1.業務運営体制の見直し(2001年〜2010年)
2001年
事務部門の効率化
2001年8月、業務運営体制の抜本的な見直しの一環として、支店・発電所・営業所・電力所でおこなっていた総務・人事労務・経理・資材部門(以下、事務部門)の執行業務を本店各主管部門に集中化した。
営業所業務の集中化
2001年12月、業務効率化や業務処理能力・質の向上、複雑化する料金メニューへの対応強化などを図るため、すべての直轄営業所で実施している料金再計算業務を支店所在地営業所へ集中化するとともに、事務集中センターを設置し、再使用申込書や口座振替申込書の受付業務などの集中処理を開始した。
新規事業開発体制の強化
2001年10月、情報通信事業の規模拡大や事業のスピードを考慮したグループ全体の統一した戦略策定と事業展開を行うため、情報通信業務を一元的に推進する情報通信事業推進本部を設置した。
立地部門の体制強化
2000年7月、利益管理も視野に入れた責任主体として5本部を新設したが、電源立地部、環境部及び送変電立地部を統括する立地環境本部については、これらの本部とは位置づけが異なることから、2001年7月に本部を廃止した。しかし、大型電源や基幹系統など重要なプロジェクトについては進捗に応じて立地環境部門の相互連携をリード・統括する部署が必要になる場合があることから、3部とは独立した形で立地環境対策本部を設置した。
2002年
事務部門の効率化
2002年7月、本店各部は部門戦略に特化することで機能強化を図るとともに、定型的な執行業務は集中処理組織であるオフィスサポートセンター(以下、OSC)を総務部内に設置のうえ、一層の効率化を図ることとした。
営業所業務の集中化
2002年8月には、営業所で実施している配電業務について、発生頻度に片寄りがあり、各営業所での実施では非効率な専門的業務(拡充工事にかかわる設備計画業務、地中線工事業務の一部)や情報技術の活用により効率化が図れる業務(配電工事の検査業務)を支店に集中化した。
火力発電所運営体制の見直し
2002年10月、効率化による競争力強化などの推進のため、火力発電所を4つの地域ブロックに分け、地域ブロック単位での発電所運営を開始した。発電所ごとに実施している計画・管理業務や総務課業務などを各ブロックの拠点発電所(新小倉、新大分、松浦、苓北)に集中化し、拠点発電所に総括技術室を設置するとともに、一般発電所では総務課を廃止した。
お客さまのニーズに即した対応
2002年7月、電力自由化の進展に対応し、「お客さま第一」の視点に立ったトータルソリューション営業を推進するため、エネルギー利用効率部をエネルギーソリューション部に名称変更した。これにあわせて、お客さま本部内の業務の再編を行い、一般家庭のお客さまは営業部、法人のお客さまはエネルギーソリューション部の対象とすることとした。
新規事業開発体制の強化
新規事業開発体制を明確化するため、2002年7月、国内・海外の新規事業開発方針策定業務を経営企画室から事業開発本部に移管した。これにともない、新たに海外事業部を設置し、リスク管理体制の明確化など海外事業推進体制を強化するとともに、事業開発部は国内の新規事業開発の推進とグループ会社の管理支援に特化する体制に再編した。
立地部門の体制強化
2002年7月には、地元対応が重要な時期にある原子力関係及び汽力増設地点対応業務を行うプロジェクトとして立地環境対策本部に電源立地対策部を設置するとともに、立地業務の効率化などのため、送変電立地部と上記以外の電源立地部の業務を統合し用地部を設置した。
資材、燃料関係組織の変更
2002年7月、資材、燃料業務の効率化を図り、購買ノウハウなどの相乗効果や重複取引先に対する交渉力を活用できる体制とするため、資材部と燃料部を統合し、資材燃料部を設置した。これにあわせて、部門戦略機能を強化するとともに、資材契約などの執行業務を効率的に実施するため、資材契約センターを設置した。
2003年
事務部門の効率化
2003年2月には、「事務部門効率化基本構想」を策定し、事務部門の全業務に対し「廃止・簡素化」「システム化」「集中化」「外部化」の4つの視点から徹底した効率化に取り組んだ。
原子力推進体制の強化
2003年8月、川内原子力発電所地点における環境調査及びそれにともなう地元対応を円滑に行うため、川内調査所を設置した。2009年3月には立地地域における川内原子力発電所3号機増設への理解促進活動や、地域から寄せられる意見や要望にきめ細かく対応するため、川内原子力総合事務所を設置し、同年5月に川内調査所を廃止した。また、原子力への規制強化や法令の改正に的確に対応するため、2003年12月に原子力発電所に安全品質統括室を設置するとともに、2005年7月に経営管理室内に原子力監査担当を設置した。
新規事業開発体制の強化
2003年7月には、情報通信事業のグループ事業戦略策定・総合調整及び情報通信事業会社への経営管理・支援機能の強化を目的に、情報通信事業部を設置し、情報システム部と電子通信部ならびに新設した情報通信事業部を統括する組織体として、情報通信事業推進本部を情報通信本部に改称した。
2004年
事務部門の効率化
2004〜2006年の3年間で損害賠償業務、簡易建物修繕業務の集中化・委託化、人事労務関係書類審査業務の委託化(2004年度)、新資材システムの運用開始、支店決算業務のOSCへの集中化(2006年度)などの効率化施策を検討・実施した結果、事務部門全体の約4分の1の効率化をおこなった。
また、こうした効率化の取組みにあわせて2002年から2006年にかけて火力発電所、営業所、電力所、中央送変電建設所の総務課を廃止した。
営業所業務の集中化と営業所担当エリアの見直し
道路交通網の整備やIT化の進展にともない、より広域的な業務運営が可能となったことや、設備強化などによる停電件数の大幅な減少、コンビニエンスストアでの料金収納の拡大などによるお客さまの来所ニーズの低下など、営業所を取り巻く環境の変化を踏まえ、人材・機材の集中化によりお客さまニーズに幅広く対応し、積極的なソリューション営業を展開するとともに、経営効率化を推進するため、営業所の担当エリアを見直し、2004〜2006年度にかけて、85か所あった営業所の数を54か所に削減した。
2004年7月、営業所、支店試験所で分散して実施していた配電用品の品質試験や事故品試験などを集中化して効率化を図るとともに、試験結果を開発改良に迅速に反映させるため、福岡および鹿児島支店配電部の試験所を廃止し、本店配電部に配電技術試験センターを設置した。
グループ制の導入拡大
2004年7月、トータルソリューション営業の拠点として、人材の弾力的な活用や迅速な意思決定などにより営業力の一層の強化を図るため、従来本店の一部と支店に導入していたグループ制を営業所に導入した。
2005年
電力輸送部門の見直し
2005年4月からの電気事業制度の見直しにともない、託送サービスセンターの公平性を外形的に高め、情報遮断を強化するため、同センターを工務部直轄から電力輸送本部の直轄に見直すとともに、名称をネットワークサービスセンターに変更し、営業部でおこなっていた託送供給約款制定および解釈の業務などを同センターに移管した。
さらに、同年7月、電力輸送部門の託送にかかわる情報管理体制をより明確にするため、電力輸送、電子通信および土木建築などの業務を実施していた支店技術部から電力輸送分野の業務を分離し、電力輸送関係グループ、系統給電制御所および総合制御所で構成する送変電統括部を設置した。これにあわせ、電力所を支店長直轄から送変電統括部直轄の機関に見直した。
2006年
事務部門の効率化
2006年4月には、OSCで取り組んできた業務効率化の一層の推進と業務品質のさらなる向上を目的として、グループ会社として九電オフィスパートナー(以下、QOP)を設立し、OSC業務の大半を委託した。OSCは同年7月に「オフィスサポートセンター」から「オフィスサービスセンター」に改称した。
QOPでは、業務の標準化や業務マニュアルの整備を行い、多様な労働力の活用と自律的な業務改善によって、2006〜2010年度の5年間で20%のさらなる業務運営コスト削減をおこなった。
火力発電所運営体制の見直し
2006年7月には、事務部門業務のうち事業所単位で実施した方が効率的・効果的な業務以外は本・支店に集中済みであることから、さらなる効率化推進のため、拠点発電所においても総務課を廃止し、技術課にて事務部門業務を実施することとした。
電力輸送部門の見直し
2006年7月、2005年の台風14号により冠水した耳川水系発電所の土木設備関係を含めた復旧工事が本格化するため、宮崎支店に耳川水系復旧建設所を設置した。2008年7月には、ダム改造や発電所の総合更新など極めて高度な対策工事が本格化することから、同建設所を廃止し、本店直轄機関として耳川水力整備事務所を設置した。
2008年
業務部の設置
2008年7月、さらに厳しさを増す経営環境のなかで、業務の効率化を永続的に取り組む必要があることから、OSCの位置づけを「全社(全部門)の執行業務を集中処理するとともに全社の執行業務の効率化を推進する部署」と再整理し、総務部の所管から独立させ「業務部」を設置した。
グループ制の導入拡大
2008年7月には、多様な人員構成や業務内容のなかで、フラット化を重視した業務運営の難しさなどの課題をふまえ、グループ長のマネジメント機能の強化やメンバー管理職のモラール向上などを図るため、グループ制の見直しをおこなった。具体的には、メンバー管理職を組織上も正式なマネジメント役と位置づけるとともに、グループ長の判断で権限再配分を行うなど、階層的な業務遂行も含めたより柔軟な業務運営を行えるようにした。この見直しにより、明確な指揮命令系統のもとでの階層的な業務への対応も可能となったことから、火力発電所および資材契約センターにおいてもグループ制を導入した。
本店部内「室」の導入
2008年7月、法的な要請や業務の特殊性などから独立・自律して業務を行う必要性、業務規模や部内のほかの業務との関連性などを考慮し、本店本部内に「室」を設置可能とし、総務部法務室、経営管理部内部監査室の2室を設置した(内部監査室は2010年7月、本部制の導入にあわせて経営監査部に改組)。これにあわせて、本・支店室部の名称を「部」に統一した(総合研究所、監査役室については、業務の性格などを考慮して変更せず)。
お客さまのニーズに即した対応
2008年7月、お客さまに業務内容を理解いただけるよう、エネルギーソリューション部を「法人営業部」に名称を変更した。
資材、燃料関係組織の変更
2008年7月には、燃料調達環境が厳しさを増すなどの経営環境の変化に的確に対応し、燃料の長期安定確保と経済性の追求などを図るため、資材燃料部から燃料業務を独立させ、燃料部を設置した。
2009年
本部制の拡大
2009年7月、地球環境問題の深刻化やエネルギー需給構造の変化など多岐にわたる経営課題に柔軟・迅速に対応するため、経営企画部を廃止し、経営企画本部を設置するとともに、その下に各課題分野に責任を持って対応していく部署として、4担当を設置した。
電力輸送部門の見直し
2009年7月には、供給信頼度へのお客さまニーズの高まりや設備高経年化の進展へ的確に対応するとともに、技術力の維持継承を図るため、送変電技術センターを設置し、電力所及び本店で実施していた設備の劣化診断技術などの高度な保全技術開発などを集中化した。また、その下部組織として、拡充・改良工事の実施設計・施工監理、ローカル系統計画上の工事計画を策定する地区送変電工事所(北地区、西地区、南地区)を設置した。これにともない中央送変電建設所及び北九州送変電工事所を廃止した。
新規事業開発体制の強化
2009年7月には、東南アジアやインド地域などでの既存プロジェクト管理や新規案件開発を推進するため、海外事業部の部署としてシンガポール事務所を設置した。
立地部門の体制強化
2009年7月には、プロジェクト的な部署として設置していた立地環境対策本部(電源立地対策部を含む)を廃止し、大規模な電源開発などの重要な立地計画、プルサーマル計画などの既設発電所での重要な計画を円滑に進めるため、恒常的な組織として電源立地部を新設するとともに、用地部と電源立地部を統括する立地本部を設置した。
2010年
本部制の拡大
2010年7月には、経営幹部のリーダーシップのもと、多岐にわたる経営課題に対して、関係する部門が有機的に連携し、総合力を発揮できる体制の構築を目指して、本部制の導入を拡大した。これにともない、8本部(本部内の部19部)と本部に属さない12部で構成される本店を、14本部(本部内の部34部)と1室(社長室)からなる体制へ見直した。
保安推進体制の強化
2010年7月、各部門が主体となり実施している設備保安活動を部門横断的に推進するため、「電気工作物保安推進委員会」を設置し、保安規程に基づく設備主管部の保安活動に関する審議・調整を行う恒常的な体制を構築した。
さらに、2011年3月には、設備保安に加え、安全確保についても全社横断的に推進するために、設備保安と安全確保に関する社内の最高機関と位置づける「保安推進委員会」へ発展させた。