相続手続き

相続のお悩み事例

ご相談者|男性(82歳)

相続人の認知機能が低下していたら、相続にどんな影響がありますか?

相談内容

妻の認知機能が低下しています。私に万一の事が起きた時に備え、どんなことに注意したらよいですか?

「私が万一の時には、妻の生活のことも考えたいのですが、最近妻の認知機能の低下が見られることから、どんなことに注意したらよいですか?」
私の家は、子どもが2人います。そのうち長女と同居しており、長男は仕事の関係で遠方におります。万一の時は、同居の長女に妻の面倒を見てもらうことにしています。
そのため、財産配分は、長女にこの家を相続させ、妻の面倒を見てもらうために金融資産の一部、残りの金融資産を長男にと考えています。妻にはあまり財産は遺さなくても良いかと考えています。
何か、問題はありますでしょうか。

[登場人物]

ご相談者:男性(夫・82歳)
妻:認知機能の低下
長女:同居中
長男:遠方に居住

登場人物の家系図 登場人物の家系図

解決の手引き

ポイントを解説

  • 配偶者の認知機能が低下している場合、相続で利害関係のない成年後見人等の選任が必要になります。
    成年後見人等の役割は、認知機能が低下した方の財産等を保護することです。
  • 遺言の活用により原則自由に分配が可能(遺留分を侵害する場合は留意が必要となります)です。

認知機能の低下と成年後見人等の選任

ご主人が他界された場合に、配偶者さまの認知機能低下が進んでいるとその後の生活のことも含め非常に心配なことと思います。相続における財産配分の観点から考えますと、もし認知機能の低下がかなり進んでいた場合、配偶者さまの成年後見人等(法定代理人)を選任して相続手続きを進める必要があります。

この際に、ご注意いただく点として、遺産分割協議に関しては長女の方は後見人として手続きができません。理由は、長女の方が配偶者さまと同じ立場の相続人であり、財産を受け取る立場のため、配偶者さまとの間に利害関係が生じることになるからです。そのためこのようなケースでは配偶者さまの権利を守るために特別代理人(法定代理人)を利害関係者以外の方にお願いし、手続きをすることになります。

遺言の活用

ただ、本件のような場合は、遺言を活用することで原則自由に配分が可能となります。ただし、妻の遺留分を侵害している場合は、成年後見人等から遺留分侵害額請求を受ける可能性があるので、留意が必要です。ご不明な点がございましたら、お気軽に三菱UFJ信託銀行へご相談ください。

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