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7.26.2019

第15回|トロッコ問題の射程|南国科学通信|

全卓樹
第15回 トロッコ問題の射程


吉良貴之きらたかゆき氏が語り始めた。

「トロッコ問題」について聞き及んだ人はどれくらいいるだろうか

新装なった高知市図書館「オーテピア」、最上階プラネタリウム横会場での、寒風にんだ師走しわすひと日の夕刻であった。「高知サイエンスカフェ」の講師は、東京の若き法哲学者である。

炭鉱の採掘現場でブレーキが壊れて暴走するトロッコが、線路の先の5人の鉱夫に向かっている。切り替え路線の向こうでは別な1人が線路上で作業中である。たまたま路線切替機の隣にいたあなたは、そのまま5人がかれ死ぬのを見過ごすか、レバーを引き路線を切替えて、本来無関係な1人の死を引き起こすかの選択を迫られている。あなたはどうするのか?


CC BY-SA 4.0 image created by McGeddon
投稿者 asahipress_2hen 時刻: 12:51

11.08.2017

南国科学通信 第1回

全卓樹
第1回

高知工科大学で理論物理学の研究をしている全卓樹さんに、自然界の様々な階層を旅する科学エッセイを連載していただきます。月に二度、十五分だけ日常を離れ、自然の世界をのぞいてみませんか?

★本連載は終了しました。改題・加筆のうえ、2020年1月に小社より本として刊行する予定です。どうぞよろしくお願いいたします。――編集部
 

海辺にたたずんで、寄せては返す波の響きをきいていると、「永遠」という言葉が心に浮かぶ。


"Cabin of the Customs Watch" by Claude Monet, 1882. (Metropolitan Museum of Art)


死と静止はおそらくは永遠の安らぎではない。死してのちも万物が色せ崩れゆき、世界が無慈悲に年老いていくことを、熱力学の第二法則は命ずるのだ。永遠の喩えとされるダイヤモンドの輝きも、決して永遠ではない。ダイヤモンドは、30億年前に高温高圧のマグマの中で作られて以来、再び作り出されることはなく、何十億年ののちすべて灰として散っていくことだろう。

むしろ絶えず巡りきて繰り返すもの、周回し回帰するものの中にこそ、永遠はあるのではないか。満ち潮引き潮の繰り返し、太古から変わることなく同じリズムを刻む昼と夜の交代や月の満ち欠け、そのような永劫えいごうに回帰する運動の中にこそ、永遠が見出されるはずである。

投稿者 asahipress_2hen 時刻: 17:00
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