作品概要
| 通称 | 土蜘 |
|---|---|
| 本名題(ほんなだい) | 土蜘(つちぐも) |
| 初演年度 | 明治14年(1881年) |
| 音楽 | 長唄 |
| 題材による分類 | 松羽目物 |
土蜘(つちぐも)が天下を狙い、その手始めに源頼光(みなもとのらいこう)を襲う話です。源頼光は大江山の鬼退治をした英雄として名高い人物でした。前後2段の構成で、比叡山の僧・智籌(ちちゅう)、実は土蜘の精が主人公です。
場面は頼光の館です。土蜘の精は頼光に病を起こさせ、僧に扮して頼光の病床を夜遅くに訪ねてきます。智籌は、静かに夜の闇にまぎれるようにして登場するのが特徴です。智籌が祈祷(きとう)のためと頼光に近寄ると、ろうそくの灯火の影に本性の姿が映り、頼光の家来の少年にみとがめられます。そして土蜘の精だと明かし、頼光の持つ名剣で斬りつけられると一旦は姿を消します。やがて本性の蜘蛛(くも)の姿で現れ、頼光やその家臣たちと立廻りになり、幾筋もの蜘蛛の糸を投げかけ、頼光たちを苦しめますが、ついには退治されてしまいます。蜘蛛の糸が広がる様が美しいシーンで幕になります。