5.オール電化推進
オール電化住宅の普及促進と「キレイ・ライフ」
地球環境問題、住宅の次世代省エネ基準に沿った高気密・高断熱化、高齢化の進展にともない、電気温水器とIHクッキングヒーターによるオール電化住宅が注目され、1996年には環境共生、エネルギー利用の効率化、高齢化のニーズに応える快適な住宅を目指し、大学・産業界の関係者による住宅環境・エネルギー研究会が発足した。
九州電力では、1998年に支店にオール電化普及促進協議会を設置し、地元工務店・ハウスメーカーなどへの働きかけを強化し、オール電化採用の拡大を図ってきた。2001年には初のオール電化キャンペーンを実施し、さらに2003年にはお客さまに寄り添い、快適な生活提案を行う九電ホームアドバイザー制度を開始した。また、この年、これまでの九州電気温水器普及促進協議会(1973年設立)を九州住宅電化推進協議会へと変更し、オール電化住宅普及のための組織作りの充実を図った。
2005年にはオール電化のさらなる普及促進を目的に、「キレイ・ライフ」ブランドを立ち上げた。キレイ・ライフロゴマークは九州電力や販売店が制作する各種ツールや広告媒体に活用され、広くお客さまから認知されるものとなった。
また、以前からオール電化普及促進施策の一環としておこなっていた販売店との協力体制を、2006年にはパートナー・サポート業務委託制度として一新し、販売店との関係をより一層強化することで、オール電化住宅の普及促進につなげた。
一方、これまでオール電化の普及が遅れてきた集合住宅分野については、「九州・次世代電化マンションを考える会」(2004年11月発足)、「九州・オール電化賃貸集合住宅をすすめる会」(2007年11月発足)の取り組みなどを通して、普及に力を入れた。
エコキュートの普及促進と「省エネ快適ライフ」
地球環境問題や資源エネルギー問題がますます深刻化するなかで、九州電力では、2008年度から「省エネ快適ライフ」の推進を掲げ、「お客さまにムリなくムダなく電気を上手に使っていただき(省エネルギー)、快適で環境にやさしい生活をおすすめする」ことを営業活動の中心とした。なお、省エネ快適ライフ推進にあたり、ロゴを作成し、2011年度からキレイ・ライフに替わるブランドとした。
キレイ・ライフ、省エネ快適ライフを推進する活動のなかで、とりわけ環境性に優れた「エコキュート」の普及促進に力を入れた。
エコキュートは、2001年に市場に登場した後、環境性や経済性に優れていることから順調に普及し、2009年10月には全国で200万台を突破した。九州においても2008年度の普及台数が電気温水器を初めて上回った。
また、九州電力では、これまで実施してきたオール電化キャンペーンをエコキュートの普及を中心としたキャンペーンに変更し、省エネをより重視した内容で展開した。
この間、九州におけるオール電化住宅の普及は順調に拡大し、2008年12月に50万戸、2010年4月に60万戸を突破した。また、エコキュートの普及台数は2011年3月時点で約30万台となった。
2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故を契機に、全国の原子力発電所が運転停止となり、全国大で電力の供給力が不足することになった。九州電力は国からの節電要請を受け、すべてのオール電化営業を自粛し、省エネ・節電PR活動にシフトした。オール電化普及促進施設の「イリス」は、2013年3月から2014年4月の間に順次閉館し、震災前には最大244名在籍した九電ホームアドバイザーも、2012年7月からは100名体制となり規模が縮小された。これまでの「省エネ快適ライフ」に節電の要素が加わり、2016年4月まで省エネ・節電PRが続いた。
オール電化営業の再開
2016年夏季から、全国的な需給状況の改善により、国の節電要請が見送りになったことから、九州電力はオール電化営業を再開した。まず、同年4月の電力小売り全面自由化を機に、家庭向けブランド「キレイライフプラス」を立ち上げ、同年6月には、震災後に100名まで規模を縮小していた九電ホームアドバイザーを200名へ増員し、7月からはIHクッキングヒーターによる調理実演や最適料金プランの提案等の本格的なオール電化営業活動を開始した。オール電化住宅の実績は震災以降、対前年割れが続いていたが、同年10月には6年ぶりとなるオール電化キャンペーンを実施したこと等により、同年度実績は対前年比+10%とプラスに転じた。更に、12月からはオール電化の新CMの放映も開始し、ポスターやWEBムービー等のPR活動を展開した。九州内の全50営業所においては、2018年3月までにIHクッキングヒーターの体験施設を整備し、多くのお客さまにIHクッキングヒーターのPR活動を展開した。
オール電化活動の更なる推進
オール電化の更なる推進に向け、2017年11月に200ボルトIHクッキングヒーターと移動用電源を搭載したオール電化移動実演車「オールデンカー」、2019年10月に「オールデンカーEV」を導入し、電源の確保が難しい場所でもIHクッキングヒーターの調理実演が実施できる体制を整備した。また、2017年9月にはリフォームの情報を入手できる「きゅうでんe‐住まいる 福岡」を開設し、一年後には1万人の来場者突破を果たした。2018年11月には第二弾として「きゅうでんe‐住まいる 北九州」を開設した。オール電化営業活動を再開してから、メーカー・販売店等と連携した活動を積極的に展開した結果、九州におけるオール電化住宅の普及は順調に拡大し、2017年10月にはオール電化住宅が100万戸を突破した。
今後も、オール電化の普及促進を通じて、快適で、環境にやさしく、経済的で、安心な生活をお客さまに提案していくこととしている。2021年4月には「九電グループカーボンニュートラルビジョン2050」を制定。2050年における九州の電化率100%を目指し、2030年度時点での電化率70%を経営目標として、住宅関連事業者との連携強化によるオール電化住宅の普及拡大に取り組んでいる。