建て替えのため昨年10月末に閉場した国立劇場が、再整備事業の入札不調により、再開場の見通しが立たなくなっている。
歌舞伎、文楽、雅楽、三曲、古曲、長唄、日本舞踊の実演家10人と早稲田大学演劇博物館の児玉竜一館長が登壇。同劇場の空白期間が長引くことが、伝統芸能・伝統文化に与える影響を話すとともに、それぞれの立場から窮状を訴えた。
司会 中村正子 日本記者クラブ企画委員(時事通信)
【登壇者(敬称略)】※(注記)写真1枚目から以下の順
1中村時蔵(歌舞伎)
2吉田玉男(文楽)
3豊英秋(雅楽)
4萩岡松韻(三曲)
5都一中(古曲)
6杵屋勝四郎(長唄)
7尾上墨雪(日本舞踊)
8吾妻徳穂(日本舞踊)
9西川箕乃助(日本舞踊)
10井上八千代(日本舞踊)
11児玉竜一・早稲田大学演劇博物館館長
山口 宏子 (朝日新聞社オピニオン編集部)
国立劇場(東京・隼町)は、1966年の開場以来、日本の無形文化を守り、広く人々と結び、次代に手渡す拠点として歌舞伎や文楽、舞踊、邦楽など伝統芸能の公演と伝承者の養成、調査研究を担ってきた。
施設の老朽化による建て替えのため、昨年10月に閉館した。だが、資材費の高騰などによって再建工事の入札は2度落札に至らず、整備は止まったまま。2029年度とされている再開場は大きく遅れそうだ。
主催公演は他の会場を借りて続けているが、今年1月の歌舞伎は「花道」のない新国立劇場中劇場での上演。文楽は公共・民間劇場を転々としている。
こうした現状を踏まえ、会見では、古典芸能の各界を代表する演者たちが口々に強い危機感を語った。
「ゆゆしき事態。一日も早い再開を」「一番困るのは文化に触れる機会を失っている国民の皆さま」「公演が減って演奏者や裏方の廃業が増え、芸能全体が衰退しかねない」「民間資金を導入してホテルなどと一体整備するいまの計画を見直し、劇場だけを国の責任で建て替えるべきではないか」
京舞の人間国宝、井上八千代さんは「この国にナショナルシアターがない『大きな空白』ができることのおかしさ、さびしさを全国の方に知っていただきたい」と力を込めた。
演劇博物館の児玉館長は「これは特定の愛好家の問題ではなく、日本の伝統文化のあり方に関わること。もともとの老朽化対策は劇場を17年から大規模改修し、20年再開場の予定だった。それが東京オリンピックで延期され、20年3月に文化観光拠点などを取り込むプランに変更された。でもこの案はコロナ禍やいまの国際情勢を反映していない。いま、もう一度、議論し直すことも必要ではないか」と提言した。
9月30日 16:30~17:30
袴田巖さん・ひで子さん、小川秀世弁護士(袴田事件弁護団事務局長) 会見10月2日 14:00~15:30
「自治体消滅にあらがう」(4) 辻琢也・一橋大学大学院教授日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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