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2.熊本地震への対応実績

2016年4月142126分に、益城町で震度7、熊本市他で震度6弱(マグニチュード6.5)の前震が発生し、最大約17千戸が停電した。当社は地震発生に伴い、非常災害対策組織を直ちに設置のうえ、九州各県から停電エリアへの応援者派遣、高圧発電機車による応急送電等を行いながら復旧対応を実施し、152300分に高圧配電線への送電を完了した。その直後、4月16日1時25分、益城町、西原村で震度7、南阿蘇村他で震度6強(マグニチュード7.3)の本震が発生し、最大で全社の5.9%に相当する約477千戸が停電した。送電鉄塔周辺の土砂崩れや鉄塔傾斜等により広範囲に停電が発生したものの、当社社員及び委託・請負先を含め、最大約3,600人を動員して復旧対応を行い、66kV送電線の被害により送電不能となった阿蘇地区を除き、2日後の182150分に高圧配電線への送電を完了した。

阿蘇地区については、66kV送電線被害により停電が長期化することが想定されたため、他電力からの応援(注1)を含む148台の高圧発電機車による応急送電を実施し、崖崩れや道路の寸断等に伴う立入困難箇所を除き、20日19時10分に高圧配電線への送電を完了した。その後、被害を受けた66kV送電線の仮復旧工事を27日22時00分に完了し、随時、電力系統からの送電に切り替え、4月28日21時36分に高圧発電機車による応急送電を終了した。また、仮復旧した送電線の万一の事故や、夏季・冬季の送電線過負荷への備えとして、豊前発電所のディーゼル発電機3台を、4月末から順次、一の宮変電所の隣接地へ移設した。

(注1)人員(延べ7,667人、最大629人)、高圧発電機車(110台)、高所作業車(67台)、タンクローリー(16台) 等

高圧配電線への送電を完了した後も、甚大な被害を受けた阿蘇地区・益城地区を中心とする配電設備の復旧、地滑りや地盤の緩みに対する仮復旧設備の保全対策等に取り組むため、7月27日までの100日以上に亘り、非常災害体制を継続した。
なお、熊本県から大分県にかけて、本震発生後も地震活動が活発な状態で推移し、一連の地震活動の中で最大震度5弱以上を観測した地震は、4月30日までに18回発生した。

設備被害は、送電設備の鉄塔傾斜などが27基、変電設備の220kV母線支持碍子破損、主要変圧器漏油などが10変電所、配電設備の支持物損壊3,152本、電線の断混線864条径間、水力設備のヘッドタンクなどの水路工作物損壊が9発電所など、被害総額は約230億円に上った。

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黒川第一発電所損壊事象に伴う対応

被害対応の概要

黒川第一発電所は、2016414日の熊本地震(前震)では、地震発生後の臨時点検により異常はなく、運転を継続していたが、416日の本震により、導水路やヘッドタンク等の設備が損壊し、発電用水が流出する事象が発生した。ヘッドタンク付近では、斜面崩壊、ヘッドタンク及び周辺設備の損壊により、約1万m3の発電用水が流出した。水と土砂の流入により、ヘッドタンク下方に位置する南阿蘇村新所地区の一部が被災した。

損壊事象の調査・検証

被災集落の損壊と地震、斜面崩壊、当社設備の損壊との因果関係を明らかにするため、20165月からの約3か月間で地表調査・地盤調査を実施するとともに、当社設備の更なる損壊、落下等による被害拡大防止策として、応急的な安全対策工事を実施した。
また、調査と並行して、同年7月に「黒川第一発電所設備損壊事象に係る技術検討会」を設置し、社外有識者、関係行政機関の知見を取り入れ、客観性、透明性を確保しながら、検討をおこなった。
同検討会は、同年11月に報告書を取り纏め、「地震の揺れにより岩盤を巻き込んだ大規模な斜面崩壊が発生。斜面崩壊により、基礎地盤が失われたヘッドタンク等の設備が損壊して発電用水が流出し、流出した水が斜面に堆積している崩壊土砂を巻き込み、下方に流下。流下した水及び土砂が集落に流入したものと推定される。」と結論付けた。

地元対応

本事象が発生したことを受けて、2016年5月、熊本支社に「立野地区災害復旧担当」を設置。被災世帯に寄り添い、誠意を持って、被災された方々の生活再建に向けてのお話し合いを継続した。

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