SCP-1046-JP
評価: +234
The-Interest-Kills-Pandora.jpg






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生命活動の継続を確認しました。

当該ファイルをご参照下さい。


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アイテム番号: SCP-1046-JP

オブジェクトクラス: Thaumiel

特別収容プロトコル: SCP-1046-JPの情報へのアクセスはレベル5クリアランス以上またはレベル4/1046-JPクリアランスを付与された職員にのみ許可されます。O5評議会によるプロトコル「インヒビター」発令時を除くSCP-1046-JPの停止とプロトコル「アポトーシス」発令時を除くSCP-1046-JPの起動を試みるあらゆる行為に対して、即座に対象の終了措置が取られます。

SCP-1046-JP-Aは特異性の及ぶ周囲2kmに渡って隔壁を設置して、SCP-1046-JP内が一般人に視認される事を防ぎ、機動部隊は-5("墓守")が巡回警備と設置されたカメラによる監視を行います。SCP-1046-JP-Bは特異性の及ぶ領域を完全に包囲する廃屋に偽装したサイト-81██を建設し、設置されたカメラによるサイト内外の監視を行います。外部からSCP-1046-JP-B領域が観測される事を防ぎます。SCP-1046-JP-Aへの曝露を避けるため、塀内部への侵入には侵入者の確保などの緊急時を除きレベル2以上のクリアランスを持った職員の許可が、またサイト-81██への侵入にはレベル4以上のクリアランスを持った職員の許可が必要です。SCP-1046-JP-Aに一般人が接近した場合は、カバーストーリー『絶滅危惧種の保護区』によって退去させて下さい。内部に侵入した人物はなるべく早く確保し、Aクラス記憶処理を行い解放して下さい。

SCP-1046-JP-Cは予測中心点から10m離れた正20面体頂点上の座標に12台の空間ポテンシャル流能動波堤を設置し、最低8台を常に稼働させてください。予測中心点から20mの位置に、整備された予備の能動波堤を24台用意し、稼働中の能動波堤と8時間毎に専用の設備を用いて交換します。交換作業は全てSCP-1046-JP-C収容設備から地下600mの位置まで運搬して行い、SCP-1046-JP-A、-Bの特異性への曝露を防止します。予備の能動波堤は非常電源に接続され、平常稼働中の能動波堤が破損した場合直ぐにバックアップとして起動できる状態を維持します。SCP-1046-JP-Cの範囲は常にSCP-1046-JP-A範囲外より記録され、変動の由来が研究されます。
SCP-1046-JP-C領域の異常な拡大が予測される場合、プロトコル「アンタゴニスト」が実行されます。

説明: SCP-1046-JPは、外見上は内部に複数の気泡を持った一辺5c×ばつ10-██Hmを下回り、SCP-1046-JPが常に自身を現実改変し続けている偶発的な影響、あるいはそのような現実改変をSCP-1046-JPが行うための意図して作り出された環境であると推測されています。SCP-1046-JPは自身の認識者にSCP-1046-JPの「用途」を理解させる異常ミームを持ちます。オブジェクトの周囲には、認識異常を引き起こす領域(SCP-1046-JP-A)とミーム汚染を引き起こす領域(SCP-1046-JP-B)を持ち、この領域は他の異常認識、異常ミームに対する「箱」として機能しています。SCP-1046-JPは定常状態では周囲に存在する空間歪曲(SCP-1046-JP-C)によって本来の形状から内外が反転した状態であると考えられています。

SCP-1046-Cはその特異性を宇宙空間の安定性に依存して変化させており、宇宙空間の破滅的な不安定化はSCP-1046-JP-Cの一時的な消失とそれに伴うSCP-1046-JPの"反転イベント"を引き起こします。"反転イベント"によってSCP-1046-JPの内外は逆転し、外部に「内側」が、内部に「外側」がある状態へと変化します。直後にSCP-1046-JP-Cが内部で復帰する事によってSCP-1046-JPの"再反転イベント"が発生し、SCP-1046-JPの「内側」に存在する宇宙空間を巻き込んで定常状態へと復帰する事で、その内部に全宇宙を収容する事が可能であると予測されています。

SCP-1046-JPはSCP-1046-JP-Cの観測実験中であった御匣博士によって発見されましたが、発見時御匣博士は実験を無断で中止しており、また詳細情報はオブジェクトを視認する事で得たと主張していました。御匣博士がオブジェクトの影響を受けて錯乱している可能性から、SCP-1046-JP実体の存在は懐疑的に考えられていましたが、実証実験において御匣博士が得たSCP-1046-JPに関する知識が正確である事が確かめられています。

対象: 御匣博士

インタビュアー: エージェント・██████

付記: インタビューは御匣博士がSCP-1046-JP-Cの観測実験を中止した理由について尋問する意図で行われた。

<録音開始>

エージェント・██████: それでは尋問を開始する。単刀直入に尋ねるが、なぜ貴方はSCP-1046-JP-C観測実験を他の研究員へことわる事なく中止した?それも能動波堤の緊急停止なんて危険な方法で。

御匣博士: 冷静では居られませんでした、アレを知ってしまっては。

エージェント・██████: アレ?アレとはなんだ?

御匣博士: 「箱」ですよ、貴方もSCP-1046-JP-A、-Bの実験記録はご存知でしょう。

エージェント・██████: それはもしや被験者が認識していたと言う......。

御匣博士: ええ、透明な、5cmぐらいの立方体。やはりそれが一連の特異性の根源でした。

エージェント・██████: まて、何故それがSCP-1046-JP-Aや-Bの源だと分かった?貴方は実験時あくまで肉眼で観察するに留まっていたはずだ。

御匣博士: だからこそなのかもしれませんよ。

エージェント・██████: [溜め息]博士、私は貴方と会話を楽しみたいんじゃないんだ。この会話は記録され、恐らく報告書に情報として記載される。その事を自覚して頂きたい。

御匣博士: 分かっていますよ、簡潔に話せと仰るんでしょう。ええ、ええ。上手く纏められるかは分かりませんが......。

エージェント・██████: それでは改めて尋ねる。何故貴方はその箱とやらが特異性の根源だと分かった?

御匣博士: 一言で言うなら、それもまたSCP-1046-JPの特異性なのでしょう。あれは道具だ、人が使うための。だから取扱説明書が付いている。つまりは、あー、私が「箱」を見たとき、その「箱」が何なのか、どう使う物なのかという情報が、私の頭の中に突然降って湧いたのです。

エージェント・██████: それ以外に根拠は?

御匣博士: ありません。それが正しいのか否か実証するのはこれからの仕事です。

エージェント・██████: では、何故そこから実験の中止を強行するに至った?

御匣博士: 一歩間違えれば、世界を無駄死にさせていたかもしれなかった。その情報が嘘か真かは分かりませんでしたが、万が一本当だとしたら、そう思うと動かずにはいられなかった。

エージェント・██████: 世界を無駄死にさせる?どういう事だ。

御匣博士: SCP-1046-JPは「箱」です、モノをしまい込むための。そしてSCP-1046-JP-Cはその箱の鍵なんです。あの実験で、我々は無闇にその鍵をこじ開けようとしていた。

エージェント・██████: 箱の中には何かしらマズいものが、あーつまり、例えばKクラスシナリオなんかを引き起こし得るようなものが封印されてて、実験を続けてればそれを解放する事態になっていたと?

御匣博士: それもあるでしょうが、重要なのはその後です。あの「箱」は一度開けば、直ぐにでも周りのものを引きずり込んで再び己を固く閉ざす。全てのものを中に閉じ込めるんです。

エージェント・██████: その全てというのは......。

御匣博士: 世界全てのようですよ。あるいは宇宙と言った方が適切でしょうか。

エージェント・██████: 箱は、せいぜい5cm程度なんだろう?

御匣博士: 私達が認識できる範囲ではそうです。しかし実態は違う。3次元上に存在する我々にとっては「箱」の断面たる透明な立方体しか認識できませんが、実際には██次元上に存在し、その一端を我々の世界に伸ばしている、そういうモノだそうです。

エージェント・██████: すまんがもう少し噛み砕いて説明してくれないか。

御匣博士: そうですね......例えば我々は、2次元上に存在し、3次元を認識できないなんていうオブジェクトを幾らか収容していますが、そういうものが紙の上にいたとして、そこに箱を置くと彼らにはどう見えるでしょうか。

エージェント・██████: どう見える?

御匣博士: 彼らはその2次元上にあるものしか見る事ができません。彼らにとってはその箱の断面図である四角形しか見る事は叶わないし、少なくとも彼らにとってはその四角形こそが実体なのです。あの「箱」もそういうものなんだと思います。

エージェント・██████: あー、つまり......見かけで判断はできないんだな?

御匣博士: ええ。

エージェント・██████: じゃあSCP-1046-JP-Aや-Bも箱の機能に関わりがあるのか?

御匣博士: はい。SCP-1046-JP-A、-Bはそれぞれ概念的あるいはミーム的なオブジェクトに対する箱として機能するようです。それらだけでない。空間的、時間的、物理的、霊的、異常な法則や過去改変、現実改変に対しても箱は用意されています。ただ、それらは「箱」の中に収まっていますから、我々には観測する事は出来ないでしょう、恐らく。

エージェント・██████: 何故そこまで......。

御匣博士: 確かに不要かもしれませんね。しかし必要でもあるかもしれない。この「箱」が仕舞っておけないモノがあってはならないのですよ。押し込めて、閉ざして、遠ざける為の「箱」なんです。

エージェント・██████: その口ぶり......博士はさっきもSCP-1046-JPを道具だと言ったな?そうなるとやはり、SCP-1046-JPは誰かが作ったものなのか。

御匣博士: そうです。恐らく、必要に迫られた誰かがコレを作り、そして真っ先にそれを自身の世界で使い、滅ぼした。いえ、滅んだから使った、の方が正しいでしょうか。

エージェント・██████: そんな危険なもの作って挙句自分達を滅ぼした?一体全体なんの為に。

御匣博士: 分かるはずですよ。彼らと私たちは志を同じくする者の筈ですから。異常物は、それが異常性を振りまかぬよう収容されねばなりません。そして、異常性は時として世界の垣根すら越えて正常を蝕む事を、我々は知っている筈です。

エージェント・██████: だから、終焉した世界を収容する、せめて"それ以上"の被害を防ぐ為に?

御匣博士: それも、「鍵」、つまりSCP-1046-JP-Cの性質を考えれば分かるでしょうが、SCP-1046-JPの機能はアノマリーが"空間を破る"事をきっかけにして自動的に発動されるものです。先の実験で能動波堤でSCP-1046-JP-Cへ干渉可能である事が判明したとはいえ、現状では常にSCP-1046-JPの起動と、それに伴うK-クラス世界終焉シナリオの危険性と隣り合わせであると言わざるを得ないでしょう。

エージェント・██████: [溜息]これは......俺達だけで結論を出していい問題じゃない。直ぐにでもこの記録を上へ提出して、SCP-1046-JPとの付き合い方を決める必要がある。

御匣博士: ええ。ですが一方で、私が語ったのはあくまで私が突然手に入れた情報です。まずはその正確性を確かめる必要があるでしょう。

エージェント・██████: 心配せずともそうなるさ。ありがとう、インタビューを終了する。

<録音終了>

終了報告書: インタビュー後、御匣博士は精神鑑定を受け、おおよそ心理的には異常を来していない事が確かめられましたが、SCP-1046-JPの未知の特異性を考慮し、約1ヶ月の拘禁と経過観察が行われました。その間御匣博士はSCP-1046-JPの概要をレポートに纏めており、その正確さが並行して行われていたSCP-1046-JPの調査によって裏付けられた事で、御匣博士はSCP-1046-JP主任研究員に復帰しました。

補遺: 20██/██/██、SCP-1046-JPの機能の解析が完了したとして、O5評議会はSCP-1046-JPの利用に関する協議を行い、SCP-1046-JPのオブジェクトクラスをThaumielとし、プロトコル「インヒビター」、「アポトーシス」を制定しました。プロトコルはO5評議会の判断に従って実行されます。
我々が敗北するその日まで、プロトコル「インヒビター」は成されねばならない。我々が敗北するその日、プロトコル「アポトーシス」は成されねばならない。確保、収容、保護。- O5-1


もう前へ進めないあなた方へ
お疲れ様でした
せめて続いていく者の為に
私達と共に

ページリビジョン: 34, 最終更新: 21 Feb 2024 12:39
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