全国約2,300のバス事業者から成る日本バス協会の清水一郎会長(伊予鉄グループ代表取締役社長)が登壇。人手不足問題をいかに克服し、地域公共交通を堅持していくのか、この間の取り組みや今後の課題などについて話した。
司会 菅野幹雄 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)
石鍋 仁美 (日本経済新聞社編集委員兼論説委員)
バスは公共交通の「最後の砦」と言われる。鉄道が廃止されてもバスがある。免許返納の高齢者には頼みの綱だ。近くにバス停があるから家を買う。病院や学校にも通いやすい――。バスはあまりにも身近な存在だった。
「いま走っているんだから、これからも何とかなるだろうと思われがちだ」と日本バス協会の清水一郎会長は語る。しかしコロナ禍の2020年から22年までに日本の一般乗り合いバスは全体で4000億円の赤字を抱えた。もともとコロナ前から構造的に赤字で、他の事業などから内部補塡し「ごまかしごまかしやってきたのが実情」だという。コロナで余裕が消えるのと同時に、燃料高騰と運転者不足に襲われた。
都市部でもバスの減便などで困る地域が現れ始め、メディアがニュースとして報じた。似た状況は「これから全国でどんどん起きる」とみる。各事業者はすでにSOSを発している。地域の公共交通をどう守るか。最後の砦というなら廃止が決まってから騒ぐのではなく、今から皆で考えてほしいと訴える。
今でも国や自治体からの補助制度はある。だからといって、存続のため完全な公営事業にすると「今より多額の税負担が発生する」。民間企業ならではのコスト低減やサービス向上を進めつつ、公が適切に支援する「日本型公共交通」が望ましいと説く。燃料費の安い電気自動車(EV)の導入、キャッシュレス化による運転者の負担軽減や料金箱の廃止、自動運転への期待など、未来志向の改革案も会見で披露した。
清水会長は運輸省(現・国土交通省)、在英日本大使館、観光庁などを経て現在は伊予鉄グループ社長を務める。鉄道、路面電車、バス、船など地域の足に責任を持つ立場だ。官と民、中央と地域、国内と海外にそれぞれ身を置いた経験から目配りを効かせた議論は説得力を持つ。
日本バス協会会長、伊予鉄グループ社長
研究テーマ:働く人材クライシス
研究会回数:2
9月30日 16:30~17:30
袴田巖さん・ひで子さん、小川秀世弁護士(袴田事件弁護団事務局長) 会見10月2日 14:00~15:30
「自治体消滅にあらがう」(4) 辻琢也・一橋大学大学院教授日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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