4月1日に、女性として初めて日本弁護士連合会の会長に就任した渕上玲子さんが「女性法曹のあゆみ」をテーマに登壇した。
弁護士登録は1983年で司法修習第35期。女性比率が初めて10%を超えた年だったという。男女雇用機会均等法ができる前で事務所訪問の際に「女性は採用しない」という言葉を受け、「反発も覚えた」と振り返った。
会見では、法曹会や弁護士において女性比率がどう変化してきたのかをデータから振り返るとともに、さらなる拡大に向けた課題も示した。
弁護士については、組織内弁護士に限れば女性比率は4割を超えるが、全体では2割強にとどまる。特に一般弁護士において「産休や育休の取得時における事務所との関係、業務の中断によるキャリア上の課題がある」とし、課題解決に向けた取り組みの必要性を強調した。
自身の役割については「司法だけでなく、社会全体の男女差別をなくすこと、男女共同参画を推進すること」。選択的夫婦別姓の実現を着実に進める考えも示した。
また家族のあり方が多様化する中で家事事件が増加の一途をたどっている状況にも触れ、「家庭裁判所での紛争解決のスピードと実を上げるため人的、物的面での拡充も必要」と述べた。
司会 井田香奈子 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞社)
北村 和巳 (毎日新聞社論説委員)
日本弁護士連合会の会長に就任した渕上玲子さん。法曹三者それぞれの組織で、初めての女性トップだ。日本初の女性弁護士、三淵嘉子さんをモデルにしたNHK朝ドラが話題になる中、注目を集めている。
女性法律家の誕生から84年、男女平等をうたう現憲法下で日弁連が設立されてからも75年がたつ。その現実が、日本で男性優位の社会が続いてきたことを示している。
渕上さんも会見で自身の経験を語った。所属先の弁護士事務所を探している際、「女性は採用しないよ」と言われ、反発を覚えたこと。弁護士になってしばらくたち、同期の男性は顧問先の会社を複数抱えているのに、自分はなかったこと。
今年、弁護士に占める女性の割合が20%を超えた。着実に人数は増えているが、裁判官や検察官に比べると、比率で後れを取っている。
渕上さんは、フリーランスの立場が多い弁護士特有の課題を挙げた。産休・育休時の事務所との関係、業務の中断によるキャリア上の不利益、男性弁護士との収入格差。「これらを解決していかないとならない」と語った。「司法は、健全な社会の維持発展のために極めて重要なインフラだ」と述べ、ジェンダーバイアスの解消に向け、女性弁護士の割合拡大が不可欠だと強調した。
初の女性会長として取り組むテーマに掲げたのが、選択的夫婦別姓制度の実現だ。夫婦の95%は女性が改姓している実態を改め、「改姓しない自由」が保障されるようにしたいという。日弁連はこれまでも意見書を出したり、国会議員に要請したりしてきたが、単発的だったと分析した。「しつこく、しつこく言い続けていかないと実現しない」と力を込めた。
社会全体の男女差別をなくすことが、自分に課せられた役割と話す渕上さん。長年にわたる課題の解決に向け、行動力と手腕に期待したい。
日本弁護士連合会会長 / President, Japan Federation of Bar Associations (JFBA)
9月30日 16:30~17:30
袴田巖さん・ひで子さん、小川秀世弁護士(袴田事件弁護団事務局長) 会見10月2日 14:00~15:30
「自治体消滅にあらがう」(4) 辻琢也・一橋大学大学院教授日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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