メタンハイドレート海洋産出試験におけるROVのトラブル発生と対応について
JOGMEC(本部:東京都港区、理事長:河野博文)が、第二渥美海丘(渥美半島〜志摩半島の沖合)で実施しているメタンハイドレート海洋産出試験の事前掘削作業において、3月11日に遠隔操作無人探査機(ROV)のケーブルが、海底での作業中に切断するトラブルが発生しました。本ROVは、掘削井の坑口付近の作業を監視するために調達したものです。
本トラブルに関しては、人的被害が無いことが確認されました。現在、原因を調査中です。なお、事前掘削作業の継続にはROVが不可欠なこと、ROVの回収・復旧には時間を要するため、予定期間内での事前掘削作業の遂行が今後難しくなることなどを考慮して、JOGMECは急遽ROVを搭載しているJOGMEC所有の海洋資源調査船「白嶺」を作業海域に派遣することにしました。「白嶺」は3月13日頃には到着の見込みです。
第1回メタンハイドレート海洋産出試験(事前掘削)の概要
今回のメタンハイドレート海洋産出試験の作業期間は2年にわたり、2012年2月から3月にかけて、事前掘削として生産井やモニタリング井の坑井掘削を行い、2013年の1月から3月の期間内(予定)に、産出試験(フローテスト)を計画しています。
作業予定期間 |
2012年(平成24年)2月〜2013年(平成25年)8月頃 |
作業地点 |
第二渥美海丘 |
事業主 |
経済産業省 |
関係者 |
JOGMEC(実施主体)、JAPEX(オペレータ) |
使用船舶(事前掘削) |
地球深部探査船「ちきゅう」(来年度の使用船舶は未定) |
スケジュール(予定) |
2012年2月〜3月 事前掘削作業
2013年1月〜3月 産出試験(フローテスト)・廃坑
2013年8月頃 周辺設備等の機器撤収 |
今回の産出試験は、商業生産ではなく、調査段階の試験作業ですが、減圧法による海底面下のメタンハイドレートの生産状況や地層の変化の把握など、将来のメタンハイドレートの実用化に向けた貴重なデータが得られることから、メタンハイドレートの資源開発研究にとって、大きな前進となることが期待されます。試験の成果を活用して、今後の第2回の海洋産出試験の計画や、将来の商業生産に向けた技術基盤の整備(フェーズ3:2016〜2018年度を予定)を進めていく予定です。
船上からの遠隔操作で、テレビカメラによる海底観察やロボットアームによる試料採取を実施。
「白嶺」は、我が国周辺海域の海洋資源の探査・開発を推進するために建造された海洋資源調査船で、2010年7月、三菱重工業株式会社下関造船所で起工、2011年3月進水後、船内工事を経て完成しました。 総トン数6,283トン、全長118.3m、幅19.0mの調査船で、2種類の大型掘削装置や各種の最新調査機器を搭載しています。
「白嶺」は2月から沖縄海域等において掘削装置など大型調査機器を用いた海底鉱物資源の賦存量調査や海洋環境基礎調査等を実施しています。
- 主要寸法:全長 118.3m、幅 19.0m、深さ 9.2m、総トン数 6,283 トン
- 航海速力: 15.5 ノット
- 航続距離:約 9,000 海里
- 主要搭載機器:海底着座型ボーリングマシン、船上設置型ボーリングマシン、サイドスキャンソナー、ファインダー付きパワーグラブ(2種)、遠隔操作無人探査機(ROV)など
- 最大搭載人員: 70 人
この記事に関するお問い合わせ先
技術部メタンハイドレート開発課川本・長田
電話 043-276-4432
広報担当:総務部植松
電話 03-6758-8106