SCP-1601-JP
評価: +174

クレジット

タイトル: SCP-1601-JP - あの曲が助けてくれる
著者: ©︎Hasuma_S Hasuma_S
作成年: 2017

評価: +174
評価: +174

アイテム番号: SCP-1601-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1601-JPは現在起動中です。SCP-1601-JP-1、SCP-1601-JP-2と共に標準人型収容房に収容し、常に1人以上の職員による監視が行われます。SCP-1601-JP-1及びSCP-1601-JP-2への食事の支給は不要です。

この収容プロトコルは2656年11月05日になった時点で破棄され旧収容プロトコルへの差し戻しが行われる予定です。

SCP-1601-JPはサイト-8165の低脅威度収容ロッカーに収容されます。SCP-1601-JPの全てのコードは未接続の状態で保管してください。SCP-1601-JPを使用した実験はセキュリティクリアランスレベル3以上の職員、またはSCP-1601-JP担当職員1人以上の許可が必要です。実験時には職員がSCP-1601-JPの音声を聴くことが無いようにしてください。SCP-1601-JPの音声を記録することは禁止されています。

説明: SCP-1601-JPは日本光電製の自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator、以下AEDと表記)です。外観は他の同機種の製品と比べても大きな違いはありません。また、後述の異常性発現段階に移行するまではAEDとして正常に使用することが可能です。 財団が行った実験により心臓が正常な状態にある人間に使用すると心臓の動作を止める働きがあることが判明しました。

SCP-1601-JPの異常性は通常の手順の通りに除細動を行った後に発現します。SCP-1601-JPを使用して除細動を行うと異常性発現段階に移行し、それまでとは異なった音声で指示が行われます。解析の結果その音声は20代〜40代の男性であることが判明しましたが身元の特定には至っていません。

指示の内容自体は胸骨圧迫を推奨するものであり通常のAEDと変わりません。この指示を聞いた人間は異常性の影響下となり、聞いた時点での立場に合わせて行動を取ります。行動のパターンは3種類存在し、以下それぞれをSCP-1601-JP-1、SCP-1601-JP-2、SCP-1601-JP-3とします。指示が終了するとSCP-1601-JPからSCP-1601-JP-1が最後に強く想起した事柄に関わりのある楽曲が流れ始めます。そして異常性の影響下にある人間はそれぞれ別の行動を取り始めます。この楽曲が流れ終わった時点で異常性は終了します。

SCP-1601-JP-1は胸骨圧迫を受ける人間です。その生死は異常性の影響下に入る条件に含まれません。指示が流れた時点で胸部に除細動パッドが貼られているとSCP-1601-JP-1となります。SCP-1601-JP-1は楽曲が流れ始めると同時に頭部以外を動かすことが不可能になります。また、楽曲が流れ終わるまで如何なる身体的、精神的損傷を受けても死亡することはありません。しかし、楽曲が流れ終わった時点で心臓の破裂によって死亡します。

SCP-1601-JP-2は胸骨圧迫を行う人間です。SCP-1601-JPの電源ボタンを押した人間がSCP-1601-JP-2となります。SCP-1601-JP-2は指示が終わった直後にSCP-1601-JP-1に対して胸骨圧迫を行います。胸骨圧迫は楽曲の盛り上がりに合わせて強弱が変化します。SCP-1601-JP-2は楽曲が流れ終わるまでその行動を続け、終わった時点で異常性の影響下から解放されます。それまではSCP-1601-JP-1と同様にあらゆる身体的損傷を受けても死亡することはありません。解放された後も自身が行ったことを記憶していることが初期収容時に判明しています。

SCP-1601-JP-3はSCP-1601-JP-1とSCP-1601-JP-2の周囲にいる人間です。前述2種と違いSCP-1601-JP-3は複数人発生する可能性があり、またAクラス記憶処理によって異常性の影響下から解放することが可能です。SCP-1601-JP-3は指示が終わった後もその場に留まり、胸骨圧迫の様子を観察し続けます。SCP-1601-JPによる軽度の認識災害によりこの様子に何らかの疑問を持ったり、この行動を止めようとしたりすることはありません。また、楽曲を聴いている間はSCP-1601-JP-1やSCP-1601-JP-2のことを応援することがあります。その後楽曲が流れ終わるとSCP-1601-JP-2と同様に記憶を保持したまま異常性の影響下から解放されます。

SCP-1601-JPは北海道富良野市の███幼稚園で5歳の男子児童に対して使用されたことで異常性が発覚、警察への通報から財団に認知され、その後問題なく収容されました。███幼稚園への聞き取り調査では購入時に不審な点はなかったことが確認されています。財団は███幼稚園の児童██名、職員█名にAクラス記憶処理を行い、カバーストーリー「AEDの故障」を流布しました。現在SCP-1601-JPがどのようにして配備されたのか調査が行われています。

映像記録2017年07月30日

当実験はSCP-1601-JPの異常性を確認するためのものです。SCP-1601-JPの異常性により音声の記録は行われていません。

被験者: D-16011 D-16012 D-16013

概要: D-16011をSCP-1601-JP-1、D-16012をSCP-1601-JP-2、D-16013をSCP-1601-JP-3にする。実験に参加するDクラス職員にはSCP-1601-JPの起動までの手順を事前に説明している。また、D-16011には起動直前に何を思い浮かべるかを指示し、右手首に心拍数を測定する装置を取り付けた。

想起内容: ヒーロー

流れた楽曲: アンパンマンのマーチ(アニメサイズ) / ドリーミング

<記録開始>

<00:52> D-16011、D-16012、D-16013が実験室に入室する。

<02:25> D-16011が手順通り床に横たわる。

<03:30> D-16013がD-16011の横に立つ。同時にD-16012がSCP-1601-JPの電源を点ける。

<06:50> D-16011にSCP-1601-JPが問題なく使用される。電気ショックが流れた際D-16011の心拍が止まった。

<10:14> D-16012がD-16011に対して胸骨圧迫を行っている。測定機器によりここで楽曲が流れ始めたことが確認されている。

<10:17〜10:26> 最初のサビ。突然胸骨圧迫の勢いが強くなる。ここでD-16011の心拍が正常な状態になると共にD-16011は意識を取り戻す。D-16011は身動きが取れないことに困惑しているように見える。

<10:27〜10:47> イントロとAメロ部分。胸骨圧迫は公的に推奨されている強さで行われている。D-16011が困惑の表情を浮かべながら何かを叫んでいる。それまで静観していたD-16013がD-16011やD-16012に対して何かを呼びかけている。

<10:48〜10:57> Bメロ部分。胸骨圧迫の力が弱くなる。D-16011はやや安堵の表情を浮かべている。しかし後半になるにつれ力が強くなり、D-16011は再び叫び始める。

<10:58〜11:17> サビ。D-16012がD-16011の胸部を曲のリズムに合わせて10cmほど凹ませている。D-16011は押される度に吐血し、圧迫の勢いで四肢が大きく持ち上がっている。また、身体の至る所から出血していることがわかる。

<11:24> 楽曲が終了する。最後の音が鳴ると同時にD-16011の心拍が止まる。後の解剖によって心臓が破裂していたことが確認された。D-16012とD-16013は酷く困惑している。

<記録終了>

映像記録2017年07月30日の撮影が行われた後、死亡したD-16011に再度SCP-1601-JPを使用した実験を行ったところD-16011の心臓や解剖による傷口などの負傷箇所が完全に治癒し、問題なく実験を行えることが判明しました。それによりSCP-1601-JPを使用する実験ではD-16011及びD-16012が起用されています。以下は実験の概要です。

被験者: D-16011 D-16012

概要: 映像記録撮影時と同様にD-16011をSCP-1601-JP-1、D-16012をSCP-1601-JP-2にする。生存状態の人間にSCP-1601-JPを使用する場合とは違い、蘇生から楽曲が流れるまでに猶予があることを利用し、その間に防音装備を身に着けた研究員がD-16011にAクラス記憶処理を行い想起する内容を新たに指示する。実験終了後にはD-16012に対して適切な記憶処理を行う。

実験は複数回行われました。実験記録の詳細につきましては実験ログ1601-JPを閲覧してください。

追記: D-16011に指示している内容と流れる楽曲に差異が現れるようになりました。これは指示とは別の事柄を想起しているからであると推測されます。近日中に行われる次回の実験を最後に別のDクラス職員への入れ替えが行われる予定です。

事案記録2017年11月05日

D-16011とD-16012を使用したSCP-1601-JPの██回目の実験が行われた際、SCP-1601-JP-2となったD-16012が胸骨圧迫の体制を取った段階で完全に静止しました。

計測機器から音声が計測されないことを不審に思った██博士は追加のDクラス職員のD-16014を実験室内に侵入させました。D-16014がSCP-1601-JP-3に変化したことが確認されたため、SCP-1601-JPは起動している状態であると判断され実験の続行が宣言されました。

しかし実験開始から24時間経った時点でD-16011、D-16012に変化が起きないため実験は中止となりました。SCP-1601-JP及びD-16011、D-16012は臨時収容房へ収容され、D-16014はAクラス記憶処理の後、別の任務へ派遣されました。

追記2017年11月12日: 1週間経過してもD-16012に変化がないため、正式に防音性の標準人型収容房へ移送されました。██博士及び3名の研究員によって交代で監視が続けられます。

追記2018年05月05日: 半年が経過しても変化がない為SCP-1601-JPの研究チームの人員削減が行われました。

追記2018年11月05日: 事案発生から1年が経過しました。██博士の報告によりD-16012の腕が事案発生時よりも低い位置にあることが判明しています。

追記2019年04月05日: 突如SCP-1601-JPから何らかの音が発生しました。また同じタイミングでD-16012がD-16011に対して胸骨圧迫を1度だけ行いました。

音声解析の結果、SCP-1601-JPはジョン・ケージ作曲「オルガン2/ASLSP」を流しているということが判明しました。それにより現在の収容体制が2656年11月05日まで継続されることが決定しました。

2032年11月05日現在、D-16011の意識は正常に保たれています。

Footnotes
. この際通常のAEDとは異なり、既に死亡している人間にも動作することが確認されている。
. 心臓マッサージ。AEDを使用する前後に継続して行う必要がある。
. あくまで想起した事柄と関わりのある楽曲であるため、SCP-1601-JP-1が既知ではないものが流れることもある。
. 死亡状態でSCP-1601-JPを使うと電気ショックのタイミングで蘇生することがD-16011蘇生実験の際に判明している。
. 世界で最も演奏時間が長い楽曲。実験開始から丁度17ヶ月が経過した時点で音が鳴り、現在639年かけて演奏が行われているこの曲と一致したためこのように判断された。曲名の「ASLSP」は「As Slow as Possible(できるだけ遅く)」の略語である。
ページリビジョン: 16, 最終更新: 08 Nov 2024 11:15
特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。
ページを編集するにはこのボタンをクリックしてください。
セクションごとの編集を切り替えるにはこのボタンをクリックしてください(ページにセクションが設定されている必要があります)。有効になった場合はセクションに"編集"ボタンが設置されます。
ページのソース全体を編集せずに、コンテンツを追加します。
このページが過去にどのように変化したかを調べることができます。
このページについて話をしたいときは、これを使うのが一番簡単な方法です。
このページに添付されたファイルの閲覧や管理を行うことができます。
サイトの管理についての便利なツール。
このページの名前(それに伴いURLやページのカテゴリも)を変更します。
編集せずにこのページのソースコードを閲覧します。
親ページを設定/閲覧できます(パンくずリストの作成やサイトの構造化に用いられます)
管理者にページの違反を通知する。
何か思い通りにいかないことがありますか? 何ができるか調べましょう。
Wikidot.comのシステム概要とヘルプセクションです。
Wikidot 利用規約 ― 何ができるか、何をすべきでないか etc.
Wikidot.com プライバシーポリシー

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /