JOGMECの南アフリカ共和国白金族プロジェクトでプレ・フィージビリティ・スタディを発表
JOGMEC(本部:東京都港区、理事長:黒木啓介)が、南アフリカ共和国ブッシュフェルド地域北部でカナダのプラチナム・グループ・メタルズ社(PTM社)と共同で実施するウォーターバーグ白金族JVプロジェクトにおいて、プレ・フィージビリティ・スタディが発表され、ポジティブな評価を得ました。
JOGMEC は2011年にこの地域で初めて白金族鉱床を発見し、その後の探査を通じて1,107tの含有金属量(3PGE+Au. 2016年5月発表、うち、概測鉱物資源量743t、予測鉱物資源量364t)の存在を報告してきました。(※(注記)過去に実施のニュースリリース参照)。
その後に実施したボーリング調査結果を加えて資源量の再評価を行った結果、より精度の高いカテゴリーである概測鉱物資源量の白金族金属量(3PGE+Au)として743tから774tへと増加し、予測鉱物資源量の白金族金属量(3PGE+Au)として336tをそれぞれ把握し、白金族金属量の合計で1,110t(3PGE+Au)を把握しました。
この概測鉱物資源量を用いて実施されたプレ・フィージビリティ・スタディにおいて、本プロジェクトはポジティブな評価を得ました。 詳細は以下のとおりです。
・採掘計画から認定される推定鉱物埋蔵量の白金族金属量(3PGE+Au) 383t
年間の最大白金族金属生産量を23.1tと仮定した場合、
・鉱山寿命 19年
・初期設備投資(CAPEX) 1,060百万米ドル
・1オンス(31.1035g)当たりの鉱山操業コスト 389米ドル
・1オンス当たりの生産コスト481米ドル(ニッケルおよび銅の副産物クレジットを控除した場合)
金融機関の見積金属価格を用いた経済性評価として、
・税引後の現在正味価値(割引率8%) 507百万米ドル
・税引後の内部収益率(割引率8%) 16.3%
・投資の回収期間は9年。
特に、1オンス当たりの生産コストは、現在南アフリカ共和国ブッシュフェルド地域で生産されている白金族鉱山と比較して最も安価な生産コストであると見られています。
今後は入札を実施し、日本企業への権益の引き継ぎを目指します。JOGMEC は資源探査を通じて南部アフリカの新しい可能性を提案し、今後とも我が国企業が直接関与する金属鉱山開発の促進に貢献してまいります。
[参考]
表 ウォーターバーグ・プロジェクトの概測鉱物資源量および予測鉱物資源量(カットオフ品位2.5g/t(3PGE+Au))
資源量
カテゴリー
資源量(百万t)
品位
白金族 金属量
(t)
Pt
(g/t)
Pd
(g/t)
Au
(g/t)
Rh
(g/t)
3PGE+Au
(g/t)
Cu
(%)
Ni
(%)
概測鉱物資源量
218.265
1.06
2.18
0.26
0.04
3.55
0.08
0.15
774.045
予測鉱物資源量
97.212
1.03
2.10
0.30
0.03
3.46
0.06
0.11
335.969
白金族金属量(概測鉱物資源量ベース(3PGE+Au))
774.0t(カットオフ品位2.5g/t(3PGE+Au))
うち、プラチナ含有量:231.4t、パラジウム含有量:475.8t、ロジウム含有量:8.7t、金含有量 56.7t
白金族金属量(予測鉱物資源量ベース(3PGE+Au))
335.9t(カットオフ品位2.5g/t(3PGE+Au))
うち、プラチナ含有量:109.7t、パラジウム含有量:221.5t、ロジウム含有量:2.5t、金含有量 30.5t
白金族金属量(推定鉱物埋蔵量ベース(3PGE+Au))
383.1t(カットオフ品位2.5g/t(3PGE+Au))
うち、プラチナ含有量:114.2t、パラジウム含有量:235.5t、ロジウム含有量:3.7t、金含有量 29.6t
概測鉱物資源量(Indicated Mineral Resource)および予測鉱物資源量(Inferred Mineral Resource)の算出に際して、品位分布や連続性の予測精度が中程度の場合は概測に、低い場合は予測に分類される。
推定鉱物埋蔵量(Probable Mineral Reserve)とは、概測鉱物資源量から変換されるより精度の高いカテゴリーで、採鉱、選鉱、経済性、マーケティング、法制度、環境、社会、政策等の要素を検討したうえで変換される。
金融機関の見積金属価格(米ドル/オンス)
プラチナ 1,213米ドル/オンス、パラジウム 800米ドル/オンス、ロジウム 1,000米ドル/オンス、金 1,300米ドル/オンス、銅 2.90米ドル/ポンド、ニッケル 7.50米ドル/ポンド
プレ・フィージビリティ・スタディで用いられた為替レート
15 ランド/米ドル
ウォーターバーグ(Waterberg)地域
鉱区面積
1,118km2
概要
首都プレトリアの北北東約270kmに位置し、白金族金属を胚胎するブッシュフェルド岩体の北端に位置するが、地表は表土で覆われ、ブッシュフェルド岩体の露出がないことから、これまで積極的な調査が行われていなかった地域。アクセス至便、年中探鉱可能。
周辺の開発状況
・モガラクエナ鉱山(Mogalakwena):ウォーターバーグ地域の南70kmに位置する。アングロ・アメリカン・プラチナム社(Anglo American Platinum Limited、本社:南アフリカ)が露天鉱採掘で生産を行っており、金属量(埋蔵量および資源量ベース)の合計は265.9百万オンス(約8,270t、プラチナ、パラジウム、ロジウム、金の合計)。
・プラットリーフプロジェクト:ウォーターバーグ地域の南82kmに位置する。JOGMEC出資案件。本格的探鉱実施中
契約締結日
2015年5月22日
条件
ウォーターバーグ地域およびウォーターバーグ・エクステンション地域において、JOGMECは28.35%の権益を獲得することができ、3年間で2,000万米ドルの調査費用を拠出する。PTM社とMnombo Wethu Consultants CC社(HDSA(歴史的に不利益を被った南アフリカ人)関係で参加する南アフリカの地元資本の企業)の権益は、それぞれ45.65%、26%となる。調査結果が良好な場合には優先的に日本企業に引継ぐ条件が設定されている。共同探鉱の契約上、優先的に日本企業に引継ぐ条件が設定されており、日本企業の新たな権益確保につながるものと期待される。
プラチナム・グループ・メタルズ社(Platinum Group Metals Ltd.)
本社
カナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバー
設立
2000年
概要
白金族金属の鉱山開発を目的とし、カナダおよび南アフリカで探鉱・開発を実施している。南アフリカのヨハネスブルグに現地会社を有し、ブッシュフェルド地域西部Maseve鉱山は2016年2月から生産開始。本ウォーターバーグ地域プロジェクトのオペレータを務める。
この記事に関するお問い合わせ先
資源探査部 探査第2課椛島・山本
電話 03-6758-8398
総務部 広報課乾
電話 03-6758-8106