テレビドラマ『スペツィー』(Спецы)(2018.04)

ユジノサハリンスクに滞在していて住まいに在る時、備え付けられているテレビでドラマを視ることが頻繁に在ります。

色々とロシアの放送局のチャンネルが在る中、最近は「(自身でテレビを視る時間帯の中では)新旧のテレビドラマを放映している時間が長い感じ」なチャンネルを選んでいることが多いように思います。

数多いチャンネルの中、ミュージックビデオを色々と放映しているモノを好んだ時期も在ったのですが、何時の間にか「ロシアの"刑事モノ"が面白い!!」と思うようになりました。

日本国内では、テレビドラマ関係では「アメリカの"刑事モノ"」という範囲になる作品は多く紹介されていると思います。小説になると、北欧諸国やドイツ辺りのモノも見受けられます。が、「ロシアの"刑事モノ"」となると、小説で極々少数のモノが在ったと記憶しますが、テレビドラマとなれば殆ど紹介されていないように思います。

「ロシアの"刑事モノ"」と言っても、劇中人物が「ロシア国内の何処か」に居て、事件の発生と解決、そして主要な人物達の周辺が描かれているというような感じで、「アメリカの"刑事モノ"」等と然程変わりません。或いは「画の創り方」や「雰囲気」に関して、寧ろ「積極的にアメリカ作品的なモノを採り入れている」とさえ感じられます。決定的な違いは、劇中人物を演じている俳優陣がロシア語圏の人達で、作品の設定に「ロシアの警察等の仕組みや捜査員の所作等」が反映されているということでしょう。更に、「アメリカの"刑事モノ"」では、例えば「サンフランシスコ市警」、「シカゴ市警」、「ニューヨーク市警」と舞台になっている街を特定していたり、「FBI」のような実在する機関が登場しています。ロシアでは、場所が曖昧になっていたり―撮影地周辺に縁が深い方が視れば、「あそこだ!」と判るというのは在るでしょうが。―、捜査員等の主要人物達が所属しているのが架空の機関であることが多いように見受けられます。

ドラマの「組立」に関しては、「完全な一話完結」というスタイルのモノが見受けられる他方、「主要人物の周辺のことが"連続モノ"的に描かれるのと同時に、一話完結または二話完結で事件とその顛末」というスタイルのモノが見受けられます。

比較的新しい作品では「主要人物の周辺のことが"連続モノ"的に描かれるのと同時に、一話完結または二話完結で事件とその顛末」というスタイルが多いように見受けられますが、或いはこういう「組立」が「アメリカの"刑事モノ"」等の要素を「積極的に採り入れている」と思わせます。

「完全な一話完結」というスタイルのモノで、かなり以前から現在に至るまで制作が続いている作品に関しては、新旧の様々な作品がドンドン放映されています。こういう例で多くの作品を視ると、同じ役を長く演じ続けている方の風貌が少し変わっている様子が視られて、少し苦笑いが漏れる場合も在ります。

他方、「主要人物の周辺のことが"連続モノ"的に描かれるのと同時に、一話完結または二話完結で事件とその顛末」というスタイルの場合、放映の様子が少し独特に思える場合も在ります。45分間程度の内容が"1話"で、それが「月曜日に2話、火曜日に2話、水曜日に2話、木曜日に2話で各々に放映。翌週も月曜日から木曜日で同様に放映」という方式が見受けられるのです。更に休日等に「一挙放映!!」という感じで、延々と当該作品が流れているようなことも在ります。これは「しろまる曜日X時」の放映で、3ヶ月間程度を目安に10話で構成するような例が多く見受けられる、日本国内のテレビドラマの感じとは少し違います。

後者の方式の場合、偶々最初の方を視て「面白い!」となれば、「楽しみな続き」をドンドン視られます。そういうことで、幾つかの作品を愉しんだ経過が在ります。

最近、「新作!」としてかなり熱心に宣伝をしているドラマが在りました。

↓ドラマが放映されるチャンネルで盛んに流れていた予告編です。
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↑「更なる謎」というキャッチフレーズで「初登場」ということを強調しています。

↓別なバージョンの予告編も在りました。
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↑こちらは「更なる情熱」というキャッチフレーズです。

こうした予告編が2ヶ月近くも見受けられたのでしたが、4月9日から放映が始まりました。「月曜日から木曜日まで、連日のように2話ずつ放映」という方式です。月曜日の第1話を視て面白かったので、「連日のように視る」のが「休む前の一寸したお楽しみ」になってしまいました。

タイトルの『スペツィー』(Спецы)ですが、これは「専門家」というようなことで使用されるのですが、この場合は「専門官」という程度が好さそうです。主人公はこの「専門官」です。

或る街の警察本部に、日本の流儀で言えば"鑑識班"というようなことになる「犯罪学グループ」を任されることになったアンドレイ・マカロフ専門官が配置されます。そして配置早々に事件が発生します。現場にやって来た捜査班のリーダーは女性の刑事で、ボグダーナ・コワリスカヤ捜査官です。

ドラマそのものは、冒頭に少しショッキングな型で女性が「転落死?」する場面から始まり、現場でアンドレイ・マカロフ専門官とボグダーナ・コワリスカヤ捜査官等の捜査現場の関係者が出会うという状況から幕開けです。

『スペツィー』(Спецы)では、発生した事件の顛末に関しては概ね"二話完結"です。が、アンドレイ・マカロフ専門官やボグダーナ・コワリスカヤ捜査官等の劇中人物達の周辺事情は"連続"です。ほんの少しの「ネタばれ」を御容赦願いますが、アンドレイ・マカロフ専門官は死亡した妻に関する未解決事件の謎を個人的に執念深く追っており、ボグダーナ・コワリスカヤ捜査官は小学校高学年位な年恰好の娘を抱えるシングルマザーである他方で妻の在る男性と交際中という事情が在ります。発生した事件と、そういう個人の周辺事情が並行して動いています。

こんなドラマなのですが、少し驚くことが在ります。テレビ放映終了の何日か後、ドラマの本編がYouTubeに配信されているのです。

↓例えばこれが第1話です。
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「ロシア国内で放映されているまま」な状態ですが、ここまで御覧頂いて興味を覚えられた方には少し御覧頂きたいと思います。劇中人物達がロシア語を話し、車輛や看板や他のロシアを思わせるモノが出て来ます。が、例えばこれが"日本語吹き替え"になって、日本国内でテレビ放映でもされれば、「アメリカの"刑事モノ"」と余り違いが無いように思います。

非常に強く思ったのは、ロシアのテレビドラマも、日本を含む多くの国でもっと広く紹介されたとして、恐らく「一定程度受容れられ、ファン層が形成されて行くであろう」ということです。

実は「本編がYouTubeに、テレビ放映のほんの少し後に出ている?」ので驚いたということも在ったのですが、「(日本国内では)然程知られていないかもしれない」と思い。ここで一寸取り上げてみました。

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