1990年代後半から2010年前後に生まれたZ世代は米国の有権者の約17%を占め、社会変革の主体として注視されており、今回の大統領選でもその動向が注目されている。
アメリカ政治外交史を専門とする同志社大学大学院准教授の三牧聖子さんが、「アメリカZ世代から見る大統領選、世界秩序の未来」と題し、話した。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信社)
仲井 大祐 (共同通信外信部)
「より協調的な新たな世界を模索するZ世代に期待を見いだす」
三牧聖子氏はパレスチナ自治区ガザ情勢を通してアメリカ大統領選を見るZ世代の視線から、アメリカの在り方や国際関与に変化をもたらす兆しが見えると提起した。イスラエルが攻撃を続けるガザ情勢で露呈したアメリカの矛盾に反発するZ世代が描くアメリカ像には従来とは「根本的な認識の変化」があるという。
長引いた対テロ戦争、世界最多の死者を出した新型コロナウイルス禍、ブラック・ライブズ・マター運動を突き動かす構造的な人種差別への憤り。Z世代はこうした「アメリカの負の側面やゆがみ」を体感して育った。アメリカが擁護するイスラエルを見るときも、ホロコースト、アラブ諸国との戦争を経て誕生したユダヤ人国家という従来の見方よりも「世界有数の軍事国家、パレスチナ人を抑圧する国家」をイメージすると指摘する。アメリカ国内の差別構造をイスラエル・パレスチナ関係にも投影している面もあるのだろう。
バイデン大統領が2020年大統領選でトランプ前大統領に勝った一因は若者の支持だった。今回はガザ情勢への対応などに不満を募らせるZ世代のバイデン氏離れが顕著だ。一部は投票を拒否し、一部は第3の候補に流れ、トランプ氏支持に回る可能性さえある。
国際社会では、イスラエルに「ジェノサイド防止」を命じる仮処分を国際司法裁判所(ICJ)が出した。グローバルサウス諸国からは、ウクライナ侵攻でロシア批判を求めるのにガザの民間人犠牲の拡大を止めない「欧米の二重基準」を批判される。
Z世代の声はこうした国際社会の動きに共鳴しており、これに向き合わない姿勢を続けることへの「道義的な問いがある中、バイデン氏の選択は政治的に見ても現実的なのか」と問いかけた。
人権外交、国際協調主義を掲げて誕生したバイデン政権の下、ガザ情勢で国際的孤立を深めるアメリカという皮肉。バイデン氏が売り物にした「民主主義と権威主義の闘い」という世界観も崩れかけている。「日米関係に照らしても重要な問いになる」と呼びかけた。
同志社大学大学院准教授 / Associate Professor,Graduate School of Global Studies, Doshisha University
研究テーマ:2024 米大統領選
研究会回数:7
9月30日 16:30~17:30
袴田巖さん・ひで子さん、小川秀世弁護士(袴田事件弁護団事務局長) 会見10月2日 14:00~15:30
「自治体消滅にあらがう」(4) 辻琢也・一橋大学大学院教授日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1
|
2
|
3
|
4
|
|||
8
|
9
|
10
|
12
|
13
|
||
15
|
16
|
18
|
19
|
20
|
21
|
|
22
|
23
|
24
|
25
|
26
|
27
|
28
|
29
|
1
|
2
|
3
|
4
|
5
|