未来をつくる

CHALLENGE


SPIRIT TO THE FUTURE
EPISODE 05
新TODAビルにおけるZEB実現への挑戦

01ZEB実現のハードルの高さを痛感

一般的に超高層建物は、建物形状から熱や空気を搬送するポンプやファンの経路が過大になり、搬送動力が大きくなることから、ZEBに適合させることが困難と言われています。
また、テナントを誘致する為に余裕を持った設備容量を設定する傾向にある点や高効率機器を導入するためにコストが増加するなど、事業性や利便性の観点からも不向きとされております。

02徹底した省エネ設計の追及

新TODAビルではZEB Readyを達成するため、建物形状・設備・機器等を隅々まで見逃すことなく、徹底した省エネ化を図りました。設備システムにおいては機器容量や制御、仕様条件等によって、膨大な組合せが生じます。その組合せのすべてにおいて一つ一つ省エネルギー計算を行い、最適解を模索しました。
また、経験上、省エネに効果があると思っていたものが、計算結果では思ったほど効果が出ないこともあり、そういった項目についても課題を解消すべく見直しを図っていきました。
その中には、1000回にも及ぶ計算・検証を行ったシステムもありました。
通常の設備設計業務を行いながら上記のような膨大な検証をするための時間確保は非常に苦労しましたが、実証実験等のエビデンスやノウハウ、最新鋭の技術を駆使し、検討の効率化を図りそれらを解消しました。
実証実験に基づく最適な外装計画・空調容量の低減化
新TODAビルへ導入するシステムや ZEB化対応技術等の検証を行うため、環境実証棟を建設し実験を行いました。 実証実験では、南面の外装仕様をダブルスキン、コンパクトダブルスキン、バルコニー + ルーバーの3種類を実装し、室内に対する熱負荷の軽減等への効果を比較検証を行いました。
その結果コンパクトダブルスキンが日射遮蔽、熱貫流において効果が一番高いことが検証されました。
ここで得られた知見を、さらに空調機の容量を決定するための熱負荷計算に反映させることで、過剰な容量を抑制し、最適な空調容量を実現しました。
写真:環境実証棟
BIMを活用した配管・ダクトルートの最適化
超高層建築物の省エネ効果に大きく影響する項目として、配管・ダクトの搬送経路が挙げられます。
新TODAビルの計画では設計当初からBIMによって諸室の配置検討やガラリの設置位置、デザインへの影響等の詳細検証を行うことで、搬送経路の最適化を図りました。
その結果、ファン・ポンプの搬送動力を大きく削減した無駄のない搬送経路を実現し、省エネに大きく貢献しました。
気流シミュレーションを活用した空調・換気の最適化
ロビーなどの大空間は天井高が高いため、空調効率が悪く、省エネとの両立が非常に難しいエリアでした。その為、気流シミュレーションを効果的に活用し、空間の快適性と空調能力とのバランスについて事細かに検証を行いました。その結果、快適性を損なうことなく省エネ性に配慮した空調システムの実現を可能にしました。
共通ロビーパース(左図上図)と気流解析(右図下図)

03困難を乗り越え、建物全体でのZEB Ready取得を達成

上記の様々な取組みにより、日本で初めて、新TODAビルは、超高層複合用途ビル(注記)1として、建物全体で「ZEB Ready」認証を取得しました。
(注記)1. 建物高さ150m以上の複合用途ビル

コラム

ZEBとは?
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支を「ネット・ゼロ(正味ゼロ)」にすることを目指した建物のことです。エネルギーの収支は消費するエネルギーを減らす省エネと、エネルギーを創る創エネとを合計して算出され、様々な技術を駆使した両面的なアプローチにより、ZEBの達成が実現します。
またZEBのランクは、エネルギーの収支の値により、下図のように設定されています。
(注記)1. A用途は事務所・学校・工場等の用途を示します。
(注記)2. B用途はホテル・病院・百貨店・飲食店・集会場等の用途を示します。
(注記)3. WEBPRO未評価技術のことを指します。 詳しくは一般社団法人環境共創イニシアチブHPをご参照ください。
なぜ、ZEBを目指すのか?
環境省、経済産業省、国土交通省は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方をとりまとめたロードマップを展開しています。ロードマップにある新築建築物においては2021年から順次、省エネ適合義務の基準強化を予定しており、2030年には中・大規模建築物においてZEBの義務化を予定しています。2030年以降には太陽光発電設備の設置義務化を検討しており、カーボンニュートラルの実現に向けて建築物のZEB化が急速に進んでいくことが予想されます。
脱炭素に向けた日本の
ロードマップ
2021年〜 新築建築物
省エネ基準強化
2030年 新築建築物(注記)1
ZEB義務化
(注記)1. 中・大規模建築のみ
2050年 全ての建築物
カーボンニュートラル
の実現

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /