東南アジア海域で「海の奴隷」となった労働者らの救出・支援に取り組むタイの活動家、パティマ・タンプチャヤクルさんが登壇し、タイでの活動内容などについて話した。
会見には、IUUフォーラムジャパンのメンバーで、WWFジャパン海洋水産グループでIUU漁業対策マネージャーなどを務める植松周平さんも登壇し、IUU漁業問題全般についての日本の対応状況や課題などについて解説した。
司会 早川由紀美 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)
井田 徹治 (共同通信社編集委員兼論説委員)
「海の奴隷」という聞き慣れない言葉が会見のテーマだった。ゲストは、タイの人権保護NGO「LPN」の共同代表を務めるパティマ・タンプチャヤクルさんだ。
公海でマグロやイカなどを漁獲する遠洋漁業の船上では、だまされたり、拉致されたりして船に乗せられ、賃金も払われずに劣悪な条件下で働かされる奴隷労働が今も続く。漁船員は怪我や後遺症が残る病気の犠牲になることも多く、時には船上で命を落とす。死体が海に投棄されることもあった。
パティマさんは、タイの漁船で奴隷労働をさせられていたミャンマーやタイなどの労働者の救済、企業との未払い賃金や賠償金の支払い交渉などに取り組む一方、「違法・無報告・無規制(IUU)漁業」の廃絶にも尽力している。
奴隷労働の犠牲となったままインドネシアの小さな島に足止めされて帰国できなくなった元漁船員の救済に奮闘する姿を追った映画「ゴーストフリート」の主人公にもなり、ノーベル平和賞にノミネートされたこともある。
今回は、IUU問題に取り組む世界自然保護基金(WWF)ジャパンの招待で来日した。IUU漁業は、漁業資源管理の実効性を損ない、法令を守って操業する漁業者の経済的な利益も損なう。IUU水産物は、日本の市場にも流通している。
記者会見のパティマさんは、静かな中にも不屈の闘志を感じさせる語り口で、今も続く船上の奴隷労働やIUU漁業廃絶の重要性を強調。「持続可能な漁業」の実現に向けた行動を強めるよう、水産物の大輸入国である日本の政府や企業、消費者に呼び掛けた。
「僕の命は僕が捕った魚の値段よりも安いんだというのが奴隷労働の犠牲者の言葉です」。パティマさんが「ぜひ、日本の消費者にも知っておいてほしい」と言って会見で紹介したこの言葉が心に残った。
Labor Protection Network Foundation(LPN)共同創設者
9月30日 16:30~17:30
袴田巖さん・ひで子さん、小川秀世弁護士(袴田事件弁護団事務局長) 会見10月2日 14:00~15:30
「自治体消滅にあらがう」(4) 辻琢也・一橋大学大学院教授日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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