13日に行われた台湾総統選挙では、蔡英文政権で副総統を務める頼清徳氏が当選する一方、同時に行われた立法院(議会)選挙で民進党は過半数を確保できなかった。
現代中国・台湾論が専門の福田円・法政大学教授が選挙結果や選挙戦のプロセスからわかること、中台関係の見通しについて話した。
司会 高橋哲史 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞社)
村上 太輝夫 (朝日新聞社論説委員)
台湾は取り扱いに注意を要する。特に中国との関係には複雑な経緯があり、この記者会見を「中国で何が起きているのか」と名付けた企画に収めること自体、実は重大な問題をはらんでいる。
それはさておき、台湾総統選・立法院選が終わってほどなく、現地に繰り返し足を運んだ福田さんが明快な解説をしてくれた。台湾政治と中台関係を報道するための座標軸となるだろう。
選挙結果の特徴の一つは、総統選で勝利した民進党の得票率が40%にとどまったこと。若者票を民衆党に奪われたためだ。福田さんによれば、民進党内に早くから若者対策への意識があり、それが不十分に終わったのは頼清徳氏が従来型の選挙スタイルにこだわったからだという。現職・蔡英文氏が若者受けするキャラクターを前面に出すなどの仕掛けをしたのとは対照的だ。一方で民衆党の柯文哲氏は蔡氏とスタイルが似ているという。現場観察を踏まえた指摘は興味深い。
選挙戦は与党対2つの野党という構図で見がちだが、台湾本土政党(民進党と民衆党)が伸び、国民党の縮小傾向が強まったとする福田さんのまとめ方のほうが本質を捉えている。私たちは大きな変化を目撃しつつあるのかもしれない。
気になるのは今後の中台関係だ。中国側は、民意の主流は民進党を支持していないと断じ、中台が親しく近づくという大勢は変わらないとする論評を出している。この認識の当否はともかく、「台湾にとって決して悪いことではない」と福田さんは言う。中国が直ちに軍事的圧力を強めることはないと読み取れるからだ。
これまでの蔡政権は中国を刺激せず、譲歩もしない姿勢を貫き、台湾内外でおおむね支持されてきた。頼氏も蔡英文路線を引き継ぐと明言しているが、どうだろう。次の注目点は5月20日の総統就任演説である。
日本 / Japan
法政大学大学院教授 / professor, graduate school of global politics, Hosei University
研究テーマ:中国で何が起きているのか
研究会回数:6
9月30日 16:30~17:30
袴田巖さん・ひで子さん、小川秀世弁護士(袴田事件弁護団事務局長) 会見10月2日 14:00~15:30
「自治体消滅にあらがう」(4) 辻琢也・一橋大学大学院教授日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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