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3.人材育成

九州電力教育憲章の制定

2007年4月に制定された「九州電力の思い」を実現していくためには、すべての職場が元気でいきいきとしていることが必要であるとの認識のもと、人材育成に情熱を持って取り組む企業風土の醸成を目指し、社員教育の基本方針として、20071022日に、人材育成の規範となる「九州電力教育憲章」を全社指針として制定した。これにともない、その趣旨が教育憲章に織り込まれた「人材育成理念」は廃止された。
教育憲章では、社員教育の目的や基本姿勢、経営層や管理職および社員の育成責務など、九州電力が取り組む教育の基本方針を定め、教育に対する考え方や教育の重要性に対する認識の浸透・共有化を図ることとした。
また、社員研修所においては、研修所で実施する研修の冒頭において、教育憲章の趣旨説明を行うとともに、社内報による周知や全事業所への掲示など、教育憲章の理解浸透を図るための施策を積極的に推進した。

eラーニングやオンラインを活用した研修・自己啓発の実施

本格的なIT時代の到来にともない、九州電力では、2000年に社員一人1台のパソコン配備が完了したことにより、社員のITスキルが向上した。
また、企業の社員教育においてIT技術の活用が進み、時間と場所の制約を受けないeラーニングが徐々に普及し始めた。
九州電力においては、テーマ別研修の定員拡大を望む声も増大していたが、講師人数や研修室数に限りがあり、集合研修の回数増は難しい状況であった。
このような背景のなか、2003年度に「評定力向上研修」において、eラーニングを導入したのを皮切りに、知識習得や意識啓発を目的とした研修、全従業員を対象とするなど受講者規模が大きい研修を中心に活用範囲を拡大した。現在は自己啓発支援の一つとしてもeラーニングを活用している。
また、2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、新入社員教育や階層別研修の一部をオンラインを活用して実施した。

人権尊重意識の向上への取組み

人権同和問題については、1987年に制定した「同和教育実施方針」に基づき、従業員が人権・同和問題を正しく認識かつ理解し、正しく行動することを目的として、人権・同和問題研修を実施してきた。
しかし、2006年8月に社内イントラネット掲示板である「コミュニケーション広場」に、賤称語を用いた同和地区に対する差別発言を含む書き込みがあり、人権・同和問題への理解を改めて徹底する必要があった。
この事件を契機に、取り組みが不十分であったことを反省し、2007年度に全従業員を対象とする臨時研修を実施した。
また、「同和教育実施方針」に、人権・同和教育啓発推進者研修の実施、年度ごと一人1回以上の人権・同和研修受講、受講歴の管理やグループ会社を含めた教育の推進などを新たに織り込み、2008年4月に「人権・同和教育実施方針」として新たに制定し、これまで以上に積極的に教育・啓発活動に取り組むこととした。

九電グループ合同研修の実施

電力自由化の進展に加え、会計基準の見直し(連結決算の導入)などにより、九州電力グループの総合力向上が重要課題となった。また、グループ会社からも、社員教育においてグループ会社を含めた取り組みの充実を望む声が高まったことなどから、九州電力グループの一体的発展を図るため、2002年度から一部研修の受講対象をグループ会社の社員に拡大した。
また、2011年度からは、九電ビジネスフロントがグループ合同研修を行うようになり、九電グループの理念や経営方針の実現に向けて、当社と協働で研修メニューや内容の充実を図っている。また、グループ会社教育懇談会の開催、研修施設の相互利用などグループ各社と連携しながら、効果的・効率的な教育を推進している。

ジョブ・チャレンジ制度と人財バンク制度

ジョブ・チャレンジ制度の導入

従業員が本人の意欲により、特定の業務に応募し、配置につなげる社内公募を2000年4月より実施している。社内公募に加え、本店・支店業務への従事を希望する一般職の応募の中から適任者を人選し、配置に反映させる制度として、2001年5月にジョブ・チャレンジ制度を導入した。この制度は、「業務に対するチャレンジ意欲の醸成」と「自己実現のための機会の提供」を通じて、社員の能力や活力の発揮と適材適所配置の一層の推進を図ることを目的に実施している。

人財バンク制度の導入

社員の自己申請に基づき登録した経験・能力・施策案などの情報の活用を通じて、適任者を人選し、配置に反映させる制度として、2007年4月に人財バンク制度を導入した。この制度は、「高度化・多様化する業務へ的確に対応するための全社規模での適材の配置」と「異動における自己実現機会の提供による社員の自己啓発意欲の喚起・向上」を図ることを目的としている。
人財バンク制度では、管理職・一般職を問わず、高度・専門能力、知識などを保有する社員自らが登録した人財情報を全社に公開し、活用希望部署との面談などを通じたマッチングにより、異動に反映することで業務ニーズに即した人材の登用をおこなっている。

「私たちの目指す人材像」の制定

2007年4月に制定した「九州電力の思い」の実現に向けて、人事労務制度の再構築に取り組んだ。
まずは「社員一人ひとりが仕事を通じて働きがいを得て、成長していく組織づくり」を具現化するため、社員全員が目指していくべき成長の指針として、社内各層に意見を聴取し、社員に必要な意識や能力をまとめた「私たちの目指す人材像」を制定した。

私たちの目指す人材像のイメージ

人事処遇制度の見直し

次に「私たちの目指す人材像」の制定とあわせて、社員の処遇や育成の仕組みを整備した。
社員の多様な能力を評価し、活躍の機会を提供するために、「職能等級制度」、「賃金制度」、「人事考課制度」を中心とした人事処遇制度の見直しを実施した。具体的には、社員の働きがいの実感と成長意欲の更なる向上を目的に、多様な能力を評価し、様々な活躍の機会を提供するための等級の構成見直しや、職責区分の新設、その能力や職責を的確に反映するための賃金の項目や仕組みの見直し、納得感を高め育成につなげる評価方法やツールの見直しをおこなったものである。
そして、「私たちの目指す人材像」に向けた成長を支援するしくみとして、「上長による人材育成を支援するしくみ」、「社員自身の成長意欲に働きかけるしくみ」、「成長へのコミュニケーション」の3つの観点から取組みを体系化した「ステップアップ・サポート・システム」を2012年に導入した。

経営リーダー塾の導入

電力自由化の進展による競争の激化など経営環境の変化や今後の事業戦略等を踏まえると、これまで以上に経営者としての志、知識、能力、全体最適の視座を持った人材を早い段階から計画的に育成していく必要が高まった。そこで経営幹部候補育成を目的としたプログラム「経営リーダー塾」を2016年に導入した。
「経営リーダー塾」には、本店部長や重要な機関の長の就任前の層に対し、経営者としての志や経営観・判断軸などを養成する「エグゼクティブコース」、本店グループ長・課長クラスに対し、変革リーダーとしての全体最適の思考やリーダーシップなどを養成する「アドバンストコース」の2コースがある。本プログラムは、経営層との対話等を通じて経営者に必要なマインド、視座・判断軸及び経営理論を学ぶ集合研修と、戦略立案や現実課題に対する解決策の策定・提言など実践を通じて学ぶアクションラーニングから成り、経営幹部としての成長につながるポストへの実践配置とあわせて経営幹部候補の計画的かつ効果的な育成を目指している。

「経営ビジョン実現に向け一人ひとりに求められる行動」の制定

「九電グループ経営ビジョン2030」の実現に向けては、新しい発想や様々な知識、技術を活用して、エネルギーサービス事業を進化させるとともに、新たな事業・サービスによる収益源を創出し、地域社会やお客さまの期待に応えていかなければならない。
従業員一人ひとりが変化をチャンスと捉え、的確に対応していくため、特に意識して取り組む必要がある行動を「経営ビジョン実現に向け一人ひとりに求められる行動」として制定した。

経営ビジョン実現に向け一人ひとりに求められる行動のイメージ

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