いすみ市岬町の椎木商店街。最寄駅で言うと、JR太東駅そばの商店街になります。
この椎木商店街の中ほどから1本通りを入ったところ、岬中学校の前に広場があります。
ここが、椎木朝市の会場。毎月「2」と「7」のつく日に市が立ちます。
椎木の朝市は、このあたりでは新しい市。
とはいっても、始まったのは延宝4年(1676年)。300年以上も続く伝統の朝市です。
椎木の市は、開設当初から周辺の大きな市である一の宮と長者町にはさまれ、運営がなかなか難しかったそうです。休みと再開を繰り返しながらも、椎木朝市は現在まで続いています。
その椎木朝市にお邪魔してきました。
私が訪れたのは10時頃。
今では市内の他の朝市と同様、出店は減少してきています。
この日の出店は3店舗。地元大原漁港の漁師さん、八百屋さん、そして一宮町東浪見から麹屋さんが来ていました。
お客さんは主に近所のおばあちゃんたち。椎木朝市のお客さんたちの楽しみは「お茶とおしゃべり」です。
私がお邪魔した時も、何人かのご近所さんたちが陽だまりの中井戸端会議中。
「ちょっとこっち座んなよ〜!」、「お茶やっていきな。」、「ほれ、このお漬物はこの人が作ったんだよ。食べてごらんよ。」と、初めて来た私を親戚のおばちゃんみたいなあったかさで迎えてくれました。
朝市は朝8時ごろから昼12時ごろまで。その間、ご近所の方々が入れ代わり立ち代わりやってきます。顔なじみは、「たまり場」へ。
大きなドラム缶と瓶のケースを裏返したイス。ドラム缶テーブルの上には手作りのお漬物をはじめ、みんなで持ち寄ったお菓子。テーブルのそばには一斗缶のたき火。八百屋のおばちゃんいわく「火でもたいときゃ皆寄るでしょ。あったまってもらっておしゃべりできればねぇ」。
ここには「おもてなしの心」が息づいています。ほのぼのした雰囲気の中、お客さんも出店の方たちもおしゃべりを楽しんでいます。
[画像:会話を楽しむ]ここは私が訪れた他の朝市とは少し違った雰囲気。
ここのおばちゃんたちはとにかくよくしゃべるし明るい!麹屋さんと八百屋さんの掛け合いは絶妙です。
「朝市始めたころは『あんたお嬢さんみたいだねぇ』なんて言われたけど、今はおばあさんにしか見えないねぇ」、「あら、あの人今日は彼氏と来たよ!」、「こないだの彼氏と違うねぇ。(彼氏、軽トラにもみじマークだそうです)」とか、「この人はねぇ、いつも自転車うんだらかして(一所懸命こいで)来てくれるんだよ。」とか。
とにかくノンストップのマシンガントークが続きます。
訪れる人みんなに挨拶し、隙あらば話しかけ、お茶を振る舞い、おしゃべりが始まる。ここは朝市という名の社交場です。
その中で話しかけたあるおばあちゃんは「スーパーは普通のもんがあるけど、朝市はここにしかないもんがあるからねぇ。あては農家だからさ、ここは農家むけのもんが沢山あんだよ。」とのこと。
糀屋さんの糀や味噌、ふきのとうなどの山菜、その場でさばいてくれる新鮮なお魚はもちろん、お魚屋さんの作るおかず。時期になるとお野菜の苗。確かに「ここにしかないもの」があります。
2回行っただけですっかり顔を覚えてもらったので、次に行くときは差し入れでも持って遊びに行こうかなと考えています。
そんな風に「また行きたいな」と思わせるあったかさが、椎木の朝市にはあります。
【開催日】
毎月2と7の付く日(午前8時ごろ〜昼12時頃)
【場所】
いすみ市岬町椎木1808(椎木商店街「栄寿司」裏手付近、岬中学校向かい)
JR外房線太東駅より徒歩5分