大規模災害発生時には、庁内の消防防災・危機管理センターに災害対策本部を設置し、災害情報集約を行い、緊急消防援助隊の統括本部として消火・救助活動を指示し、関係機関との連携により随時、災害現場に必要な資機材を投入します。また、長官の指示等により出動する緊急消防援助隊のオペレーションを行います。高度化された複数の情報収集ルートによって、正確な被災状況を把握し、様々なシステムで情報分析機能を駆使し、迅速的確な対応を行います。また、全国の震度計の情報を収集し、全国の消防本部と共有するシステムや、消防防災ヘリコプターの運航情報を消防庁と消防防災関係機関が共有できるシステムなどを導入しています。
国際消防救助隊は、国外で大規模な災害が発生した際に、先進の救助、医療、応急、復旧などの技術で、救助活動や支援活動を行っています。消防庁では、より効果的な国際緊急援助体制の構築、充実に取り組んでいます。また、地域の人々による地域の安心・安全を確保する「地域安心安全ステーション事業」に取り組むなど、災害に強い安全なまちづくりに取り組んでいます。大規模事故や生物化学テロなど特殊な救助事象にも対応できるよう、消防庁では、専門的でより高度な知識と技術教育を受けた隊員で構成し、高度な救助用資機材を備える「高度救助隊」を中核市規模の消防本部に、さらに特殊災害対応自動車などを備える「特別高度救助隊」を東京消防庁及び政令市消防本部に、それぞれ整備することとしています。
大規模地震により想定される死者数 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震約3千人、首都直下型地震約1万1千人、東海地震約1万8千人、東南海・南海地震約9千人 東海地震・東南海・南海地震は、同時発生の恐れあり
消防は全国726本部、職員約16万人、団員約83万人を擁し、市町村により運営されています。消防庁は、消防職員の技能向上と最新の消防資機材の適所配置に加えて、消防職員が安全かつ能率的に業務を遂行できるように環境整備を進めています。また、平成18年6月に成立した改正消防組織法に基づき、市町村の消防の広域化を進め、消防力の強化を図ることとしています。
また、地域の消防力の貴重な担い手である消防団員は、自営業者の減少とサラリーマンの増加など雇用形態の変化等もあって減少傾向が続いています。このため消防庁では、消防団の重要性を国民の皆様に改めて知っていただくための広報活動に努めるとともに、多くの方々が消防団活動に参加しやすい環境を整備するために、全ての消防団活動ではなく、特定の役割や活動に限って活躍していただく「機能別団員・機能別分団」制度を導入しました。また、消防団の活動に協力的な事業所を地域に貢献する存在として認定することで、消防団活動の活性化、ひいては地域防災力の向上につなげることを目的とした「消防団協力事業所表示制度」などを推進することで消防団の充実強化を図っています。
救急出動件数は今後も増える傾向にあります。通報から病院に着くまでの応急処置が、重度傷病者の命の明暗を分けるといっても過言ではありません。消防庁は、「救命の連鎖」(通報から応急処置・搬送そして医療機関へという一連の救急活動)を、迅速かつ円滑に行うための体制づくりを推進するため、医療機関との連携や、救急救命士を含む救急隊員の応急処置の技能向上など、救急業務の高度化を図り、体制の確立を目指しています。さらに、多くの命が救われるよう、重度傷病者の搬送中に、高度な救急救命処置を施すことができる救急救命士の処置範囲の拡大を推進しています。
■しかく救急出動件数と救急隊数の推移
救急隊数と出動件数の推移 救急隊数平成7年4387隊、平成8年4416隊、平成9年4483隊、平成10年4515隊、平成11年4553隊、平成12年4582隊、平成13年4563隊、平成14年4596隊、平成15年4649隊、平成16年4711隊、平成17年4751隊 出動件数平成7年328万件、平成8年337万件、平成9年348万件、平成10年370万件、平成11年393万件、平成12年418万件、平成13年440万件、平成14年456万件、平成15年483万件、平成16年503万件、平成17年528万件
急増する住宅火災死者数の減少を目指し、住宅防火対策の推進が必要です。平成16年の消防法改正により義務化されることとなった住宅用火災警報器の普及促進など、今後も安全で安心な暮らしの実現のための対策を推進していきます。近年、我が国を代表する企業の産業施設において、火災や爆発事故などの重大災害が多発しています。大量の危険物等を取り扱う大規模な企業の火災は、多大な社会的影響を起こします。消防庁は、産業事故災害防止を図るための法制度の整備等の対策を進めています。
武力攻撃や大規模テロ等が発生した場合には、国と地方公共団体は、国民保護法に基づいて、総力を挙げて避難や災害への対処など、国民を保護するための措置を講じなければなりません。消防庁は、都道府県の区域を越えるような避難勧告、消防に関する応援等の指示、地方公共団体との連絡調整を担当します。また、消防庁では、地震等の災害情報を、人工衛星及び地上回線と市町村の防災無線等を通じて国民の皆さんに瞬時に知らせる全国瞬時警報システム(J−ALERT)や、安否情報システムの整備を推進するとともに、地方公共団体による訓練や国民保護に関する普及啓発を支援し、国民保護体制の充実に努めています。
総務省(消防庁)の担当する事務 1.警報の通知および避難措置の指示の通知 2.都道府県の区域を超える非難における勧告 3.安否情報の収集および提供 4.被災情報の収集および提供 5.職員の派遣のあっせん 6.地方公共団体との各種連絡調整