1.EVの普及拡大
電気自動車(EV)普及拡大への取組みの方向性
当社は、環境にやさしく利便性に優れた電気の良さや価値を、より多くのお客さまに感じていただくために、産業用、業務用、家庭用に加え、電気自動車(EV)普及拡大による運輸用エネルギーの電化など、あらゆる分野で電化を推進している。
特に、EVの普及拡大に向けては、九電グループ一体となってEVを活用した新たな事業やサービスの創出に積極的に取り組んでいくこととしている。
業務用車両へのEV導入拡大
当社は、1986年から地球環境に優しいEVの研究に着手し、運輸面でのCO2排出抑制や九州内におけるEVの普及促進を目的にEVを業務用車両として、順次導入してきた。
また、当社及び九州電力送配電株式会社は、2030年度までにEV化に適さない車両を除くすべての業務用車両のEV(プラグインハイブリッド車を含む)化を目指しており、2023年3月末現在、346台を配備した。
電気自動車のシェアリングサービスステーションの設置
当社は、EV普及拡大への取組みの一環として、2019年7月1日、大分支店に、また、2019年12月1日には福岡支店に、それぞれ一般お客さま向けの電気自動車(EV)シェアリングのサービスステーションを設置した。
本件は、お客さまがEVの利便性・快適性を気軽に体験できる機会を創出するため、日産自動車株式会社の協力を得て、同社のEVシェアリングサービス「e-シェアモビ」を利用している。
マンション入居者専用のEVカーシェアサービス「weev(ウィーブ)」
当社は、2020年12月から、電気自動車を活用したカーシェアリングサービス「weev(ウィーブ)」の提供を開始した。
近年、シェアリングエコノミーの普及に伴い、車も「保有」せずに「共用」する動きが見られている。特にマンションにおいては、戸建て住宅と比べ、駐車場代の負担に伴う車の保有コストが高いため、カーシェアリングの利用ニーズはより強いと考えられた。当社はこうしたニーズに対し、マンション内で車をシェアできる本サービスを提供することで、スマートな新しいカーライフの実現を図ることとしている。
北九州市及び日産自動車グループとの「電気自動車を活用したSDGs連携協定」締結
2020年6月22日、災害時における避難所等の停電対策及び平常時における低炭素社会の実現に向け、北九州市、日産自動車グループ及び九電グループが連携し、SDGsの推進に関する協定を締結した。
本協定は、北九州市の進めるSDGsの実現を目指す取組みの一環として、「災害対応力の強化と低炭素社会の実現」を目指した協定である。具体的には、1災害時における連携について、地震などの災害により、北九州市内に大規模な停電が継続するようなことが発生した場合、九電グループから、詳細な停電地域の情報を北九州市に提供する。2それを基に北九州市が公用車として所有する電気自動車に加えて、日産グループ各社から、電気自動車「日産リーフ」を無償で借用して、避難所などの電力が必要な場所に電力供給を行う。3これにより避難所での明かりや飲食に関わる電力、その他携帯電話の充電など様々なことに活用し、市民の安全のために連携する。というものであり、その他、平常時においては、低炭素社会の実現に向けた啓発を連携して行う内容となっている。
これらの取組みにより、電気自動車(EV)の活用及び普及促進による市民の環境意識の向上、災害時における電気自動車(EV)活用による市民の安全確保などを図ることとしている。
タクシー電動化プロジェクトの始動
2022年1月、当社は、第一交通産業、住友商事、住友商事九州と共同で、環境性と経済性を両立させた環境配慮型タクシー事業の実現に向け、電気自動車によるタクシー電動化プロジェクトを開始した。4社は、環境性と経済性を両立させた環境配慮型タクシー事業の確立と普及に向けた取組の第一弾として、第一交通アイランドシティ営業所(福岡市東区)においてEVタクシーおよび充電器を導入した。今回の運行を通じて、走行距離などの経済性、充電時間や電池の状態などの性能面、環境負荷などを分析し、EVタクシーに最適な充電・運行マネジメントシステムを構築する。また、将来的な再生可能エネルギーの導入や、削減した二酸化炭素のクレジット化にも取り組むことで、全国で持続可能な環境配慮型タクシー事業の実現を目指す。
電気自動車(EV)レンタカーを活用した新たな取組み
2022年2月、当社は、ニッポンレンタカーサービス、東京センチュリー、日本カーソリューションズと共同で、電気自動車(EV)レンタカーを活用した新たな取組みを開始した。この取組みは、EVリースにおける豊富な知見・実績を有する日本カーソリューションズがニッポンレンタカーにEVを提供し、平日は当社が業務用車両として利用し、土日祝日などの休日はニッポンレンタカーが薬院駅前営業所(福岡市中央区)でEVレンタカーとして一般のお客さまにご利用いただくもの。業務用車両のEV利用に留まらず、一般のお客さまにレンタカーとして気軽にEVをご利用いただくことで、EVの普及拡大およびシェアリングエコノミーにもつなげていくことが狙い。また、多くの太陽光発電が稼働する九州においては、EVのバッテリーを蓄電池として再生可能エネルギーの有効活用するスキームも将来的に考えられる。これを見据え、今回は、東京センチュリーが九州に所有するメガソーラーとEVの蓄電池機能を組み合わせることによる、再生可能エネルギーの有効活用についても検証する。