掃除はやっぱり大切です!
2014年06月30日 | 固定リンク 投稿者: 応用生物学部スタッフ
皆さん、梅雨の天気で、気温が変わりやすい時期ですが、体調は大丈夫でしょうか?
これから、もう少しで夏本番になります。
自分の目標に向かって、適度に休暇をとりつつ、頑張って下さい。
さて今回は、先生や両親から、顔を合わせれば言われる『掃除しなさい!』について、生物(細胞)という視点からちょっと、考えてみたいと思います。
皆さんは、自分が生活している部屋を、『どうして掃除しないといけないのだろう...』と思いませんか?
その答えは、当然ながら、ゴミがたまると部屋の衛生状態が悪くなり、生活空間が狭くなり、もしかしたら、大事な書類やゲームソフトの行方が解らなくなったりするかも知れないからです。もし、自分がお金持ちで1週間に一度、全く同じ新しい部屋に引っ越すことが出来れば、掃除は不要かも知れませんね。でも、自分も含めて、そんな大富豪は世界中にそれほどいないので、やっぱり掃除や生理整頓は必要になってきます。
実は、この『掃除』、皆さんの細胞でも起きていること知っていますか?
皆さんの中には、『細胞は常に新しいものが出来る』と思っている人もいるかも知れませんが、細胞の種類によって、その寿命は様々です。皆さんがイメージしやすい血液や皮膚の細胞は、常に新しいものが作られますが、肝臓や骨の細胞寿命は数年、一番重要な脳の神経に至っては、ほぼ一生です。つまり、神経細胞は、血液や皮膚細胞と違って、『引っ越し』という戦法が取れないのです。
私達の日常生活と同様に、細胞も活動していれば、どんどんゴミ(不要タンパク質)が溜まりますし、部屋の椅子や机に相当する、細胞内の小器官だって、修理しなければ、どんどん劣化してきます。これは、相当マズイので、必然的に細胞にとっても、『掃除』が大事になってきます。
この『掃除』に、大きな役割を果たしているのが、『オートファジー(自食作用)』と呼ばれるシステムで、読んで字のごとく、細胞の中の不要な器官や壊れたタンパク質を、食べて、アミノ酸にまで分解するというものです。出来たアミノ酸は、再び細胞内で材料としてリサイクルされます。皆さんは、このオートファジーと呼ばれる『掃除』のお陰で、常に細胞がキレイな状態に保たれ、日々の生活が可能になっているのです。
最後に余談ですが、『腹八分目に医者いらず』という言葉を知っていますか?
似たような、格言は他にもたくさんあり、どれも、『満腹になるまで食べるよりも、若干空腹である、腹七、八分目くらいの食生活の方が健康的な生活が出来る』というものです。
最近の研究から、細胞の掃除役であるオートファジーは、満腹状態よりも、実は空腹時の方がよく機能することが解っています。もしかしたら、昔の人々の経験則による言い伝えは、現代の科学によって、説明出来るようになるかも知れません。
来須