日本記者クラブ

会見リポート

2024年07月24日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「自治体消滅にあらがう」(1) 大砂雅子・金沢工業大学教授

会見メモ

「人口戦略会議」が4月に744の自治体で2050年までに20代から30代の女性が半減し、「最終的には消滅する可能性がある」とする分析を公表して注目された。人口減少と東京一極集中などについて考えるシリーズ「自治体消滅にあらがう」の第1回として、女性活躍と地域経済を研究する大砂雅子・金沢工業大学教授が登壇した。封建的な家族風土が残る北陸地方の3県では女性労働者の比率は高いものの、首都圏と比較し管理職といった重要なポストへの昇格につながってない傾向にあるという。

地方の現状と女性が活躍がしてくれる環境をつくるために何が必要なのか、そのための手段などについて話した。

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信社)


会見リポート

「新4K」に女性追い込むな

小林 伸年 (シリーズ担当企画委員 時事通信社解説委員)

民間有識者による人口戦略会議は、2050年までに744の地方自治体で若年女性(20〜39歳)が半減し消滅可能性があるとの推計を発表した。そこで日本記者クラブは、人口減少下で進む東京一極集中をどう捉え、いかに対応すべきかを考えるシリーズ企画「自治体消滅にあらがう」を始めることにした。

初回のゲストとして、コロナ前の2018年末、衆議院発行の論文集に「女性活躍と地域経済―グローバル化の中、地方から若い女性が消える」と題した論考を寄稿した金沢工業大学教授の大砂雅子氏をお招きした。

会見で大砂氏は、地方では「女性は子どもを産み、家族の世話をすべきだ」との性別役割意識が強く、低賃金、面白い仕事が少ないなどの事情と相まって、若年女性が地方から流出していると分析した。

一例として、大砂氏を訪ねた石川県内の企業幹部が「新卒を採りたいが、来てくれない。(この際)女でもいい」と発言するのを聞いてあきれたエピソードを紹介した。

地方に立地する企業には「女性は幹部になりたがらない」との思い込みもあるという。大砂氏は、家庭にまつわるすべてのことを妻に押し付けて非効率な働き方をする上司を見ていれば、昇進への意欲を失うのは当然であり、男の働き方も変えなければならないと主張した。

一方、最近の女性活躍を求める風潮にくぎを刺すことも忘れなかった。「女性を新4K(家事、子育て、介護、管理職)に追い込んではいけない」と述べ、女性活躍を説く前に女性が活躍しやすくなる10の提言を披露した。

繰り返し企業経営者の意識改革の必要を語った大砂氏。活動拠点を地方に置く同氏だからこその説得力があった。


ゲスト / Guest

  • 大砂雅子 / Masako OSUNA

    金沢工業大学教授 / Professor, Kanazawa Institute of Technology

研究テーマ:自治体消滅にあらがう

研究会回数:1

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