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2.給電運用の高度化

給電運用の高度化

中央給電指令所システムの更新

中央給電指令所は、全社の給電運用業務の中枢を担う給電担当機関として、需給運用業務ならびに系統運用業務をおこなっている。
2010年現在、運用中の中央給電指令所システムは、1991年3月から運用を開始し、需要に応じた発電機の経済運用や電力系統の効率運用に寄与してきたが、運用開始から20年を経過すること、中央給電指令所業務のさらなる高度化・効率化が必要であることから、2011年6月にシステムを更新し、機能の充実・強化を図ることとした。
具体的には、より経済的な発電機運用を行うために、経済負荷配分機能の高度化や、負荷周波数制御機能の高度化を図るとともに、より効率的な系統運用を支援するために、電力系統の電圧調整制御機能の高度化を図るなど、最新技術を各機能へ積極的に採用し、従来機能の大幅な高度化を図った。
システム構成においては、従来の制御用計算機による「集中型システム」から、主要業務ごとに汎用サーバーを設置する「機能分散型システム」へ変更し、システムの信頼性や処理性能、将来的な機能拡張性を向上させた。
また、大型ディスプレイ装置や汎用の入出力装置などを採用して視認性・操作性を向上させ、運転員間の情報共有の充実を図った。

総合制御所システムの更新と1支店1制御所化

支店総合制御所は、それぞれ支店管内の電力系統を管轄し、お客さまに電力を届ける第一線の給電担当機関として、系統運用業務をおこなっている。
2010年現在、運用中の総合制御システムは、1989年度から1994年度にかけて各支店で運用を開始し、電力系統の効率運用に寄与してきたが、運用開始から20年を経過すること、総合制御所業務のさらなる高度化・効率化が必要であることから、システムを更新し、機能の充実・強化を図ることとした。
具体的には、電力系統の開閉器操作に先立ち、供給支障が発生しないか、過負荷が発生しないか、系統電圧が適正に維持されるかなど、操作後の系統状態をシミュレーションによってあらかじめ確認できる機能などヒューマンエラー防止機能の強化を図るとともに、系統保護装置の動作状況から事故区間を判定し、復旧手順を作成・表示するなどの事故復旧に関する支援機能、瞬時電圧低下や雷警戒運転発令などの情報を特高お客さまや営業所などへ迅速に配信するための支援機能などを充実させた。
システム構成においては、中央給電指令所システムと同様に、「機能分散型システム」とし、システムの信頼性や処理性能、将来的な機能拡張性を向上させた。
また、総合制御所と電気所との間の情報伝送には、高速・大容量通信が可能で、かつ高い信頼性を確保したIPネットワークを採用した。
総合制御所システムの更新は、2010年3月の福岡支店総合制御所、運用開始を皮切りに順次更新を行い、2014年4月の熊本支店総合制御所の運用開始により、全8支店の更新が完了した。
このような計算機技術の進歩やこれまでの運用実績の蓄積により、監視・制御箇所のさらなる集中化が可能となったことから、2011年7月から全社で10か所の旧II型電力所の運転業務を各支店の総合制御所に順次集中化し、2015年7月に1支店1制御所化が完了した。

再生可能エネルギー運用システムの構築

201211月より開始された再生可能エネルギーの固定価格買取制度により、当社エリア管内の系統に太陽光・風力が急激に連系され始め、国の審議会にて整理された優先給電ルールに基づく再生可能エネルギーの出力制御の可能性が高まったことから、当社では再生可能エネルギーの出力制御を円滑に実施するため、「再生可能エネルギー運用システム」を開発し、同システムを活用して201810月に離島を除く日本で初めて再生可能エネルギーの出力制御を実施した。

ライセンス制導入に伴う既存給電運用システムからの自社需給調整機能の分離

20164月よりライセンス制が導入され、発電・小売事業と一般送配電事業間での兼業が規制された。これに伴い、これまで一体会社としておこなってきた需給調整を、自社需給運用とエリア需給運用に分割する必要があったことから、20174月に自社需給策定機能を備えたシステムを新たに開発するとともに、既存の給電運用システムについては、エリア需給運用が可能となるようデータ取込等の改修を行い、各々のシステムにて運用を開始した。

広域需給調整の開始

供給区域の周波数制御並びに電力需給調整の義務を果たすために必要な調整力は、2017年度より公募により調達を行うこととなった。その後、調整力の調達コストの低減を図るため、各供給区域にて確保・活用していた調整力について、供給区域間での相互活用(広域需給調整)が一般送配電事業者間で検討され、2020年5月より、まずは関西・中部・北陸エリアで運用が開始され、当社も2020年9月26日より広域需給調整に加わった。

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