2020年12月
休肝日と研究と机の上の書類の山
2020年12月08日 | 固定リンク
こんにちは。矢野・岡田研究室の岡田です。今年もあとわずかだなとうすうす感づいてはいましたが、ずっと気が付かないふりをしていたがために、現実を直視したときの衝撃はすさまじいですね(笑)。
さて、本日は簡単に私の研究紹介をしようと思います。みなさん、肝臓はどのような役割を担っていると思いますか?ずばり解毒作用です。例えば、お酒を飲んだとき、肝臓がアルコールを分解してくれます。自宅で晩酌しているお父さんをみかけたら、「お父さんの肝臓がんばっているんだろうな」と思って、そっと休肝日をつくってあげましょう(笑)。また、私たちの身体の中では絶えず代謝反応がおこわなれていますが、肝臓はこの過程で産生された有害物質を解毒してくれています。このように、肝臓は日々私たちの身体を健康に保ってくれているのです!えらい!
この肝臓の素晴らしい働きを、とっても邪魔してくれるのが脂肪です。脂肪って本来脂肪組織で貯蔵されますよね?でも脂肪が過剰になると、本来貯蔵すべきではない肝臓でも脂肪が蓄積されるようになります。私のデスクの上でも日々似たようなことが起こっていて、ちょっとした出来心で書類をファイルにしまわずに、机の上に積んでしまうと・・・あら不思議、瞬く間に書類の山で机が埋まってしまいます(笑)。こうなると、もはや机ではお仕事できないですね。ごめんなさい。このように、肝臓に異所性の脂肪が蓄積すると、肝臓本来の機能が発揮されなくなってしまうのです。
脂肪肝が進行すると、その一部は肝炎・肝硬変、ひいては肝がんへと発展してしまいます。主な要因として、飲酒や肝炎ウイルスの感染が挙げられますが、これらに因らない一連の脂肪性肝疾患を「非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)」といい、日本も含めて世界的に増加傾向にあります。それにもかかわらず、対処療法しかないのが現状です。そこで私の研究ではこのNAFLDの治療方法や予防方法を開発する!ということを目的にしています。実は、NAFLDの原因はまだまだわからないことだらけなんですね。私の机にせっせと書類の山を築いていく犯人は、この岡田以外の何者でもありませんので、私が気持ちを入れ替えるだけで充分ですが・・・NAFLDの場合はそうゆう訳にもいきません(笑)。そこでNAFLDの原因となる遺伝子を特定し、創薬に応用しようと日々励んでいます!現在、この原因遺伝子群の候補が徐々に見つかってきており、自分で言うのもなんですが、今後の研究展開がとても楽しみです!
必需品:消毒用アルコール
2020年12月04日 | 固定リンク
今年は1月から新型コロナウイルス感染症の話題で持ちきりの1年でした。この1年の間にみなさんにとって身近になったものに「消毒用アルコール」があると思います。外から家に帰ってきたとき、商業施設に行ったときは常にアルコール消毒をしたはずです。今は街のいたるところに消毒用アルコールを見ることができます。
このように脚光を浴びた消毒用アルコールですが、微生物の研究をしている私にとっては学生時代から欠かせないものでした。というのも、微生物を取り扱う時は、いつも約70%に薄めたアルコールを手の先から肘まで吹きかけてから実験操作を行うからです(消毒効果が65~80%の濃度が一番高いためです。ケチっているわけではありません)。そのため、微生物の研究を行っている研究室では「いかに安価に消毒用アルコールを手に入れるか」が経済的に大きな問題となっています。
その経済的問題が新型コロナウイルス感染症によって深刻になりました。消毒用アルコールの値段に人一番敏感な私による、この1年のアルコール価格変動の観察結果を報告します。まず、1月は18Lで5000円くらいでした。しかし、2月ごろ新聞紙上にコロナウイルスの名前が出始めると急に品切れの文字がでました。3月になると通常の購入をあきらめた私はオークションサイトに走りました。そこでは数万円の表示がありました。購入断念。最高値は5月ごろの約5万円だった記憶があります。そのころは酒類製造会社がアルコールを売っていました。その後、市場にアルコールが出回り、2万5千円くらいから購入を検討、6月半ばに14500円で購入しました。そして10月には7250円で購入した記録が残っています。その後はその価格で相場は安定しています。私の心と研究室予算への不安が落ち着きました。まさかまさかのこの経験、早くコロナ禍が収まることを願っています。
西野智彦