2025年9月26日
中部経済新聞 2025年9月26日付
<記事原稿> モンゴルの学校に暖房機器導入/地中熱、太陽熱を利用
業務用ヒートポンプ製造のゼネラルヒートポンプ工業(本社名古屋市中村区、 柴芳郎社長)は、寒冷地であるモンゴル・ウランバートル市の小中学校に、地中熱と太陽熱を組み合わせたハイブリッドヒートポンプ暖房システムを導入した。モンゴルで従来から使われている石炭ボイラーと比べて、 CO 2(二酸化炭素の排出量を8割以上削減できるという。大気汚染物質の削減など環境改善への貢献が狙い。今後、学校や病院など導入先を広げたい考えだ。(竹田ゆりこ)
メッセナゴヤ 2025 出展企業 11月5〜7日
地中熱と太陽熱を組み合わせたハイブリッドヒートポンプ暖房システムを手掛けるのは、今回が初めて。独立行政法人国際協力機構(JICA)の調査事業や、公益財団法人地球環境センター(GEC)の実証事業の採択を受けて、事業化に向けて準備を進めてきた。今年2月にモンゴル・ウランバートル市の小中学校で運用を開始し、今月、引き渡しを完了した。
ゼネラルヒートポンプ工業は、地中熱や地下水熱、温泉排湯、工場排熱など再生可能エネルギー熱を利用した産業用ヒートポンプを得意としている。日本国内で多数の実績を持つ地中熱ヒートポンプに、太陽熱を組み合わせることで、長期間にわたって安定かつ効率的に運用できるシステムを構築した。
モンゴルは、真冬に外気温度が氷点下30度にもなる寒冷地。石炭資源が豊富で、石炭を燃料に利用する場合が多い。石炭ボイラーによる暖房で、大気汚染問題が深刻化しており、代替としての暖房が求められているという。
地中熱と太陽熱のハイブリッドヒートポンプ暖房システムは、CO2の排出量を石炭ボイラーと比べて84%削減できる効果があることを、調査で確認した。大気汚染物質の発生量も、89%の排出削減効果があると試算している。
柴社長は「当初計画よりも時間がかかってしまったが、モンゴル国内でほかにも導入したい、との声をいただいている。学校や病院などで広がる可能性もある」と話す。運用の状況を見ながら今後、順次メンテナンスなどの体制も整えていく方針だ。
同社は、11月に名古屋市港区のポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)で開かれる異業種交流展示会「メッセナゴヤ2025」に出展。再エネ熱のヒートポンプや、遠隔監視システムなどをPRする。