ラベル 中川恵一「放射線のひみつ」 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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7.05.2011


中川恵一
イラスト 寄藤文平



25 発がんリスクの代表例――甲状腺がんの基礎知識。

チェルノブイリの原発事故では、白血病など、多くのがんが増えるのではないかと危惧(きぐ)されました。しかし、実際に増加が報告されたのは、「小児の甲状腺がん」だけでした。小児甲状腺がんが増加した最大の原因は、旧ソビエト政府が、当初、事故を認めず、初動が遅れた点です。この点、福島第一原発では、まずまず適切な対処がなされてきたと言えます。

放射性ヨウ素(I‐131)は、体に入るとその30%程度が甲状腺に取り込まれます。これは、甲状腺ホルモンを作るための材料がヨウ素で、甲状腺がヨウ素を必要としているからです。

普通のヨウ素も放射性ヨウ素も、人体にとってはまったく区別がつきません。物質の性質は、放射性であろうとなかろうと同じだからです。たとえて言えば「食べ物があったので食べてみたら、毒針がついていました」ということなのです。
投稿者 asahipress_2hen 時刻: 11:39

6.23.2011

中川恵一
イラスト 寄藤文平
21. 「いつ・どこで・どんなものが・どの期間」に注目する。

福島第一原子力発電所の事故以来、ニュースでは、
――「浄水場の水から、乳児の摂取量の上限となる暫定基準値を上回る量の放射性ヨウ素が検出」
――「海水の放射性物質、基準上回る。ヨウ素131の濃度は、今月2日に基準値の750万倍」
といった表現をひんぱんに目にするようになりました。(ただし安全を見越して、基準値自体が低い値に設定されていますから、「○○倍」という言い方も若干問題かもしれません。)

放射線の人体への影響を考えるには、「いつ・どこで・どんなものが・どの期間」に検出されたのか、を確認することが大事です。
投稿者 asahipress_2hen 時刻: 13:55

6.13.2011

中川恵一
イラスト 寄藤文平
17. 38億年間、生物は放射線の中で生きてきました。

放射線が生命に影響を与える仕組みの鍵は、遺伝子=DNAです。DNAは、ヒモのような形をしていますが(二重らせん構造)、放射線は、このヒモを切断するのです。

紫外線で日焼けなどの皮膚障害が起こりますが、これは、皮膚表面の細胞のDNAに切断が起こるためです。紫外線は体の奥には達しませんが、放射線は、透過力が強いため、体の深部にある臓器の細胞のDNAにも切断を引き起こします。
投稿者 asahipress_2hen 時刻: 15:00

6.08.2011

中川恵一
イラスト 寄藤文平
13. 放射線をあびる「範囲」も大事です──局所被ばくと全身被ばく。

放射線をあびる「強さ・勢い」だけでなく、吸収する「範囲」によっても、放射線の人体への影響に、大きな違いが出てきます。

火にあたると、全身が温かくなります。これが行き過ぎると、全身火傷です。空中を飛んでいる放射線を全身にあびるのは、これと同じ状況です。これを「全身被ばく」と言います。
投稿者 asahipress_2hen 時刻: 18:10

6.01.2011

中川恵一
イラスト 寄藤文平


前回(第5回)までは、放射線についての「基本用語」を紹介してきました。今回からは応用的な話題に入ります。放射線が私たちの体に及ぼす影響と、その対処の仕方。放射線を「正しく怖がる」ための処方箋です。書籍版も好評販売中です。

11. 放射線は身の回りにあります。

放射線は、今回、福島原発の事故で急に注目されることになりました。もともと目に見えず無味無臭なので、知らなかったという方も多いかもしれませんが、実は、福島原発の事故とは無関係に、私たちはだれでも毎日「被ばく」しています。
投稿者 asahipress_2hen 時刻: 15:30

5.24.2011

中川恵一
イラスト 寄藤文平
9. 放射線が変われば、人体への影響に違いが出てきます。

ここで、放射線の基本に立ち返ってみます。(やや込み入った話になりますので、読み飛ばしていただいてもかまいません。)

一口に「放射線」といっても、そこには アルファ線(α線)、ベータ線(β線)、ガンマ線(γ線)、中性子線など、たくさんの種類があるのをみなさんはご存知でしょうか。種類が違えば、性質も異なり、人体に与える影響も違います。
投稿者 asahipress_2hen 時刻: 12:12

5.19.2011

中川恵一
イラスト 寄藤文平
7. 「シーベルト/シーベルト毎時」は「距離/速度」の関係。

10ミリシーベルト(mSv)という表現を見たり聞いたりしたときには、それが何の量を表しているか、注意が必要です。

だれでも知っている10キロメートル(km)の場合と同じこと。この10キロとは、距離なのかスピードなのか、その都度、判断しているはずです。同じ10でも、一方は距離、他方は速度。
投稿者 asahipress_2hen 時刻: 17:22

5.11.2011

中川恵一
イラスト 寄藤文平
第3回
5. 「シーベルト」は放射線が人間の体に与える影響を示す単位。

放射線の量と強さを測るには、何を測るかによって、さまざまな単位が用いられます。その代表は「シーベルト(Sv)」です。

これは放射線をあびた(被ばくした)ときに、人間が受ける影響の強さを示しています。あびた放射線が強ければ強いほど、人間が受ける影響も強くなる。つまり、シーベルトの値も大きくなります。シーベルトという単位によって、いろいろな種類の放射線の影響を同じ尺度で比べることができるわけです。
投稿者 asahipress_2hen 時刻: 13:24

5.06.2011

中川恵一
イラスト 寄藤文平
第2回
3. 「放射能がやって来る!」はまちがいです。

「放射線」「放射能」「放射性物質」。どれも互いによく似た言葉ですが(だからこそ、よく混同されるのですが)、意味はそれぞれ異なります。

「放射線」は、物質に“電離”を与える「光」や「粒子」のことですが、平たく言えば、物体を突き抜ける能力の高い光や粒子のことを指します。さまざまな種類の放射線があって、その性質もそれぞれ違うのですが、とりあえず、全部まとめて「放射線」と呼んでおきます。
投稿者 asahipress_2hen 時刻: 15:26

5.03.2011

中川恵一
イラスト 寄藤文平
第1回

東日本大震災の被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。今回の原発事故により、「放射線」という言葉を聞かない日はありません。ただ怖がる、のではなく、「正しく怖がる」ために必要なことを皆さまと共に考えていきたいと思います。

1. 放射線を語るための「言葉」からはじめましょう。
テレビから突然、「シーベルト」とか「マイクロ」とか「ベクレル」とか、耳慣れない言葉が聞こえてくるようになりました。

よくわからないからこそ、「怖そう」とか、「どうなってしまうんだろう」といった不安や恐怖を抱いている方も多いのではないでしょうか。
投稿者 asahipress_2hen 時刻: 12:07
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