1878-JP-GOI群が直立したまま停止している。

AW-アルファ: 大丈夫か?SCP-1878-JP。

SCP-1878-JP-GOI-a: <振り向く>君は、確か賀上君だったね。助かった!この工場内に怪しい連中がいると聞いてね、駆け付けたのだが数が多くて本官だけでは

AW-アルファ: <遮って>ブラボー、チャーリー、デルタ、エコー、開始だ。

指示された隊員による銃撃で工場内のSCP-1878-JP-GOI██体が無力化される。

SCP-1878-JP-GOI-a: 随分と仕事が早いじゃないか。本当に助かったよ。<首を左右に鳴らす>

AW-アルファ: 先生方の予想通りだな。瞬時に細かい命令は出せないし実行にも移せない。

SCP-1878-JP-GOI-a: もしかすると、君達も財団の関係者なのか?だとしたら君達に謝らなければならない事がある。先日、君達の施設にこの連中が集まっていて、本官も急いで向かったのだが<俯く>数が多くて対処しきれなかった上に、その、君達の同僚を本官の装備で<沈黙>本当に済まないと思っている。本官は

AW-アルファ: おっと、それ以上動かないでくれないか。フォックストロット、ゴルフ。

2名の隊員がSCP-1878-JP-GOI-aに銃を向ける

SCP-1878-JP-GOI-a: 待ち給え。確かに申し訳無いとは思っている、しかし、本官自身が収容される訳には行かない。本官は市民の安全と平和を守る義務がある!

AW-アルファ: そうか。それよりも聞きたい事があるんだ。先月襲撃された施設の事なんだが、よく財団の施設って分かったな?

SCP-1878-JP-GOI-a: ああ、それは<唸る>名郷君に聞いた事があったんだよ。ああ、安心し給え。本官は犯罪者に情報を漏らすような真似はしない。プライバシーの保護も本官の務めの一つだ。

AW-アルファ: そうか、分かったよ。SCP-1878-JP。

SCP-1878-JP-GOI-a: なら良かった。これで万事解決だな!

AW-アルファ: ところで、SCP-1878-JPって名前はどこで聞いたんだ?

SCP-1878-JP-GOI-a: うん?

AW-アルファ: 財団は無意味に情報を漏らさない。アノマリーの識別番号も立派な情報だ。

SCP-1878-JP-GOI-a: ああ、名郷君が

AW-アルファ: 回収された記録内では一言も言って無い。

SCP-1878-JP-GOI-a: 記録。

AW-アルファ: 名郷とお前が工場内で会話した時の記録だ。メモリーだけが土の中から見つかった。お前等に捕まる前に外して地面に突っ込んだみたいだな。衣服を処分した時に気付かなかったのか?まぁ体内のマイクロチップにも気が付いて無かった辺り何も考えてなかったんだろうが。

SCP-1878-JP-GOI-a: マイクロチップ。

AW-アルファ: 消えたり現れたりするタイプのアノマリーは厄介だ。特に人を連れ去るタイプはな。接触の際の危険性を考慮して事前に準備くらいしておくさ。

SCP-1878-JP-GOI-a: 困ったな。

AW-アルファ: 別に困らせるつもりは無いんだ。場合によっては現地終了も止むを得ないんで一応インタビューを試みてくれって命令されててね。このまま収容に応じてくれるんなら後はサイトで続きを聞くし、嫌だって言うなら残骸だけ持って帰る事になる。

SCP-1878-JP-GOI-a: 仕方が無い。<SCP-1878-JP-A2、SCP-1878-JP-A4、SCP-1878-JP-A5を外して床に置く>

AW-アルファ: 頭のそれも外してくれ。いや、俺達はこれが、<装着されたゴーグルを指差す>あるから問題は無いんだがまとめて回収しておくと分別が楽なんだ。規定で回収ごとに分けなくちゃならないんでね。

SCP-1878-JP-GOI-a: 済まないがそれは難しい。これは本官の体の一部の様な物、どうしてもと言うのなら今は何かを被せるなり何なりしてくれると良い。正直、これは本官にとってあまり意味の無い物なのだ。

AW-アルファ: そうか。じゃあ確保だな。

AW-ブラボー、チャーリー、デルタ、エコーがSCP-1878-JP-GOI-aに接近して確保の準備を行う

SCP-1878-JP-GOI-a: 今こうしている瞬間にも市民が脅かされているかもしれない。本官は市民の平和を守る義務がある。

AW-チャーリー: おい、変な真似はするなよ。

SCP-1878-JP-GOI-a: 例え、この身が砕けても!巡回機動捜査官ライダー・モノクローム!さぁ、出動だ!

SCP-1878-JP-GOI-aの体表から極彩色の液体が噴出する。液体はAW-ブラボー、チャーリー、デルタを瞬間的に包み込み、3体のSCP-1878-JP-GOI人型実体を形作る。実体は隊員の装備を内蔵した影響で歪な形状を維持している。AW-アルファ、エコー、フォックストロット、ゴルフは即座に銃撃を開始するがAW-エコー、ゴルフが再度の液体の噴出によって実体に変化。AW-アルファは2体の実体の無力化に成功するも残る3体によって取り押さえられる

SCP-1878-JP-GOI-a: 銃で私を止められない事は分かっていただろうに。

AW-アルファ: ああ、そうみたいだな。お前の"相棒"は無事か?

SCP-1878-JP-GOI-a: いや、残念ながら休暇を取る事になった。

SCP-1878-JP-GOI-aの前面部が開き、内部から人型の物体が現れる。物体は相貌は判別が不可能な程に変形した男性であり、信号A-662の位置認識マイクロチップが埋設されていたAgt.名郷と判断される

AW-アルファ: やっぱり中身を定期的に交換してたってわけか。

SCP-1878-JP-GOI-a: 相棒の身が砕けても支障は無いが骨が無いと困るのでね。君達は中々鍛えこまれているので助かるよ。全く、本当に。

AW-アルファ: 人使いが荒いな。あの戦闘員共の中身の方が長持ちしてるんじゃないか?

SCP-1878-JP-GOI-a: 性能の問題だよ。ハイエンドモデルである私は短期の交換を行う事で精度を維持する。量産機とワンオフのパフォーマンスは比較する物では無い。

Agt.名郷を排出したSCP-1878-JP-GOI-aは前面を開いた状態で地表を這いながらAW-アルファに接近する

AW-アルファ: 成程、高性能なんで替えは効かないって事でいいかな?

SCP-1878-JP-GOI-a: いい加減、時間稼ぎに付き合うのも疲れてきたな。援軍を待っているのか?それとも情報を引き出すつもりか?いくら引き出した所で私自身の力で通信を遮断出来る以上何の意味も無いし、その記録装置もちゃんと破壊しておくよ。同じ失敗は繰り返さないさ。

AW-アルファ: 別に時間稼ぎってわけでも無いんだけどな。ただ聞きたい事があっただけで。

SCP-1878-JP-GOI-a: 聞きたい事?

AW-アルファ: 博士ってどんな奴なのかが気になってね。

SCP-1878-JP-GOI-a: さぁ?知らないな。

AW-アルファ: 自分の産みの親なのに知らないのか?会った事くらいあるだろ?

SCP-1878-JP-GOI-a: 無いよ。

SCP-1878-JP-GOI-aが接近すると同時にSCP-1878-JP-GOIがAW-アルファを立ち上がらせ、実体の内部へと押し込む。AW-アルファは実体内部に体の一部が入り込んだ時点で悲鳴を上げるが、実体に完全に覆われた時点で唸り声のみが外部に漏れ出す。記録装置も実体内部に取り込まれ、何も映し出さない状態が続く。以降、音声のみが記録される。


SCP-1878-JP-GOI-a: 正直少し驚いたが、まぁこんなものか。そういえばこの相棒の中にもマイクロチップとやらが入ってるのか?博士に連絡を

くぐもった爆発音が3回続く。SCP-1878-JP-GOI-aの困惑する声と同時に複数の足音と射撃音が記録される。

SCP-1878-JP-GOI-a: 援軍か!?いや、周囲の通信は遮断して、いや、待機、<罵声>、ワープ。

一瞬の轟音と同時に記録が終了する


<録音終了>

上記の映像ログは予定通り工場内に突入した第二班が、爆発の衝撃で破損した記録装置から回収に成功した物です。本作戦時に実行された特別終了手順はAgt.賀上が提案した物であり、SCP-1878-JP-GOI-aの適正行動時に実行されるセカンドプランとして承認されていました。SCP-1878-JP-GOIは爆発による無力化、SCP-1878-JP-GOI-aは爆発と第二班の攻撃の影響で大規模な損傷を負っています。爆破後のSCP-1878-JP-GOI-aは転移能力の制御が不安定となっていた事が報告されていますが、6回の試行で長距離の転移に成功しており、結果的に逃走を許しています。現時点では損傷の影響で従来の捕獲能力を失っていると推測されていますが、転移能力とSCP-1878-JP-GOIの生成が本作戦以降に確認された事からEuclidクラスアノマリー相当の脅威を保有しているとして現在も捜査が行われています。

以下はAgt.賀上が作戦に関する説明を行った際の聴取記録です。


<再生開始>

不要な会話を削除

██████: SCP-1878-JP-GOI及びSCP-1878-JP-GOI-aの収容を目的とした急襲作戦との事ですね?説明をお願いします。

Agt.賀上: はい。本作戦は収容を目的の一部としていますが、主目的は実体群の無力化、あるいは終了となります。この理由に関してはSCP-1878-JP-GOIの統率と製造を行っている可能性が極めて高いSCP-1878-JP-GOI-aの性質にあります。SCP-1878-JP-GOI-a……司令塔と呼ばせて頂きますが、この司令塔は頑強な表皮と瞬間的な転移能力を保有しており、収容は困難であると思われます。

██████: 収容が困難であるのは分かります。しかし、それならば終了自体も困難であるのでは?

Agt.賀上: はい。通常の手段ならば困難ですね。ですが、司令塔には唯一の隙が存在する可能性があります。報告書を参照して下さい。司令塔が出現した200█年04月10日の記録ですが、この時我々は異常な様相を示す遺体を回収しました。遺体を調査した結果は、全身の組織への負荷、特に関節部分が酷かった事と打撲や内出血を示しています。

██████: そして?

Agt.賀上: 私は6月14日に司令塔に遭遇しています。しきりに、柔軟体操を行ったり関節を鳴らしていた事を憶えています。執拗に。そして、プロトコル・オペレッタの一環として報告書に記載していませんが、司令塔は遭遇する度に体格に差異が見られます。我々は当初別個体であると考えていましたが、その仮説は別のインタビューによって否定されていますね。特筆性が無いので添付されていませんが、別のインタビューにおいて私は奴に挨拶されました。少なくとも、司令塔は私を記憶していました。

██████: ではSCP-1878-JP-GOI-aに関する貴方の結論は?

Agt.賀上: 司令塔は外皮だけの存在であり、中身を入れ替えています。遺体が回収された日に消息不明となったAgt.名郷は司令塔の内部にいます。転移型アノマリー対策の一環として位置認識チップが使用されている事はご存知ですね?Agt.名郷のチップの信号は出現と消失を繰り返していますが、司令塔の出現位置及び目撃情報と一致しています。

██████: 前の話に戻りますが、貴方はSCP-1878-JP-GOI-aに隙があると言いましたね?その事が関係しているのですか?

Agt.賀上: はい。司令塔による中身の交換。その瞬間を狙います。

██████: 手段は?

Agt.賀上: 衣服と体の間、体表に皮膚に偽装したシリコンのシートを貼ります。内部には爆薬と1.5mmのベアリング。一種の自爆テロを思い浮かべて下さい。爆発その物よりベアリングの射出によって司令塔を内部から破壊します。この手段はSCP-1878-JP-GOIにも有効だと考えられます。損傷により身動きを封じる事に成功すれば収容を行い、あるいはそのまま終了を行います。この手段が有効でなかった場合は即時の撤退と新たな手段を模索する必要がありますね。

██████: 失敗すれば財団がSCP-1878-JP-GOI-aの行動を察知している事を伝える結果に終わるのでは?

Agt.賀上: 既に感付いていると考えるべきでしょう。6月19日のサイト襲撃、恐らくはそれが原因ですね。私を含め、複数のエージェントによって誘導による確保を試みましたから。その事については早計だったかもしれません。

██████: …..自爆と言いましたね。職員が犠牲になるという事ですか?

Agt.賀上: 厳選されたDクラス職員によって機動部隊を仮設します。爆破は一種の枷となるでしょう。Dクラス職員で構成された第一班がまず接触を行い、他の部隊から招集された第二班が身を隠して待機します。第一班が機能しなくなれば第二班によって通常の収容作戦が試みられます。Dクラス職員には収容に成功すれば任期を解消する事を約束する必要性が有りますね。その事についても許可を得たいのですが。

██████: 確実性が足りませんね。まず、中身の交換時期をどうやって把握するのですか?

Agt.賀上: 3ヵ月。回収された遺体の失踪とAgt.名郷の失踪までの期間です。全国で同様の遺体が発見されていないか調査した結果。大凡その期間毎に類似した遺体が発見されています。作戦決行までの間、限界まで準備を行い司令塔の行動を制限します。場合によっては警察機関に協力を仰ぐ事になります。

██████: 起爆の手順は?

Agt.賀上: 衝撃性の火薬と薬液の混合。遺体からは溶解した性質を示す繊維が発見されています。シリコンの溶解によって内部の2液が混合した結果、発火します。衝撃性の火薬は万が一の場合に第二班の狙撃によって爆破を行う為です。

██████: 確実に交換が行われる保証は?

Agt.賀上: 私自身を第一班に組み込みます。面識がありますし、奴も一般人よりは財団職員を狙うでしょうから。Agt.名郷から得た情報に味を占めた結果が違法アクセス等の情報流出でしょうからね。もしかするとあの襲撃はそれを含めての行動だったのかもしれません。結局交換は行えていないようですが。

██████: そういえば、襲撃の際に異常な行動を行っていたと報告されていますが?

Agt.賀上: 演技ですね。行動パターンやインタビュー時の音声、動作、これらを基にした心理評価は奴が自身を偽る事に躊躇しない人格である事を示しました。心理評価担当班は奴に対して演技性パーソナリティ障害にサイコパスをトッピングしたD級グルメだと毒付いていましたね。

██████: 居場所は特定されているんですか?

Agt.賀上: 信号はまだ途絶えていません。特定の地域に頻繁に出現している事が確認された為、特定され次第編成した部隊で向かうことになります。

██████: …..作戦の基本方針としては貴方が死ぬ事になりますが、その事に対して思う事は?

Agt.賀上: 特には何も。感情的な結論では無く、私が適任だと思っただけです。

██████: 分かりました。提案を受理します。

<再生終了>

本作戦時に実行された特別収容手順は今後の同系統のアノマリーに対する手段の一つとして記録が行われます。以下はSCP-1878-JP-GOI-aが逃走した後に残されていたステンレス製の板であり、実体群に関連する資料として回収されました。

文書1878-2:

"Technical High-end Equipment"シリーズ.スタンプラリー
見つけた順にチェックしていこう!

01. THE [損傷により判別不能]
02. THE [損傷により判別不能]
03. THE 戦闘員 (セット品)
04. THE コスプレ (セット品)
05. THE カウントダウン
06. THE [損傷により判別不能]
07. THE 人を呪わば穴二つ
08. THE フルスロットル
09. THE ハクサ嵂ス、ア、キ、ニ、、、゙、ケ
10. THE ワンダーテインメント・ドラゴン
11. THE あなたの知らない世界

Footnotes
. 現時点でのSCP-1878-JP-Bに関する"無力化"は全て破裂した事による無力化のみを指します。
. 財団が過去に収容した"特装救命士 トリアージBLACK"と名乗る個体と類似しています。
. 実体の素材は一定の大きさを下回る音声を遮断しており、くぐもった音声のみが記録されている
ページリビジョン: 13, 最終更新: 05 May 2025 03:57
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