パッシブトリートメント(自然回帰型坑廃水浄化システム)の調査研究に関する論文が、環境資源工学会2024年度技術賞を受賞
JOGMECが実施したパッシブトリートメント(自然回帰型坑廃水浄化システム)の調査研究に関する論文が、2024年6月14日に開催された環境資源工学会第142回学術講演会にて、2024年度技術賞を受賞しました。
環境資源工学会 技術賞は、環境資源工学会誌および環境資源工学会が刊行した出版物に発表された著作物の中から、特に環境資源工学に関する技術の進歩に貢献したものに対して贈られる賞です。今回は、2018年度に続く2回目の受賞となります。
日本では、約100カ所の休廃止鉱山で、河川に坑廃水(注)が流出し、鉱害が発生することを防ぐため、坑廃水処理が行われています。休廃止鉱山における坑廃水処理においては多額の費用が投じられていますが、自然の浄化作用を最大限利用するパッシブトリートメントの適用により、これら費用の大幅な削減が期待されます。
パッシブトリートメントの実用化に向けては、国が定める「特定施設に係る鉱害防止事業の実施に関する基本方針」に基づく調査研究が進展しており、本論文の内容は、経済産業省による委託事業「令和3 年度産業保安等技術策定研究開発等(休廃止鉱山におけるグリーン・レメディエーション(元山回帰)の調査研究等事業)」にて得られた成果を取りまとめたものです。
2021年12月に同省にて導入ガイダンスが公開されていますが、今回の受賞は本ガイダンスを参考に各休廃止鉱山における坑廃水処理の既存データを活用しながらパッシブトリートメントの適用可能性を検討したほか、本処理手法を拡大させるための指針を示したことが評価されたものです。
JOGMEC は、鉱害防止対策を支援する唯一の政策実施機関として、今後も休廃止鉱山へのパッシブトリートメントの導入等の実用化に向けた調査研究を推進してまいります。
(注)坑廃水とは、休廃止鉱山から排出される、有害な金属を含む水のこと。雨水や地下水の影響で染み出した、金属を含む有害な水が河川に流出することを防ぐため、酸性度を下げたり金属を除去したりするなど適切な処理が行われています。
タイトル |
休廃止鉱山坑廃水処理へのパッシブトリートメントの適用可能性に関する検討 |
著者名 |
濱井 昂弥、堀内 健吾、古川 創 |
掲載年号 |
環境資源工学 第69巻、第2号、71〜79頁(2022年) |
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