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地域課題の解決・価値創造を実現するソリューション

基本的な考え方

NTT東日本グループは設立以来、光ブロードバンドサービスの提供・拡大を通じて、地域の人口減少・少子高齢化・地域経済の衰退に代表される課題の解決に努めてきました。光ブロードバンドサービスの世帯カバー率が99%を超えた今、当社グループは通信事業者という枠を超えた地域の未来を支えるソーシャルイノベーション企業への転換を図り、地域課題の解決と価値創造の実現に取り組んでいます。

KPI・目標と実績

KPI 対象範囲 2024年度目標 実績
2023年度 2024年度
顧客エンゲージメント率 NTT東日本 SMB(注記)1層のNPS(注記)2:
-22.9以上
顧客内NPI(注記)3:
80.5%以上
SMB層のNPS:
-22.9
顧客内NPI:
80.5%
SMB層のNPS:
-33.3
顧客内NPI:
74.8%
  • (注記)1SMB:Small and Medium Business の略で、中堅中小企業のこと。
  • (注記)2NPS:ネット・プロモーター・スコアの略で、顧客ロイヤルティ(商品やサービスに対する信頼・愛着)を測る指標。
  • (注記)3顧客内NPI:User Next Purchase Intention の略で、顧客が次もそのサービスを購入したいかを測る指標。

推進体制

NTT東日本グループでは、地域課題の解決および価値創造を全社一体となって行っていくために、各種取り組みを行っています。

それら取り組みをさらに加速するために、2023年には「地域循環型ミライ研究所」、2025年には「NTT東日本 防災研究所」を新たに設立しました。「地域循環型ミライ研究所」は、地域の未来を支える人々と手を取り合い、地域資源の調査・研究を通じて、地域の魅力を再発見し、地域政策をともに検討・立案するだけではなく、地域社会へ実装されるまで向き合い続けます。一方、「NTT東日本 防災研究所」は、深刻化する地域の防災という地域が直面しているもう一つの課題に対して、自治体の災害対応を総合的に支援する仕組みを構築することを目的に、地域防災モデルの研究や地域実装に取り組んでいます。

地域の未来を支える価値創造パートナーをめざして、地域とのリレーションを活かし、地域の魅力や人を"つなぐ"という新たな使命にチャレンジしていきます。

安心安全な地域社会を支えるインフラ設備のメンテナンス技術の開発

スマートメンテナンス技術の研究開発

NTT東日本は、全国のお客さまにくまなくサービスを提供するため、電柱約565万本、電話線と光ケーブル約133万kmを設置しています。お客さまに安心してご利用いただける品質の高い通信サービスを提供するため、これらのインフラ設備を効率的かつ正確に点検を行うスマートメンテナンスに取り組んでいます。

以前はスキルを有する社員が目視で電柱を確認していたため、多くの手間を要していました。

そこで、高精細カメラや3Dレーザスキャナを搭載したスマートメンテナンスカーを走行させ、設備データを取得、集約センタにて設備のデータ分析・劣化診断を一元的に実施するように抜本的な改革を行い、さらにAIを活用することで点検の効率化と品質の均一化を実現しました。

スマートメンテナンスカーは、自社設備の他に、道路周辺のあらゆる構造物の情報の取得を可能にします。取得した画像データによる他社インフラ設備、路面や街路灯、標識などといった道路構造物の点検や、3Dレーザスキャナによる点群データを活用した地図整備・道路工事の際に実施する測量への適用等、さまざまな場面で地域の皆様と連携して取り組んでいます。

これからもNTT東日本は、安心して住み続けられる街づくりをめざして、自社設備のみならず他社インフラ設備も含めたトータルメンテナンスが実現できるよう、地域の皆さまと連携して取り組んでいきます。

電柱点検で使用するMMS車両イメージ

N電柱の傾き・たわみ測定車

4K画像撮影車

3Dレーザスキャナで取得した点群データ例(ピンク色箇所:電柱抽出(NTT持株技術)

3Dレーザスキャナで取得した点群データ例(鳥瞰図、カラー処理版)

「スマート陸上養殖」での地域循環型社会の実現

水産業を取り巻く現状・社会課題

昨今、地球温暖化による海水温上昇等の海洋環境の変化、魚介類の世界的需要の増加などの要因により、生産拡大余地のある漁場資源の割合は7%程度(注記)1とされており、水産資源の枯渇が危ぶまれています。

また、世界的需要の増加に伴い、水産物市場における購買競争の中で魚価は高騰し、燃料費や輸送費の高騰なども相まって、国際的にも日本の購買力は弱まってきています。国内における水産物の安定供給や安定した価格による消費者への提供は、喫緊の課題となっており、安定した水産物の供給を実現するには、天然水産資源のみに頼らず、養殖による国内生産によって国内自給率を高めていくことが不可欠です。

  • (注記)1引用元:令和4年度 水産白書 第4章 水産業をめぐる国際情勢

水産業のサステナビリティ確保に向けた取り組み

1.完全閉鎖循環型陸上養殖

NTT東日本グループでは、沿岸部や山間部等の立地を問わず、飼育水の排水による環境汚染の影響が少なく、また寄生虫・病気の発生・混入リスクが最小であることによる安全・安心な養殖環境の構築が可能な「完全閉鎖循環型」の陸上養殖の産業化を志向しています。

飼育環境コントロールが可能な「完全閉鎖循環型」の陸上養殖を日本各地へ普及・展開することで、魚介類の安定供給の実現をめざします。

2.データ駆動型の陸上養殖プラント

NTT東日本グループとして開発するデータマネジメントツールを活用した、日々のプラント環境データの自動取得・一元管理(見える化)、最適な養殖環境維持に向けた自動制御、専門家からのリアルタイムな遠隔飼育指導を受けることが可能な、データ駆動型スマート陸上養殖プラントをご提供することにより、養殖の知識・経験がない方でも日々のプラントの運用を安定的に行える体制の構築をサポートします。

陸上養殖産業化に向けた取り組み:タマカイ養殖プロジェクト

2022年12月より、地域漁業の活性化を見据え、漁業経営の安定と向上をめざす宮崎県都農町様と連携したタマカイ養殖プロジェクトを組成しています。

都農町様との本プロジェクト(「都農町水産業夢未来プロジェクト」)では、完全閉鎖循環式陸上養殖でのタマカイ養殖の実証実験を行い、2024年2月完全閉鎖循環式陸上養殖でのタマカイの養殖に成功しました。

2024年10月には、ふるさと納税返礼品の受付を開始しており、今後はこの成果を土台に、都農町様とともに地域に根差した持続可能な新たな水産業として事業拡大に取り組んでいく予定です。

今後の展望

NTT東日本グループは、地域の課題・特性に合わせ、養殖経験のない方でも安定生産可能な完全閉鎖循環型陸上養殖の産業化を通じて、水産資源の安定供給の実現をめざします。この仕組みをきっかけとしながら、地産地消の推進(地域経済循環の促進やフードマイレージ削減による脱炭素への貢献)や、新たな産業創出(廃校等の地域アセット活用や再生可能エネルギーを活用した6次産業化等)に取り組むことで、日本各地で持続可能な地域循環型社会の実現めざします。

地域連携による資源循環モデル実証と食育の推進

脱炭素社会の実現に向け、エネルギーの地産地消や、地域内資源の有効活用などの取り組みが必要性を増しています。また、食を取り巻く環境においては、食品ロスの増加や、食品残さの処理コストの削減および有効利用が課題となっています。これらの課題の解決を見据えた取り組みの一環として、環境への配慮や食に関する理解の重要性をともに学べる「食育」の推進が求められています。

学校給食における「デジタル化に対応した食育」の推進

2021年6月、調布市にて、市や市内の企業・大学等、産学官民が共同でスマートシティの実現をめざす「調布スマートシティ協議会」を設立されました。

同協議会は「都市型資源循環モデル」の実証実験として、「超小型バイオガスプラント」による給食調理残菜を活かした再生可能エネルギーおよび液体肥料の生産や、「ローカル5G実証ハウス」による最先端技術を活用したトマト栽培を進めており、NTT東日本とNTTアグリテクノロジーも参画しています。

活動の一環として、調布市立学校にて市内農産物を活用した給食の提供を通じて地産地消を進める「S&A(スクール&アグリカルチャー)」に取り組んでおり、循環型社会についての生徒の理解深化を視野に、ハウス内の栽培動画をタブレット等で視聴して新しい農業技術を学ぶ「デジタル化に対応した食育」、収穫された新鮮なトマトの給食への提供、実際の実証環境を見学する校外学習を実施しています。NTT東日本はこれらの学習環境の提供を通じて、先端技術や地産地消の大切さを学ぶ場を創出していきます。

文化芸術のデジタル化と活用を通じた地域活性化の実現

災害や経年劣化による文化財の消失等のリスク、文化伝承の担い手不足などの要因により、有形無形を問わず地域の文化芸術を守るニーズが高まっています。また、先進技術を活用した新たな芸術鑑賞の楽しみ方も拡がっています。

高精細なデジタル化による保存・継承と鑑賞体験の拡大

NTT東日本は、2020年に「株式会社NTT ArtTechnology」 を設立し、ICTを活用した文化芸術の保存や新しい鑑賞方法の開発を通じた社会貢献を推進しています。絵画や工芸品などの有形文化財については、協業パートナーのアルステクネが有する三次元質感画像処理技術(DTIP)の活用により、高精細なデジタルデータ(所蔵元認定)として保管しています。また、8Kカメラなど活用した無形文化財のデジタル化にも取り組みます。これらのデジタル化した文化財データをAR・VR・サイネージ・3D・プロジェクションマッピングなどの先進技術を活用し、これまで文化芸術の鑑賞が難しかった場所での鑑賞や新しい鑑賞体験を実現します。地域の価値ある文化や芸術の発信を通して、地域と地域、地域と世界をつなぐことで、地域の活性化に貢献していきます。

文化芸術のデジタル化の取り組み事例

高精細3Dデータ(左:カラーテクスチャあり・右:カラーテクスチャなし)

3Dプリントデータ

3Dプリントによるレプリカ作成レクチャー
協力:株式会社ケイズデザインラボ

三陸地方では東日本大震災で博物館資料をはじめとする多数の文化財が失われた経験から、郷土の文化財の確実な保全と活用に課題を感じていました。そこで、岩手県立博物館が中心となり、6施設が連携し、各地の博物館に散在する、東日本大震災被災地の自然及び文化の豊かさを象徴し、特徴づける資料群の情報を一元的に管理・発信可能とする「三陸希望遺産デジタル・アーカイブ構築プロジェクト」がはじまりました。

株式会社NTT ArtTechnologyは各施設が所蔵する化石等地質標本の3Dデジタルデータ化、およびレプリカの製作を担当しました。

  1. (1)化石等地質標本の3Dデジタル化
    6館の施設が所蔵する化石等の地質標本、計178点をフォトグラメトリ手法により3Dデジタルデータ化しました。対象となる標本は、最大1辺あたり500〜600?o、最小10?oとサイズの幅が大きかったため、深度合成撮影など様々な技術を使い、各サイズや素材に対応した3Dデータを作成しました。
  2. (2)デジタルアーカイブ活動の自走支援
    2023年4月に施工された「博物館法の一部を改正する法律」において努力義務化された「他の博物館との連携、地域の多様な主体との連携・協力による文化観光など地域の活力の向上へ寄与」を背景として、「三陸希望遺産デジタルアーカイブ構築プロジェクト」では、各施設においてデジタルデータを自ら積極的に活用できるように、レクチャープログラムを実施しました。株式会社NTT ArtTechnologyは同プロジェクト構成機関の職員の皆さまを対象に、フォトグラメトリ手法による化石等地質標本の撮影〜閲覧用の3Dデータ作成〜データを使ったレプリカ造形製作の一連のプロセスをご説明いたしました。今後の活用用途の拡大が期待されます。
  3. (3)デジタルアーカイブの公開
    株式会社NTT ArtTechnologyが納品したデータを含め、本プロジェクトの成果は「三陸希望遺産デジタルアーカイブ」WEBサイトで広く公開されています。
    また株式会社NTT ArtTechnologyが運営するNTT東日本の文化施設「NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]」では岩手県立博物館所蔵「大型アンモナイト」を展示しています。フルカラーの3Dデータは3Dビューワーで自由に操作し、様々な角度から立体的に鑑賞することができます。また単色とフルカラーの2種類の3Dプリント造形によるアンモナイト化石のレプリカを展示しており、単色のレプリカは自由に手にとってご鑑賞いただけます。
  • (注記)NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]の場所・開館日についてはHPをご確認ください。
    https://www.ntticc.or.jp/

その他の取り組み

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