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4.コンプライアンス

コンプライアンス経営推進の背景

九州電力は、1998年に「九州電力企業行動憲章」を制定するとともに、中期経営方針において目指すべき企業像の一つに「社会から信頼され、認められる企業」を掲げ、コンプライアンス経営を展開してきた。
このようななか、社会の信頼を失う企業不祥事の多発や、電力市場における競争の激化など、情勢変化のなかで、企業倫理にのっとった公正な事業活動および独占禁止法や商法(現会社法)などの法令遵守の徹底の必要性がますます高まったことから、九州電力においてもコンプライアンス経営へのさらなる取り組みを推進した。

コンプライアンス推進体制

2002年度の取締役会において、コンプライアンス経営への取り組みをさらに推進することを決定した。これを受け、コンプライアンス経営の推進母体として、2002年10月、取締役会のもとに、社外委員などで構成される「コンプライアンス委員会(委員長:社長)」を設置し、以降、継続してコンプライアンス経営に関する方針や対応策の審議・提言ならびに取り組み状況のモニタリングを実施している。
また、本店各部、支店・支社などの長を「コンプライアンス責任者」とし、全社でコンプライアンス経営を推進する体制を整備した。
2003年2月には、法令違反や企業倫理に反する行為の未然防止、早期発見を目的に「コンプライアンス相談窓口」を設置し、業務運営や役員、従業員の行動に疑問を感じた役員、従業員および取引先が迅速かつ不利益を被らずに相談できる体制を構築している。
2009年度からは、全社のコンプライアンスに係る推進機能(総務部および人事労務部)とモニタリング機能(経営管理部)を分離させ、コンプライアンス推進体制を整備・充実させた。
九州電力グループとしては、「グループCSR推進部会」を設置するなど、グループ一体となった取り組みを推進している。

コンプライアンス推進に向けた取組み

具体的な取り組みとして、200212月、全役員、全従業員が共通して心得ておくべき行動基準や、お客さまや株主・投資家などステークホルダーとの関係における留意点などを具体的に記載した「コンプライアンス行動指針」を策定し、全役員および全従業員に配布した。
さらに、九州電力およびグループ会社の全従業員を対象とした「コンプライアンス意識調査」を定期的に実施するとともに、コンプライアンス違反事案が発生した場合には、原因分析および再発防止策について、コンプライアンス委員会で審議し、その取組み状況の継続的なモニタリングを実施している。

コンプライアンス教育と研修による従業員意識の高揚

従業員のコンプライアンス意識の高揚と、コンプライアンスの基本的理解を図るため、2003年度にコンプライアンス行動指針および部門行動指針の初期研修を実施した。
その後、コンプライアンス意識の浸透、定着のため、eラーニングによる研修を実施し、2004年度に「基本編」、2007年度に「応用編」をそれぞれ全社員に対して受講させた。
さらに2009年度には、コンプライアンス違反事例の再発防止策として、過去の不適切な事例を織り込んだ「応用第2編」を実施した。
また、グループ会社に対しても、合同で「コンプライアンス、人権・同和問題研修」および「教育推進者研修」を実施し、グループ会社内のコンプライアンス教育も推進した。

意見投稿呼びかけ等問題を受けたコンプライアンス推進の取組み

九州電力は、2011年の「経済産業省主催の県民説明番組への意見投稿呼びかけ等問題」を受け、信頼再構築に向け、策定・公表した再発防止策の実行を始めとするコンプライアンス推進の取組みを進めた。
2012年4月には、企業活動の透明化に向けた取組みとして、「九電グループ行動憲章」及び「コンプライアンス行動指針」を改正し、社会情勢の変化に対する高い感度を持って行動すること、事業活動の透明性を高めること、自治体との健全な関係を維持することなどを織り込み、全社員へ周知徹底した。
7月には、地域共生本部・人材活性化本部・経営管理本部で分担していたコンプライアンス推進業務の所管部門を地域共生本部に一元化し、主体的な責任体制を確立するとともに、各支社にコンプライアンス担当職位を設置し、教育・研修などを通じた所管エリア内従業員のコンプライアンス意識の醸成や、不祥事等の兆候把握機能の強化などを図った。
また、コンプライアンス経営の推進に向けた経営トップ層に対するコンプライアンス研修や、全従業員、協力会社に対するコンプライアンス教育・研修も実施した。

関西電力金品受取問題を受けた対応

2019年に発覚した関西電力金品受取問題を受け、九州電力でも、コンプライアンス委員会での論議を経ながら、必要な取組みを検討、実施した。
2019年12月には、より高い倫理観をもった企業風土を醸成するため、従来から受領を禁止していた取引先などからの贈答について、受け取った場合の対応をルール化するとともに、判断に迷う場合には社内の問合せ窓口に相談することを定め、コンプライアンス行動指針に反映のうえ周知した。
2020年4月、九州電力及び九州電力送配電は、経済産業省から、役職員による金品受領や、不適切な工事発注・契約、電気料金値上げ時にカットされた役員報酬に対する補填等の有無などについて、電気事業法第106条第3項の規定に基づく報告徴収を受け、調査の結果、同様の事案はないことを確認し、その旨を報告した。
20206月には、九電グループトップの責務として、コンプライアンスを最優先に事業活動を行うことを広く社会に約束する、社長宣誓「コンプライアンス経営の徹底に向けて」をホームページに公開した。
また、7月には、従業員が、業務上のミスや私的なトラブル等に起因して社外人から業務に関する不当な要求や自身・家族への脅迫等を受けて悩んでいる場合の相談窓口を社外弁護士事務所に開設し、組織として問題を解決する体制を構築した。

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