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1.「九電グループの思い」実現に向けた取組み

「九州電力の思い」の制定

制定の背景

1951年の創立以来、当社は電力を安定してお届けすることを通じて、お客さまの生活を支え、地域社会の発展に貢献するため、さまざまな事業活動に取り組んできた。
こうして培ってきた社会的な信用やお客さまとの信頼関係は大きな資産であり、エネルギー市場における競争の本格化、地球環境問題や資源エネルギー問題の深刻化、ライフスタイルの多様化など大きく変化する経営環境のなかで、お客さまから選ばれ続けるためには、お客さまとの信頼関係をより強固にしていくことが欠かせない。
こうした思いから、これまで大切にしてきたものは大切な資産として守り続け、新しい時代において変えるべきところは変えていくことを基本的スタンスとして、「九州電力とお客さまの思いを長期にわたってつなぐことができる絆は何か」という観点から、九州電力のありたい姿について検討をおこなった。
具体的には、お客さまへのインタビューやアンケートなどさまざまな調査を行うとともに、社内公募メンバーによるワークショップ、役員層によるワークショップ、全社員への意見照会など1年半に及ぶ議論を経て、2007年4月に新たな企業理念である「九州電力の思い」を制定した。
さらに、「九州電力の思い」の実現に向け、2008年4月には社員一人ひとりの心構えや姿勢を示す「行動指針」を、2009年3月には長期的な観点から経営の方向性を示す「長期経営ビジョン」および具体的施策の方向性を示す新たな「中期経営方針」を策定した。

「九州電力の思い」に込めた決意

「九州電力の思い」では、当社がこれからの時代の変化のなかでも変わることなく電力やエネルギーを安定的にお届けすること、そしてお客さまの快適で環境にやさしい毎日に貢献していくことを約束している。
「快適で、そして環境にやさしい」という言葉には、「快適な毎日を楽しみながら、その毎日がよりよい地球環境につながっている、地球環境によいことが、人間の豊かさや快適さにつながっている、そういう持続可能な社会への貢献をしていきたい」という思いを込めている。
この「九州電力の思い」を実現していくためには、社員一人ひとりが仕事を通じてその理念を体現していくことが必要であり、そのためには職場が明るく活気に満ちていることが重要となる。「ずっと先まで、明るくしたい。」というメッセージには、お客さまの生活や社会を明るくするとともに、九州電力自身が明るい会社になるという思いが込められている。

「行動指針」の制定

2008年4月に、「九州電力の思い」の実現に向けて、社員一人ひとりが日々の業務をおこなっていく際の心構えや姿勢を「行動指針」として策定した。この指針は、「九州電力の思い」の理解を深めながら、社員自身が自らの仕事と結びつけて取るべき行動を考え、対話していくという参加型のプロセスを通じて検討するとともに、経営層へのインタビューなどを行い、策定されたものである。
「自ら考え、行動する。」とは、社員一人ひとりがあらゆる業務のなかで、お客さま、地域の方々、職場の仲間、未来の世代のためになるかを、主体的に考え、行動するということである。
それぞれの職場で、「お客さまに喜んでもらうためにはどうすればよいか」、「チームワークをさらに高めていくためにはどうすればよいか」、「時代のニーズに対応して変えていくことはないか」などを考え、話し合い、まずはできることから始める、すなわち一人ひとりが「自ら考え、行動する。」ことで、「九州電力の思い」の実現を目指していくという決意を行動指針は示している。

「九州電力の思い」実現に向けた取組みの推進―長期経営ビジョンと中期経営方針

長期経営ビジョンの策定

2009年3月に策定した長期経営ビジョンでは、今後のエネルギーセキュリティや地球環境問題の重要性の高まり、エネルギー需要構造の変化、設備の高経年化、ライフスタイルや価値観の多様化、少子高齢化などにともなう人や業務をめぐる環境の変化など、経営環境の長期的な見通しをふまえ、経営の方向性として「1エネルギー情勢が大きく変化するなかでも、環境にやさしいエネルギーを安定的にお届けする」「2持続可能な社会の形成に向け、お客さまや地域社会などとともに考え、行動する」「3社員一人ひとりが仕事を通じて働きがいを得て、成長していく組織をつくる」の3点を掲げた。
この3つの経営の方向性に基づいた事業活動を通じて、お客さまの満足や持続可能な社会への貢献、ビジネスパートナーとの共創、社員の働きがいや成長、財務的な成果といった価値を持続的に生み出していくことを目指すこととした。

中期経営方針(2009〜2011)

中期経営方針では、2009年度からの3年間を、現状の厳しい経営環境へ的確に対応するとともに「長期経営ビジョン」を踏まえ、中長期的な観点から「今、着手しないと手遅れになるおそれがある」課題への取組みをスタートする期間と位置づけ、全社を挙げた取組みを進めていくこととした。具体的には、「長期経営ビジョン」における「経営の方向性」をふまえ、「環境にやさしいエネルギー事業」をコア事業として積極的な展開を図るとともに、保有する有形無形の経営資源を活用し、社会的な意義の大きい「社会・生活サービス事業」を展開することとした。

2012年度経営方針

20074月に制定した企業理念「九州電力の思い」の実現に向け、20093月に策定した「長期経営ビジョン」「中期経営方針」のもと事業活動を進める中、20113月に東日本大震災が発生し、わが国の経済・社会に甚大な被害を及ぼした。更に、東京電力福島第一原子力発電所において深刻な事故が発生したことで、電気事業を巡る中長期的な経営環境の不透明性が急速に高まった。
当社においても、この事故を契機に全ての原子力発電所が停止し、運転再開が不透明な状況の中、厳しい需給状況が続き、収支を巡る環境も一層厳しさを増していった。また、当社社員が社内および協力会社等に対して、経済産業省主催の県民説明番組へ原子力発電所の発電再開に賛成する意見投稿を要請した事象が発生し、お客さまからの信頼を大きく損なうこととなった。
こうした極めて厳しい状況を踏まえ、喫緊の重要課題を明確にし、重点をおいた取組みを全社一丸となって進めていくため、20123月に、「信頼回復に向けた取組み」「安定供給の確保」「収支改善に向けた緊急経営対策の推進」を重点課題とした「2012年度経営方針」を策定した。

中期経営方針(20132015)

東京電力福島第一原子力発電所での事故を契機に、厳しい需給状況が続き、財務状況が急速に悪化する中、最大限の効率化を前提に、当社としては33年ぶりの電気料金値上げを実施した。
こうした中、徹底的な経営合理化の推進など、お客さまの声に真摯にお応えし、当社を取り巻く諸課題にしっかりと対応するため、20134月に、2013年度から2015年度までの3か年における経営の方向性と重点的な取組みを「中期経営方針」として取りまとめた。
本方針では、「新しい九州電力の再構築」に向けて目指す姿として、「お客さまにしっかりと向き合う会社」「変化に迅速かつ柔軟に挑戦する会社」「事業活動を絶え間なく見直し、高い効率性を追求する会社」「電気をお届けすることで地域・社会を支える会社」を掲げた。また、その実現に向けた重点的な取組みとして、「(1)お客さまの生活や企業活動、地域社会を支え、皆さまとともに持続的発展を目指すため、あらゆる面で徹底的な効率化を図る」、「(2)大きく変化する環境下でも、お客さまに良質で安定した電力をお届けする」、「(3)社会に開かれ、社会から信頼される企業を目指した取組みを推進する」、「(4)上記の取組みの土台となる組織風土改革・業務改革を推進する」を推進することとした。

九州電力グループ中期経営方針(20152019)

原子力発電所の全基停止に伴う厳しい需給状況や収支・財務状況下において、経営効率化や原子力発電所再稼働、需給対策、信頼向上への取組みを推進する中、2016年には電力システム改革に伴う小売全面自由化が予定されるなど、本格的な競争時代を迎えることとなった。
こうした競争環境下においても、企業理念「九州電力の思い」を実現し、お客さまから信頼され、選ばれ続けるためには、九電グループ各社の強みを活かし、これまで以上に一体となった変革を加速させる必要があったことから、20154月に、2015年度から2019年度までの5か年を対象とする「九州電力グループ中期経営方針」を策定した。
本方針では、2030年のありたい姿「『日本一のエネルギーサービス』を提供する企業グループ -やっぱり!エネルギーは九電グループ-」と、ありたい姿に向けた3つの戦略の柱「I 基盤である九州において、「電気をお届けする」会社から「エネルギーサービスを提供する」企業グループとなり、お客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えし、地域・社会とともに発展していく」「II 九電グループが培ってきた強みを活かして、海外エネルギー事業、九州域外エネルギー事業、再生可能エネルギー事業で成長していく」「III 戦略実行に必要な組織力を強化し、強固な事業基盤を築く」を定め、2015年度から2019年度までの5か年において重点的に取り組むべき施策を示した。
また、お客さまや投資家の皆さまに対して、九電グループの経営姿勢をさらに明確にし、経営革新への取組みを一段と加速化するため、20176月に、2017年度から2021年度までの5か年の財務目標「自己資本比率(2021年度):20%程度」、「経常利益(20172021年度平均):1,100億円以上」、「成長投資(20172021年度累計):4,200億円」を設定した。

「九電グループの思い」への名称変更、「九州電力グループロゴマーク」の制定

企業理念「九州電力の思い」の実現に向け、従来以上にグループ一体となった経営を推進するため、2015年に「九州電力の思い」を九電グループ全体の理念へと位置づけを変更した。
さらに、経営環境が大きく変化する中においても、お客さま、地域・社会の皆さまをはじめとするステークホルダーの思いにお応えしていくことで、信頼され、選ばれ続ける企業グループとなることを目指して、2018年1月に、グループ理念の名称を「九電グループの思い」へと変更し、グループ一体感の更なる醸成を図るとともに、同年4月には、グループ一体となった取組みを体現する「九州電力グループロゴマーク」を制定した。

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