1. 新たな市場の創出(KYUDEN i-PROJECT)
KYUDEN i-PROJECT
電力システム改革の進展や電力需要の減など、当社を取り巻く経営環境が激変し、先を予測することが困難となり、九電グループの理念「ずっと先まで、明るくしたい。」との思いを実現し続けるためには、経営環境の変化に遅れることなく、お客さまに新たな価値を提供するイノベーションの取組みを加速化し、未来の事業を創出していくことが不可欠となった。
そこで、2017年1月、「KYUDEN i-PROJECT」を立ち上げ、グループ全体のイノベーションを推進し、グループ横断のアイディア創出や有望案件の事業化・サービス化に向けた検討を始めた。検討にあたっては、社外専門家にも参画してもらい、ワークショップやアイディア募集など様々な取組みを行うことで、新しいことにチャレンジする組織風土の醸成を図るとともに、多くのビジネスアイディアが生まれ、位置情報を活用した見守りサービス「Qottaby(キューオッタバイ)」、ドローンを活用した動画空撮等サービス「九電ドローンサービス」、マンション入居者専用のEVカーシェアサービス「weev(ウィーブ)」などの案件が事業化された。
この他、他企業・ベンチャーキャピタル等と連携した「オープンイノベーション」にも取り組んでいる。2018年6月20日、環境・エネルギー分野に特化したベンチャーキャピタルと戦略的パートナーシップを構築し、新規ファンドへの出資契約を締結した。また、同年10月4日、AIやIoT等の技術を先取りした新たなサービスや新規事業の検討・開発を目的として、ICT企業と継続的に連携・協力していく戦略的提携を締結した。さらに、スタートアップ企業との事業創出の取組みとして、2019年3月25日、高出力蓄電池を活用した次世代蓄電池システム等の開発をおこなっているスタートアップ企業と業務提携し、海外での蓄電池を用いたサービスの事業化に向け、アイルランド島での電力需給調整事業に協同で取り組むこととした。2021年7月、次世代蓄電池システムを用いて1,000kWの調整力を提供するサービスを開始。
2021年10月、地域課題の解決に関する包括連携協定を締結している熊本県南阿蘇村と連携し、電気バスを活用したモニターツアーを実施した。
2022年度から、マンション等集合住宅の居住者に対して、駐車場の各区画に個人専用のEV充電設備を整備し、快適なEV充電環境を提供する新サービス「PRiEV(プライブ)」を首都圏及び福岡市で開始。
2022年1月、スタートアップ企業等と新たなビジネスを共創するオープンイノベーションプログラム2022「ひらめきと共創」の開催を発表。2022年6月には、Liquitous(リキタス)が提供するオンライン市民参加プラットフォーム『Liqlid(リクリッド)』が最優秀賞に選ばれた。これは住民による行政への参画、また行政が住民の声を聞くことを可能にするプラットフォームであり、行政DXにより住民の行政参加の推進を促進することで、社会的課題解決に貢献するもの。当社が参画するデジタル地域通貨事業「まちのわ」と連携することで、地域の人・モノ・カネをつなぐ地域情報プラットフォームの実現が期待できる。
2022年4月、当社が十数年来、研究・開発してきた電池監視制御技術や急速充電技術を活用し、機械毎に異なる負荷特性等を考慮した産業用機械向け電池パックの製造・販売を開始した。
2022年3月、全国の特別高圧・高圧受電の事業者さまを対象に、部分放電オンライン遠隔診断サービス「PDLOOK(パドルック)」を開始すると発表し、同年8月から開始した。これは、特別高圧・高圧の事業者さまの自家用構内ケーブルを無停電で事業活動を止めることなく、その健全性を測定・診断し、保全管理に有益な異常の兆候をトレンド監視・報告する有償サービスである。
2020年度から、一部地域でサービスを提供してきた「九電スマートリース」について、2023年2月に、提供エリアを全九州へ拡大した。「九電スマートリース」は、電気給湯機・IHクッキングヒーターや蓄電池を、初期費用0円、修理費や定期点検費込みの月々定額払いで提供し、お客さまに長く安心してお使いいただけるサービスである。