歌舞伎舞踊とは
歌舞伎舞踊は、歌舞伎が成立する歴史の中で生まれた、歌舞伎の中の1ジャンルです。
演劇と踊りを様式化したその美は、バラエティに富んだ多くの演目に見ることができます。演者の技と個性、それを美しく彩る小道具や扮装など、様々な要素が重なり合って"歌舞伎舞踊の魅力"を形作っているのです。
このページでは、歌舞伎舞踊の魅力を楽しむための入口としてポイントを3つに絞り、「歌舞伎舞踊の歴史」「歌舞伎舞踊の分類」「歌舞伎舞踊の周辺」の概要をご紹介します。
歌舞伎舞踊の歴史
発展の歴史をひも解くと、より深く歌舞伎舞踊を味わう事ができます。
歌舞伎舞踊の持つ演劇性は、歌舞伎成立の背景に由来します。
歌舞伎は、出雲の阿国(いずものおくに)という女性が踊った「かぶき踊り」がはじまりだといわれています。「かぶき踊り」が人気を得ると、それを真似て、遊女たちの踊り(「遊女かぶき」)を始めとする女芸人の踊り(「女かぶき」)、未成年男子の踊り(「若衆かぶき」)が流行します。しかし風紀を乱すものとして幕府に禁止され、成年男子の演劇(「野郎かぶき」)へと変化していったのです。
元はストーリー性の薄いものでしたが、「野郎かぶき」として定着してから、演劇性を持つ舞踊・歌舞伎舞踊が生まれました。現代にいたるまでに多くの作品が生み出され、今でも様々な作品が上演されています。
<歌舞伎の成立、歌舞伎舞踊の発展>
歌舞伎の誕生
歌舞伎舞踊の分類
歌舞伎舞踊の魅力は、その多彩な作品群に見ることができます。
「女方の舞踊」は、姫の情熱的な恋や町娘の激しい恋、少女の淡い思いなど、女性たちの様々な恋心が表現されています。
「立役の舞踊」は、演劇の要素の強いものから、江戸時代の多様な風俗を写したものまで、数多く、バラエティに富んでいます。
「男女の舞踊」は、恋人同士の舞踊と、対立する舞踊に分けられます。恋人同士の舞踊には、恋する2人の死への旅を描いた作品が多くあります。男女が対立する舞踊では、野望を抱く人物とそれを阻む人物の闘いが描かれています。
「その他の舞踊」は、獅子や鬼、怨霊など人間以外の役が主人公の舞踊です。ほとんどが前後2段の構成で、前段では人間として踊り、後段に人間以外の姿で登場するパターンになっています。
<歌舞伎舞踊の作品と表現>
作品の分類
歌舞伎舞踊の周辺
歌舞伎舞踊の世界は、演者の技、役や役柄の個性、美化された小道具や扮装を掛け合わせて創り上げられています。
<技法>
歌舞伎舞踊の表現には様々な技法が使われています。人形の身振りをする「人形振り」、華やかさを添える「所作ダテ」、ショー的効果をあげる衣裳の工夫「引き抜き」や「ぶっかえり」など様々な表現が組み合わされ、そこに「扇、手拭いの表現」「袖使い」といった演者自身の技とが連動して、1つの舞踊が作り上げられていきます。
<歌舞伎舞踊の作品と表現>
作品にみる技法
<小道具>
歌舞伎舞踊にとって、扇は欠かせない小道具です。風や波といった自然の描写から盃や刀などの物の表現まで、多種多様に使われます。手拭いも、扇と同様に自然の表現から事物まで守備範囲の広い小道具です。傘や笠は、雨天時の外出や旅の風景に用いられます。その他、毛槍、花槍や持ち枝、楽器の役割もある羯鼓(かっこ)や鈴太鼓(すずだいこ)などがあり、歌舞伎舞踊の様々な役柄や局面を助けています。
<歌舞伎舞踊を彩る要素>
小道具
「歌舞伎舞踊 その魅力」