- ユーザー側で波長が異なる放射温度計の比較校正が可能な放射率0.999の高放射率温度可変黒体炉を開発
IR-R20(CNT*黒体炉)
成果
- 温度範囲:50 °C 〜300 °C
- 高放射率:0.999 ± 0.001
- 広い波長範囲(1.55 μm-14 μm)で放射温度計の測定波長の違いによる校正不確かさを大幅に低減
- 空洞部:φ 40 mm × 140 mm
- 消耗品:CNT基板
*CNT:カーボンナノチューブ
従来モデルと比較して昇降温時間を65%削減、また、サイズ・質量ともに60%削減!
新技術導入により特徴ある製品を開発
企業の紹介
株式会社チノー 係長 及川 英明様
産総研のご支援により、社内技術の延長線上ではない、新たな技術を導入することができ、持ち運び可能なサイズでありながら測定波長の影響を受けにくい、高放射率な黒体炉を実現できました。
実績と波及効果
放射温度計やサーモグラフィーのメーカーである当社にとって、ベースとなる黒体炉や校正技術の向上は製品の性能向上に直結します。
また、標準を維持・管理する公的機関で採用頂きました。
今後、ユーザーが利用できる高放射率で汎用性の高い黒体炉として、エンドユーザーでのトレーサビリティの活用に期待します。
産総研の特許技術を活用し、製品化へ
産総研の声
産総研 物理計測標準研究部門 研究グループ長 清水祐公子
産総研の計量標準技術が社会・産業に直結した製品へとつながり、トレーサビリティ確保のための標準器として技術を確立することができました。
産総研 物理計測標準研究部門 首席研究員(支援当時)
現:物理計測標準研究部門 名誉リサーチャー 山田善郎
黒体とは光を吸収し反射しないものだということを自身の目で実感できる、今までにない素晴らしい製品が開発できたと自負しています。
開発課題と産総研の貢献
産総研の支援内容
開発課題
サーモグラフィなどの温度計機器の校正評価のために、可視から熱赤外域の広い波長範囲で使用可能な、高放射率でかつ安定な黒体炉が必要。
産総研の貢献(物理計測標準研究部門)
- 産総研では、広い波長範囲で0.98以上の放射率を持つカーボンナノチューブ(CNT)をグラファイト製の空洞に適用し、0.9998といった高放射率の国家標準黒体炉を開発し、トレーサビリティ体系に組み入れてきた。
- この特許技術を活かし、汎用性を高くした小型かつ高放射率な黒体炉の開発に貢献。
産総研との協業・提携について詳しく知りたい方へ
より詳細な説明を受けたい、またはご質問などがある方は、下記ご相談フォームよりご連絡ください。担当者より折り返しご連絡いたします。(ご相談内容により、お応え出来ない場合もございます。予めご了承ください。)