アイテム番号: SCP-1401
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1401の一般車両の通行は19██/██/██現在禁止されており、影響を受けた地域を結ぶ代替の道路の建設も延期されています。車両の通行を阻止するため、車止めが永続的に設置されており、徒歩、自転車、オートバイの侵入を阻止するため私服の監視員がSCP-1401の終端に配置されています。財団関係者が監視機器の設置、道路の保守作業等のためSCP-1401を通行する際には日中に開始し、終わらなくてはなりません。SCP-1401に常用薄明を過ぎて留まるときには、車両を停止し夜明けまで同じ位置に留まらなくてはなりません。Dクラスによる試験時を除き、いかなる人員も夜間はSCP-1401を移動してはなりません。
財団はSCP-1401-1に関する車両の活動を記録するため、SCP-1401-1の出現する可能性のあるすべての地域の警察無線を監視します。財団はSCP-1401-1が消滅するか、機動部隊κ-101("コンボイ")および特別医療ユニット738が到着するまで、初期対応として既知のSCP-1401-1実体を尾行し、その行動と特徴を記録します。MTFκ-101とSMU738の協力なしにSCP-1401-1の進行を止めたり、ダメージを与えようとしたりする試みはなされるべきではありません。SCP-1401-1に関連する事故や一般の警察による走行停止がなされた場合は、全ての生存者や接触者に対してクラスA記憶処置がなされます。
SCP-1401-1の乗員の特色についての情報は補遺を参照してください。
説明: SCP-1401はかつてのアメリカ国道██番線であり、当初20世紀はじめの大陸横断自動車道建設の第一波として整備されました。SCP-1401は[削除済み]州の無人の地域を112kmにわたって走り、[削除済み]市と[削除済み]市の間を結んでいます。両端をのぞき、他の道路との交差点はありません。
SCP-1401は日中には異常性を発揮せず、横断しても安全です。しかし夜間には、SCP-1401を走行する車両はおよそ█%の確率で、走行している方面にかかわらず目的地に着くことはなくなり、その際にどのような手段を用いても位置を特定することができなくなります。SCP-1401の調査では残骸や事故や衝突の痕跡は発見されませんでした。Dクラス人員を用いてSCP-1401の一方の終端からもう片方へ走行させたところ、消失に伴いオンボード機器は機能しなくなり、飛行機やヘリコプターを用いた追跡では機器の機能不全と同時に車両のヘッドライトが消え、熱反応も瞬間的に消失したと記録されています。車両をスポットライトで直接照らすことができるほど接近して空から追跡した場合は、これまでのところ消失は記録されていません。
SCP-1401は一般の交通の近くにあったため、57台の財団のテスト車両とその人員だけでなく、3台の一般車両がエンジンの故障によりSCP-1401に夜間に取り残され、日の出前に帰還しようとした試みの結果消失しています。SCP-1401は航空機、徒歩、動力のない乗り物には影響しません。SCP-1401-1の幾つかの実体の示した性質に基づき、SCP-1401は開通して間もなく異常性を持ち始めたと推測されます。財団は、SCP-1401の交通量がSCP-1401をバイパスする形で走る州間道路██号線の開通により大きく減少した19██年にSCP-1401の存在に気づき、地域の自動車所有者の行方不明事件とSCP-1401を利用した人の関連性が特定されました。
SCP-1401-1は、ナンバープレートと外見上の特徴がSCP-1401を走行中に行方不明になったものと一致する、数百の異常な自動車です。SCP-1401-1の738台の個体がこれまでに特定され、そのうち31台が財団のテスト車両でした。最も古いものはSCP-1401年1月3日と指定された1916年型フォードモデルT、最も新しいものはSCP-1401-1-732と指定された財団テスト車両の2006年型トヨタカムリです。SCP-1401-1実体の総数は不明ですが、これまでのSCP-1401の交通量と事件発生率から、SCP-1401に影響された車両の総数は10000台を越えると推測されます。
87%のSCP-1401-1実体はSCP-1401の出口から半径1000km以内で目撃されていますが、右側通行であり、合衆国市場向けに生産された車両が合法的に走行できる舗装道路であればどこにでも出現する可能性があります。全てのSCP-1401-1実体は夜に観察されています。
日暮れから間もなくの出現では、SCP-1401-1実体は高速道路、幹線道路、一般道、小道、裏道と言った合法的に一般車両が走行できるあらゆる道に、特定の方向なく走行し、信号や一時停止標識、他の車や道路の右側の歩行者を行かせるための停止を除いては、駐停車することはありません。SCP-1401-1は邪魔されない限り、出現地域の司法の定める道路交通法に従います。これまでに燃料補給や、その他の自然な理由で停止したSCP-1401-1実体はありません。SCP-1401-1の古い実体を近寄って観察すると、サビや傷んだタイヤ、通常そのような状態では走行可能とは思われないほどの機械的劣化といった環境への暴露や劣化を示しています。車内を覗けるほど近寄って観察された古いSCP-1401-1実体では、乗員は当初の消失から現在までの時間に相当する加齢した姿で車内にいることが観察されます。
SCP-1401-1は夜明け近くになると消滅します。消滅の機序は直接的な観察はされていません。警察や財団の人員がSCP-1401-01を追跡したすべての例において、消滅の少し前に追跡から逃れたり、ヘッドライトが消えSCP-1401内で車両が消失するときと同じように、赤外線モニターから消えたりします。消滅の後、SCP-1401-01実体は常用薄明の時間帯を過ぎて、法的に走行可能な地域の何処かに再出現する可能性があります。これまでのSCP-1401-01実体の出現のインターバルは3日から17年にわたります。
SCP-1401-01である車両はあらゆる追跡、妨害、および停止させようとする試みに抵抗し、クラッシュするか追跡者が諦めるまで、もととなった車両の最大速度と関係なく、300km/hを超える速度に達する事があります。スパイク・トリップ、車両用撒き菱その他の対車両用の器具を用いてSCP-1401-01を完全停止させる試みは、速度を若干低下させるのみで、SCP-1401-01は路面との接触を保つ限り高速で追跡者から逃げるため成功していません。SCP-1401-01実体がコントロールを失ったり、法的に過失があるとみなされる状態で衝突したりしたことはありません。現在まで報告されたSCP-1401-01が減速し停止したすべての例は、他の車両が故意もしくは偶然に衝突したり進路上に置かれたりした事によります。
SCP-1401-01である車両が回収されたすべての例において、ガソリンタンクは空であったことが報告されています。古い車両は、エンジンに複数の通常では走行不能になるような重大な問題が発生している事があり、そのような車両を再起動させる試みは成功していません。
補遺:
これまでに、財団の人員や一般の対応者による追跡の結果、37台のSCP-1401-01である車両の停止に成功している。23台の例では直接的な衝突の結果停止し、SCP-1401-01上に生存者はいなかった。ピット・マニューバーでスピンアウトさせる前にスパイク・トリップと追跡車両で挟み込むことによりSCP-1401-01を減速させる手法である1401-01-デルタの考案により、14台の車両を衝突に由来する乗員への負傷を最小限に留めて回収する事ができた。すべての例で身元特定が可能であり、消失時にSCP-1401-01に乗っていたとわかっている人物と一致した。乗員を呼称する際は、運転席から時計回りに番号を振ることとする。
SCP-1401-01の乗員が生存して回収できたほとんどの例で、乗員はSCP-1401-01が停止して60分以内に死亡した。乗員の生物学的な年齡は明らかに誕生日から推測されるものに一致した。乗員は高齢や長時間運動することなく同じ姿勢を取り続けたことに由来する急速な脱水、飢え、床ずれ、重篤な血栓症その他の症状を示した。死はこれらが複合して引き起こされた。幾つかの例では乗員は死に至る致命的な伝染病の末期にあった。2つの例、SCP-1401年01月23日7-3とSCP-1401-01-654-1は回収時妊娠していた。医療記録ではどちらの例もそれぞれ1973年および1922年の消失時に妊娠していたことを示している。胎児は成人の乗員と同じように高齢と疾患により死亡した。
20██年に、SCP-1401-01事例に対応し、SCP-1401-01乗員を生存状態で回収することを目的とした現場での緊急医療措置を行うために特別医療ユニット738が設立された。現在までに、12名の乗員が60分を超えて生存している。SCP-1401-01-332-1およびSCP-1401-01-702-3の二名が意識を保ち会話可能であるが、重度の筋萎縮によりベッドに拘束された状態にあり、24時間体制の看護が現在でも必要である。
インタビュワー: S. サメシュ博士
インタビュー対象: SCP-1401-01-332-1(ここより"アダム"と記載する)
前書: SCP-1401-01-332-1、アダム・███████は妻と二人の子供とともに1932年、SCP-1401上を西へ向かい1928年型フォードモデルAを走らせている最中消失した。███████の車両は財団により19██年に特定されSCP-1401-1-332と指定された。SCP-1401-1-332は20██/██/██の追跡ののち無傷で回収された。SMU738は███████以外の乗員を救うことができなかった。運転者であった███████の生物学的な年齡は、医学的な検査と出生の記録によると現在1██歳である。回収時に記録された負傷により、███████は自力では自力で立ち歩く事ができず、呼吸のために頻繁に酸素吸入を必要とする。
<ログ開始、20██/██/██、3:12 PM>
サメシュ博士: ご気分はいかがですかアダム?
アダム: 良くなっています。脚もまた伸ばせるようになりました。
サメシュ博士: 警察が貴方を止めるまでどれくらい長く運転していたか教えてくれますか?
アダム: ええと・・・私たちは[削除済み]を9時半に出て、カリフォルニアへ向かいました。知っての通り、私たちは暑さと埃を避けて夜動くことにしたんです。日が昇っては来なかったので、6-7時間しか経ってなかったと思います。時計はなかったし、ラジオは壊れてしまいましたからね。でも何年にも感じました。
サメシュ博士: その間どれくらいの距離走ったんですか?
アダム: わかりません。オドメーターは3-4回は回りきったはずです。
サメシュ博士: カリフォルニアには着きましたか?
アダム: ええ、走り続けたんで。景色は気に入りませんでしたが。
サメシュ博士: あなたはどこかの時点でガソリンを補給する必要があったはずですね?
アダム: 全然必要じゃなかったんです。それも良かった点で - 家の周りじゃ1ガロンで10セントだったのに、ここらじゃ信じられないような値段で売ってる。
サメシュ博士: あなたは食事も取らなかった、それともどこかで食べましたか?
アダム: そんなに空腹は感じませんでした。いずれにせよここらで見たレストランはそんなにうまそうには見えない。
サメシュ博士: どこかの時点で、何らかの理由で止まりましたか?
アダム: 何でわざわざそんなことを?いいペースで走れてたし、何にせよ停まりたくなるようなところもありませんでしたしね。
サメシュ博士: あなた自身や、あなたの家族が旅の間年を取っていることに気づきましたか?
アダム: ええ、ちょっと前よりシワが増えたんじゃないかと思いますね。そして子供たちは・・・ああ、子供は瞬きする間に大きくなるなんてよく言いますが、こんなに早いなんて思いませんでしたね。
サメシュ博士: なぜ警察の追跡から逃げようとしたのですか?
アダム: 人聞きの悪い言い方しないでください。私は"追跡から逃げようと"なんてしてませんね。ただあのあたりで停まるのは何だか具合が悪い感じがしましてね。
サメシュ博士: あなたは停まるまでの間警察を従えて3つの州を跨いで238マイル走り続けました。その間停まるのに良い場所はなかったのですか?
アダム: ありませんでしたね。このあたりの土地勘も無いもので。
サメシュ博士: 停まるのに良い場所、とはあなたにとってどんなところですか?
アダム: 仮にあるとしても、そんなところは見たことがないですね。
<ログ終了、20██/██/██、3:18 PM>