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事業概要

JCO事故関連

九州電力では、JCO事故を教訓に、原子力発電所の一層の安全運転に努めます。

9月30日、ジェー・シー・オー東海事業所(JCO:ウラン再転換工場)で臨界事故が起きました。当社では、今回の事故は、同じ原子力に携わるものとして、大変残念かつ、重大な事態と受け止め、早速社内に「JCO事故対策本部」を設置しました。
10月1日には、現地に社員を18名派遣するとともに資機材を提供するなど、支援活動を行いました。
当社では今後とも、事故調査状況の把握に努めるとともに、国からの指示などに適切に対応いたします。
また、原子力発電所の安全運転に全力を注ぎ、皆さま方の信頼回復に努めて参りたいと思います。

1.事故は再転換工場で高速実験炉用の燃料を作る時に起きました

JCOウラン再転換工場では、次の2つの作業が行われています。

  1. 原子力発電所(軽水炉)の燃料を作るため、気体の「六ふっ化ウラン」を粉末の「ウラン酸化物」にする。
  2. 高速実験炉「常陽」の燃料を作るため、粉末の「ウラン酸化物」を液体の「硝酸ウラニル」にする。

今回の「臨界事故」は、高速実験炉「常陽」の燃料を2年ぶりに作るため、濃縮度の高い「ウラン酸化物」の粉末を、液体の「硝酸ウラニル」にするという2の作業をしている時に起きたものです。

再転換工場の作業の流れ
(注)
  • 「常陽」
    燃やした燃料以上に新たに燃料ができる高速増殖炉の実験炉
  • ウラン燃料の濃縮度
    原子力発電所(軽水炉):約3〜4%
    高速実験炉(常陽):約20%

臨界とは

一か所に多量のウラン(核分裂性物質)が集まると、核分裂が起こります。これにより生じた中性子が、次の分裂を引き起こすというように、核分裂が継続する状態を"臨界"といいます。このとき「熱」と「放射線」が発生します。

ウランの核分裂図

2.今回の事故の原因

  1. 許可を受けた作業工程に対する違反
    国から許可を受けた作業工程では、右のような溶解塔に「ウラン酸化物粉末」と「硝酸」を入れて溶かし、貯塔から「硝酸ウラニル」を取り出します。
    しかし今回は、バケツ(ステンレス容器)に「ウラン酸化物粉末」と「硝酸」を入れて混ぜ、手作業で沈殿槽に数回にわたって投入しました。
    (注)詳細な作業工程は"ご質問にお答えします"Q3参照
  2. ウラン投入量の誤り
    沈殿槽に投入するウランの量は、2.4kgの制限が設けられていますが、その制限量以上(約16kg)に投入してしまったために、「臨界」になりました。
  3. 作業員の臨界防止策への理解の不足
    作業員は、原子力発電所用燃料の製造については、10年以上の経験がありましたが、高速実験炉用の燃料の製造については、3人とも初めての作業で「臨界」に対する知識の不足があったと言われています。
許可を受けた作業工程と今回のケースの図説

3.現在までの当社の対応

  1. 9月30日に「JCO事故対策本部」を設置し、10月1日には現地に社員を18名派遣して、放射線量の測定等に協力するとともに、モニタリングカー、放射線測定器等を提供するなど支援活動を行いました。
  2. 玄海・川内原子力発電所の新燃料や使用済み燃料の管理状況等については、臨界にならないよう十分な安全対策をおこなっていることを再確認しました。
  3. 国からの「不適切な手順書等が作成、使用されていないかを調査し、報告すること」という指示を受け、調査の結果、作成した手順書およびその使用状況に問題のないことを確認し、国へ報告しました。
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