AI研究の第一人者である松尾豊・東京大学大学院教授が、AI研究の最新動向やAIが社会に与えるインパクトなどについて話した。
司会 倉澤治雄 日本記者クラブ企画委員
三井 誠 (読売新聞社編集委員)
米オープンAIがチャットGPTを公開したのが2022年11月末。「完全にモードが変わった。すごいスピードで事態が進んでいる」。松尾教授はそう分析したうえで、生成AIは「インターネットやトランジスタ、エンジン、電気などに匹敵する数十年に1度の技術」とする米国の研究者の見立てを紹介し、そのインパクトの大きさを指摘した。
生成AIを巡る日本政府の議論は、23年5月に「AI戦略会議」が発足するなど本格化してきた。松尾教授はAI戦略会議の座長も務める。スマートフォンや検索エンジンを巡る議論で日本は世界に遅れを取ってきたが、「かつてないレベルで早く対応している」と生成AIを巡る日本の対応を評価。国際的なルール作りを目指す「広島AIプロセス」についても、「最先端の技術で日本がリードしている」と指摘した。
一方、国内企業の開発状況については厳しい見方を示した。大規模言語モデルの性能を示すパラメーターの数を比較すると、日本企業のモデルは100億程度で、1兆〜2兆の海外のモデルに、2桁遅れている状況だという。
松尾教授は、医療や金融・製造分野などの巨大産業で生かされるAI開発を目指すことが、日本の戦略になると指摘。医療分野では形式の異なる電子カルテの統合などでAIが貢献できるとした。
さらに、中国、韓国、タイ、インドネシアなどアジア各国の言語で使えるAIを開発し、アジア市場から世界に展開していく可能性を指摘した。国内では、今年は地方や中小企業でもAIの活用が広がることに期待したいと話した。
将来的に人類の知能に匹敵する汎用AIが登場すれば、核物質が国際原子力機関(IAEA)で管理されているように、AIにも国際的な管理体制が必要になる可能性があるとの見方も示した。
東京大学大学院教授 / Professor of The University of Tokyo
研究テーマ:生成AI
研究会回数:3
9月30日 16:30~17:30
袴田巖さん・ひで子さん、小川秀世弁護士(袴田事件弁護団事務局長) 会見10月2日 14:00~15:30
「自治体消滅にあらがう」(4) 辻琢也・一橋大学大学院教授日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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